見出し画像

精神的健康・頼っていく力・セルフケア(大さん)

松本先生 利恵さん

吹き抜ける風が肌に心地よく感じられる頃となりました。

GWの始まりの日、今僕は、松本行き・あずさ33号の中でこれを書いています。お二人それぞれにゆかりのある土地に向かっていると思うと、不思議なご縁を感じます。明日は松本城に行ってみようかなーと考えながら、柔らかな小雨の中、車窓から見える新緑が心地良く目に染みます。

仕事モードから休みモードに切り替わりつつある絶好のタイミング。

電車に揺られながら、思うままに書いてみますね。

利恵さんの問いかけを受けて、可能かどうかはちょっと置いておいて、個人臨床に身を置く立場として、大切かなと感じることが3つ浮かんできました。

一つ目は、『精神的健康』についての教育です。

学校での学びは様々な側面がありますし、いわゆる学力を伸ばすことはもちろん大切なのですが、生きていく上でベースとなるのは、心と身体が健康であること、だと思います。今、子どもたちは、これをどこで学んでいるのでしょうか?

『精神的健康』と書きましたが、これは何か精神医学的なことを学ぶという意味ではなく、『心と身体を大切にする』、ということはどういうことなのか、ということを学ぶというイメージです。『頑張って』と後押しする教育もあれば、『頑張らなくていいよ』と言ってあげる教育、とでも言えるでしょうか。

言葉にすると簡単ですが、『心と身体を大切にする』ということを体現するのは難しそうですね。大人でも、おろそかになってしまいますし。でも、もし皆がこれが出来たら、『頑張る』ことも知っているし、『頑張らなくてもいい』ことも知っているから、いじめや不登校などの問題は、大分減るかも知れません。

二つ目の視点は、『誰かに頼っていく力』です。困った時に誰かにヘルプを求める。これには勇気がいります。馬鹿にされるかもしれない、冷たくされるかもしれない、余計に傷つくかもしれない。全員が助ける力を持っているわけではないですし、時にはボタンの掛け違いが起きることもあると思います。

それでも、誰かを信じて球をパスをしたら、ちゃんと返してくれた。それは次の展開を生みます。人生は、そんなことの繰り返しですしね。

自分の学生時代を振り返ってみると、先生達から学んだ(要は大人から学んだ)という印象はあまり残っていなくて、部活の友達との交流の中で学んだり、漫画やアニメの中で学んだり(笑)、そういう事から『誰かに頼っていく力』を成長させてもらったような・・。

書いてて思ったのですが、学校の先生たち自身が、『誰かに頼る前に頑張る』と思っている面があるのかもしれません。もちろんこれはとても大切で、じゃないと社会が成り立っていかないですし。でもそういうことだけじゃないはずで、無意識レベルで刷り込まれて、気づかれていなかったり。

三つ目の視点は、『セルフケア』の教育。今、大人も子どもも含めて、多くの人が、セルフネグレクト的になっているように感じます。疲れたら栄養ドリンクとか、お酒とか。それも大切な要素ではあるけれど。自分の回復のさせ方、を持てずにいるのかもしれません。エネルギーがマイナスになったら、何とか週末に休んでゼロには戻せるけど、プラスにはならないまま現実に戻るから、またすぐにエネルギー切れ。その繰り返し。

いつもよりワンランク上の食事をしたり、旅行に行ったり、映画を見たり。自分への癒しというイベントとして、それはそれで大切なケアなのですが、そういう外のものに繋がるセルフケアだけでなく、内に繋がるようなセルフケアが必要なのではないでしょうか。

SCとして学校に行っていた時、相談室や保健室に駆け込んで、初めて内なる声に耳を傾けることができた子ども達に沢山会いました。居場所がなかったり、家庭に問題があったり、学校でも孤立していたり。そんな状況では、致し方ないと思う一方で、どうにか芯を強くしてあげられないだろうか、そんなことも感じていました。利恵さんの思い(願い)とも通じるように思います。

本当の自分の内なる声に耳を傾ける。そうしてみて、初めて『セルフケア』は始まる。

これは大人も苦手で、そのやり方が分からないから、生きにくくなったり、疲れちゃったり、人と関われなくなったり、信じられるものが見つからないから良からぬタイプの宗教に行っちゃったりするのかも。

そんなこんなで書いているうちに、諏訪湖が見えてきました。段々と緑の気配が濃くなってきた街並み。電車を降りたら爽やかな風を感じるんだろうな。今日はまだちょっと雨降ってるけど、明日は晴れるといいな。先に到着して待っている妻と子ども達が、ニコニコして過ごしてくれていると良いな。疲れている人たちが少しでも休めるGWになると良いな。

僕も、つかの間の休日ですが、ゆっくりしてきます。

稲吉 大 拝

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?