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わたしの旅暮らしをつくる #2|4/15-21
4/15
台風でもないのに一日中、強風が吹いている。建物が揺れるからひとりになると怖い。あまりよく眠れなかった。
萩のソウルフード、うどん屋さんのどんどんへ。
別の器に盛られたたっぷりのネギとともにうどんが出てきた。ネギ全部かける人もいると聞いていたけれど、ひよって半分くらいにしておいた。柔らかめの麺が美味しくて、甘めの出汁でほっとする。
どんどんと言えばわかめむすび、だそう。うどんでお腹いっぱいになるからいいやと思って頼まなかったけれど、後に来たお客さんは次々におむすびを頼んでいく。横を見るとおばあちゃんもうどん+おむすびのセットだった。みんなよく食べる。すごいな。次は頼もう。
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4/16
大判焼き買いに行こ、と思って午後の重い体を起こした。お店はシャッターが閉じていた。
せっかく外へ出たのにという気持ちになって、勢いに任せてスーパーでパン2個買った。400円。たった160円の大判焼き1個で幸せになれること思い出して、なんだか虚しくなった。
ものを買うときに、美味しいとか嬉しいとか、どれだけわたしの心を喜ばせてあげられるかを大切にしたいなと思う。
4/17
お散歩がてら向かったのは近所のコーヒー店。今季初のアイスコーヒー頼んだけど、まだちょっと寒かった。
個人書店が好きだという店員さん(rucoのゲストさんでもある!)とお話しした。読書が好きというよりかは、本そのものとか本のある空間が好きなんだよね、と意気投合した。わたしのお気に入りの本屋さん、べらべらと話しすぎちゃったな。
帰り道、犬の散歩をする人同士が挨拶を交わしている。犬同士も挨拶を交わす。立った耳の黒い子と、たぶんパグ。会えてテンションが上がっているみたい。ぴょんぴょん跳ねる子を見て「うれしいねぇぇ。」名残惜しくてパグに着いていこうとする子に「あんたはこっち、あんたはこっち」と必死になだめる飼い主さん。こんな光景を一緒になって微笑ましく眺めていられる余白が、この町にはあるから好き。
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店の名前かと思ったら地名だった。浜崎。
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4/18
大判焼き5日目。先客がいない初めてのことに驚いたら、その拍子に「こんにちは〜!」が思ったより大きな声で出た。いつものカスタードと、美味しいよ!と聞いていたどら焼きを見つけたので迷わず買った。そろそろ顔見知りになれたかもしれない。
明日に取っておこうと思ってたどら焼き、誘惑に負けて食べちゃった。ずーっしりしている。まさかここまでとは。ほんと、感動する。
大判焼き屋さんのない日々を想像したら、もうやっていける気がしないなと思う。
“わたし”のかたちをなんとか保っている感覚がずっとある。ふとした瞬間に糸がぷつんと、音を立てて切れてしまいそう。心の内につよく渦巻くものを抑えよう、抑えよう、と思っている。さもなければどこにも生きられなくなってしまいそう。平静を装っているけれど、意識するほどうわぁぁぁと叫びたいような気持ちになって、とにかく遠くへ逃げたい。
「ちょっと海までいってきます」
「お、今日星見えるかもね」
「どうだろう、黄砂とか…」
「見えるといいねー」
「うん、見えなくてもいいんです」
チャリを全力で漕いで海へ向かう。月明かりを頼りに砂浜を踏む。押したり引いたり、海も呼吸しているみたいだ。なんて叫ぼかな、「生きてやる」かな、車そんなに通らないな、とか考えてるのに気づいて、もう叫ぶつもりないじゃん、と笑った。空はやっぱり霞んでいて、いくら目を凝らしても輝き切れないプラネタリウムみたいな星を、しばらく岩場に寝そべって眺めた。耳のすぐそばで波の音がして、世界と一体になったみたい。
スーパーの半額の唐揚げをカゴに乗せて軽やかに帰った。
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4/19
菊ヶ浜で夕日を見た。まだ空は霞んでるしな…と思っていたけれど、目玉焼きの黄身みたいな太陽がはっきりと見えた。そういえば太陽の沈む瞬間を見ることってそう多くないな。いつも気づいたら夕焼けで、建物の影でなんとなく暮れている。
夕日を見にきた人はわたし以外に10人くらいいた。しずかな一体感は心地がいい。
「将来の夢ってなんですか」と聞いたら、そのままわたしにも返ってきた。なんだろう。
好きな人たちに囲まれて、好きなことをして生きる。これが一番大きくてふわっとしていて根元にある。枝の部分にあるのが、自分の場所を持つこと。自分の手でつくること、つくり続けること。
夢と言うと、いまここにいるわたしとは隔たりのある地点にあるもののような感じがするけれど、わたしが答えたことはもっと近くに、いまのわたしと連続性を持っているもののような気がする。
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4/20
海外からのゲストさんたちとご飯へ。
ふたりの顔を交互に見ながら、英語を必死で聞いている。なんとか理解しようとするので精一杯。リスニングテストがずっと続いているみたい。
わたしの英語コンプレックスがぐりぐりとえぐられる。悪気がないから余計につらい。そんなに思うなら努力すればいいのに、それはしないで被害者づらばかりしている自分が嫌になる。
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4/21
夜、窓の外に濃い霧がかかっていた。部屋にひとり。この小さな箱のドアの外は闇で、知らない世界に気づけば漂っている、なんて想像をする。
ここに来てからたくさん考えている。どこに着陸するのかわからないけれど、思考はゆらゆらと飛び回っている。哲学が好きです。
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