【22日目】プウル・サーファー


March 2 2011, 9:04 AM by gowagowagorio

2月21日(月)

こちらに来て3週間が経過。
一通りのイベントが終わり、育児に対する耐性が付き始めると同時に、ナツモの突飛な言動やミノリの一挙手一投足を見て感動を覚えることも大分減ってきた。別に悪いことだとは思わない。色々なことが日常に定着してきたと感じるだけである。

日常に埋没しそうな自分を救うために、とにかく身体を動かす。
昼飯を食べて、ミノリが午睡を満喫している間、14時頃からコンドのプールへサーフボードを持ち込み、まずはパドルで20往復。片道約25mのプールなので、20往復だと約1kmになる。これだけやれば充分かとも思うが、これから徐々に距離を伸ばそうと思っている。

プールにサーフボードを持ち込む姿は住人から見るとさぞかし奇妙なヤツに見えるだろうが、気にしない事にする。なんでもシンガポールに住むオージーのサーファーは、波のない海でパドルをして、それから陸でスケボーをして、その二つを併せて、サーフィンの気分を味わうのだと言う。僕もその意気込みを見習うのだ。

パドルが終わったあとはテイクオフの素振り20回。ライトの波、レフトの波を交互にイメージしながら動作を行う。普段何気なくやっているテイクオフだが、地上でやると思いのほか疲れる。ここまでで約30分。その後はコンドの共有施設であるジムに場所を移し、柔軟体操、腹筋、スクワットをこなし、仕上げにトレッドミルで15分のラン。走り終わると、大体15時頃となる。約1時間のサーキットトレーニングである。シャワーを浴びて一息つく頃、ナツモが学校から帰還する。今のところ、これが日課となっている。

こちらに来る前は、週4、5回のペースで波乗りをしていた。だから、育休を取ることによる体力の低下を心配していたが、このまま行くと、育休が明ける頃にはむしろ体力が向上しているかも知れない。


ナツモはまだ、帰宅すると同時にカバンを家に放り投げて友達と外へ遊びに行くという年齢ではない。だから遊び相手は当然僕ということになる。僕は僕で育休中に自宅でできる仕事を志願して請け負っているのだが、ナツモが帰宅するとそれを中断し、ナツモと遊ぶ時間を作る。それが僕の役目だと思っているからだ。今日も自分の部屋へ消えて行ったナツモを追いかけ、「さて、何して遊ぼうか」と声をかけると、何やら紙にボールペンでしこしこ書いているナツモは顔も上げずにこう言った。

「おとうちゃん、ここであそんでていいよ。もっちゃんちょっとおしごとしてるから。おわったらあそんであげるからね。ごめんね」

相変わらずの上から目線である。しばらく呆然と立ち尽くす僕。そのまま1分経ち、2分経過。ナツモは本当に今すぐ僕と遊ぶつもりはなさそうである。なんだ。一人で遊んでてくれるなら、それはそれで有り難い。

「そうか、それじゃ、おとうちゃんもお仕事してくるね。もっちゃん終わったら教えてね」

そう言い残し部屋を一歩出た瞬間である。

「おわったー、おいでーおとうちゃん」

・・・こんなふうに振り回されているオトコが、世の中にはたくさんいるのだろうな。

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