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最近読んでよかった本のこと

最近またよく本を読むようになった。
考えてみると、去年はあまり読書に集中できず途中でつまづいてしまうという事象が頻発していた。本のせいではなく、完全に自分のせい。今年はなんとかその集中力を取り戻しつつある。SNSやnoteを書かなくなったのが大きな理由かも。大変残念ながら、インプットとアウトプットを一緒にするほどの集中力がないらしい。

それでも、読んだ本くらい覚えておきたいので、とっても雑に最近読んでよかった本をいくつかメモしておく。どれも社会とか人間への新たな視点を得られるような本だった。備忘録なんでもっとちゃんと知りたい人は他のレビューでもサイトでもどんどん検索してください。


「人間の土地へ」小松由香
著者のK2登頂から始まるのだが、自然を相手にする冒険より、人間社会の探求のすごみを感じさせられた。シリア内戦の不条理さや恐ろしさをひとつの幸せな家族とその人生を通じて描かれる。あまりによかったので色々な人に勧めている。個人的には映画「娘は戦場で生まれた」を見ていたので場面が目に浮かぶようだった。


「海をあげる」上間 陽子
沖縄を拠点にして紡がれるエッセイ集なのだけど、やわらからな文章ながらどんどん突き刺さってきて、その内容にも書き方にも衝撃をうけた一冊。あまり前情報をいれないで読むのがいいと思う。「海をあげる」の本当の意味を知ったとき涙が止まらなかった。何度でも読み返したい名著だ。

「きらめく拍手の音」イギル・ボラ
作者のご両親はふたりとも聴覚障害者で、手話を第一言語としてきた。コーダとして生まれ、生きてきた作者の葛藤、両親への複雑な想いや感謝、そして手話という言語の美しさを知ることができる一冊だった。手話の世界に一気に興味が出てきた。


「ルポ 命の選択  誰が弱者を切り捨てるのか?」千葉 紀和, 上東 麻子
出生前診断やゲノム解析など、現代の優生思想の最先端に迫る調査報道をまとめた一冊。単純に「優生思想なんかけしからん」というわけではなく、いま、最先端の医療技術ではどういうことが起こっていて、議論されているのか、その複雑さを教えてくれた。としても実に読みやすく最後までひきつけて離さない構成力、筆力もすごい。


「急に具合が悪くなる」宮野真生子, 磯野真穂
一昨日、読み終わったばっかりなんだけど、ひええ、なんだこれは、とてつもないものを読んでしまった。。。という感想とともにすごい嗚咽状態に突入。ふたりの学者をする女性が人生の不思議なタイミングで出会い、近づき、理解しようとし、励まし合い、もがき、別れゆくまでの往復書簡。死を隣人のようにリアルに感じさせつつも、本全体には潔さや明るさが宿る。ひとが生きる意味とはなんぞやと考えさせられている。

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