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ハディース(預言者言行録)で禁止される服装。「女装」に関係しそうなもの。

イスラーム世界では「性転換手術・性別適合手術(SRS)のうえでの性別移行」は認められていることが多いようです。一方、「(単なる)女装」は明確に禁止されていると解釈されるのが、一般的のようです。

「女装」とは「女性の服装をすること」です。が、グレーゾーンな服やアクセサリーというのもあると思います。

「ハディース(預言者ムハンマドの言行録)」ではどのような記述があるか調べてみました。

1.ハディースについて

「サヒーフ・ムスリム ハディース検索/日本ムスリム協会」を参照しました。(★牧野訳については、またの機会に調べたいと思います。)

まずはハディースについての説明を引用しておきます。

ハディースは「伝承」・「物語」・「話」・「会話」を意味するアラビア語ですが、狭くは預言者ムハンマドの言行、生活態度をまとめた伝承録を意味します。ムスリムは、預言者ムハンマドの生き方を模範とし、日常の指針としてきましたので、ハデイースはクルアーンに次ぐ第二の法源として重要視してきました。
ハディースには複数あり、次の6人の編纂したハディースが正伝とされています。
ブハーリー「アッ・サヒーフ」
ムスリム「アッ・サヒーフ」
アブー・ダーウード「アッ・スナン」
ティルミズィー「アル・ジャーミウ」
コサーイー「アッ・スナン」
イブン・マージャ「アッ・スナン」
以上六書のうち、ブハーリーとムスリムのハディースの二書が最も権威があるとされています。
(お知らせ)
日本ムスリム協会では、「サヒーフムスリム(全3巻)」や「200のハデイース」を販売しています。日亜対訳聖クルアーン同様、購入ご希望の方は協会本部までお問い合わせください。

引用終わり。


2.男子は、紅花やサフランで染めた衣服や、絹の衣服を着用することが禁止されている。

さて、「服」で検索したところ、155件ヒットしました。分かりやすいのは、下記の通りと思います。

いずれも第3巻「衣服と装飾に関する書」に属します。

・男子が紅花で染めた衣服を着用することは禁止されている 3巻 P.182-183

・男子はサフランで染めた衣服の着用を禁じられている 3巻 P.195-196

題名の通りなのですが、以下の通り説明されております。

アブドッラー・ビン・アムルは伝えている
預言者は私が紅花で染めた二枚の衣服を着ているのをご覧になった。
すると「君の母君がそうするように命じたのか(注1)」と申された。
私は「これを洗い落とします」と言った。
み使いは「いや、それは焼き捨てよ(注2)」と申された。
(注1)紅花で染めるのは女性の所為であり、それで染められたものは女性用であったからである
(注2)これは実際に焼いてしまえと言うことではなく、預言者のそれに対する嫌悪の程を示したものとされる

ほか、絹に関する規定などもありますが、例外規定もあるようです。

・男性は金の指輪と絹の衣服は禁じられているが、婦人は別である。
しかし男性の衣服でも四本の指幅を出なければ、衣服に絹の伏繍(ふせぬい)があっても差し支えない 3巻 P.171-181

・かいせんやそれに類する(皮膚病がある)場合、男子も絹の衣服の着用を許される 3巻 P.181-182


3.直接関係ありませんが、

「男性達とともに戦った女性達の戦い 2巻 P.860-862」

「生理による汚れについて 1巻 P.219」

「精液を洗い落すことについて 1巻 P.218-219」

「女性が外に出て用を足すことについて 3巻 P.238-239」

なども、興味深いです。調べてみるのも面白いと思います。


なお、トップ画像は関係なく、ウズベキスタンのタシケントで2013年9月22日に撮影です。トルコ近代文学の作家Reşat Nuri Güntekinによる脚本の演劇のようです。

ウズベキスタンを選んだのは、ハディースに関して『真正集』(al-Ṣaḥīḥ)を著したブハーリーの出身地だからです。

ウズベキスタンの滞在時に、「フェミニンな服」を着た男性は見かけませんでしたね。基本的に皆、襟付きのシャツを着用でしたし。日本人のオシャレ若者の格好は、だいぶフェミニンに映るかもしれません。(といっても、8年前の情報です)

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