スローライフよりファストライフを目指してみる


熱い、蒸し暑い、日光だけが熱い。
 この中で一番嫌なのが蒸し暑さだ。月曜に沼津のホテルをチェックアウトし、内浦地区のいけすやで最高の食事を味わった。天気は晴れ晴れとしていて、潮風が心地よかった。暖かくなると海辺は潮の香りが強まり、匂いがきついという人も出てくると思った。海辺の宿命かもしれないと思いながら、数週間ぐらい海辺で過ごしてみたいなあと思い果てる。
 そのあとは山中湖へ行き、やっぱ山の中のコテージだよなあと手のひらを返す。ここは空気と風が涼しく、太陽の熱が熱かった。去年の夏に訪れたときは真夏のさなかだったが、太陽は雲に隠れており、富士山は逆に隠れていない絶好のシチューションだった。別荘を借りてゲームしたい。

どれぐらい前からスローライフが流行っているのかわからないけど、たぶん十年二十年以上前から謳われて続けている概念だとは想像できる。それほどまでに現代は忙しい日々の中で、苦しい日々を強いられている。

それから脱するために早期リタイアを目指している人を大勢見かける。没頭できる趣味があれば、毎日それを楽しんで豊かな人生を過ごせることだろう。逆にいえば、仕事がいやいやで仕方がないということの表れでもある。ずっと前から思うけど、仕事と趣味のバランスを取ることはこの社会では難しいように感じる。基本的に会社、ひいては社会依存で成り立っているし、そちらが主体となって生活せざるおえないからだ。
 また社会人、学生問わず、なぜか土曜と日曜が休みの日になっていることで、人を集める場所が平日より増して、なかには土日のみに適応される料金やサービスがある。逆に土日に時給が上がることもあるが、それは土日に人が集まる──通常の業務では捌ききれないほどの人が集まっているからそうなってしまう。卵が先か鶏が先問題に似ている。どちらが発端かはわかりきっている。そういうふう社会が効率がいいのだ。消費は加速していく。消費を良しとする人はあれど、加速の果てにはいつ故障が起きてもおかしくないときが十年後、二十年後に明らかになるだろう。

さて僕の生活は、ほぼスローライフ寄りだ。仕事の時間より遊ぶ時間が多い。そういう人は、遊んでしまうのである。遊びの時間に貴賤はないのだが、暇さえあればムラムラが襲ってくるし、注意散漫になっていろんなことに集中できなくなる。
 僕がわざわざ沼津まで行ったのは、お金を使って集中する環境を手にするためだ。結果、家でやるより集中できた。満足した。やればできるではないかと褒め称えたい。静岡がよく文豪の愛される執筆場所なので文豪気分を味わいたかったのも一要因なのかもしれない。さすがにお高い旅館ではなく、リーズナブルなビジネスホテルであったが、部屋も気になるところはなかったし、捗った。

僕にとってお金は、自分を甘やかすために使うのではなく、厳しいことに使うのが気分の良い使い方かもしれない。

もちろん、存分に甘やかすときは、罪悪感がわかない準備を施して、思いっきりやることにする。

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