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イブだけど今日も変わらず生きる

身体が鉛のように重い。夢をいくつも見ていた。カーテンの隙間から見える光がやる気のない昼下がりの色をしている。

今日は朝の電車に乗って尾道へ行くつもりだった。大好きな本屋さんに行って、まちをお散歩して、写真展に行って、尾道ラーメン食べる。追われていることを何もかも投げ出して、自分のために時間を使ってあげるんだ〜と思っていた。
充電の切れたスマホにケーブルを刺して待つ。電源がつく。15時40分、この時間だともう尾道には行けないなと諦める。

昼夜逆転ぎみの生活からおさらばしようと、あの手この手を試しているけれど、どれもうまくいかない。夜は薄暗くしてろうそくを灯してみるが、そのまま本を読んでしまう。いっそのこと起きてようとするが、明け方に寝落ちしてしまう。今日は10時間寝ていた。徹夜ができなくなった。



お腹が空いて、近くでどこか行こうかなと探す。お気に入りで通っているカフェ、ボリュームすごいオムライスの喫茶店、川の見える静かなカフェ。どれも大好きな場所で、気持ちが沈んだときに行きたくなるけれど、今日は無理かもしれない。どこもお客さんがクリスマスムードを纏っているのはしんどい。

彼氏とは最近別れた。助けて、って衝動をそのままぶつけられる人がいなくなったなと思う。仲の良い友人はいるし、悩みを聞いてもらうこともあるけれど、迷惑じゃないかなって気を遣ってしまう。
ひとりで過ごすクリスマスを舐めてた。ただの365分の1日なのに、こんな風に揺さぶられている自分にちょっと嫌悪を抱く。

と、母からLINEが届いた。年賀状を簡単に作れるよ、ってやつでクリスマスカードを作ったらしい。この年賀状関係で数年前に揉めたことを思い出した。怒鳴り声、くるしい。



どうすればいいのかわからない。悔しさや虚しさも、ダメな自分も、クリスマスに生きることも、ひとりでいることも。やり場がなくて、胸にぐるぐると渦巻いている。前より元気になったと思ってたのにな。些細なことで一気に躓いて落ちる。知らず知らずにぐるぐるにされて、たくさんの鎖で身動きがとれない。ちょっと泣く。

わたしという存在と21年間も一緒に生きてきてまだ、自分の負の感情との向き合い方がわからない。冷静になれば、こんなことがあって嫌だって感じたんだな、とか客観視できるけれど、胸の中のもやもやちゃんが一度暴れだしてしまうとどうすることもできない。

ひとり暮らしを始めてからどうしようもないと感じることが増えたけれど、思えば実家にいるときもそうだったな。父から理不尽に怒鳴られる。言い返したら負けだと分かっているのにそれができない。スイッチが入って、衝動的に大きな声を出してしまう。カチン、と音がするのがいつも分かる。胸に充満するいやなガスをどうしようもできなくて、それしか方法が取れない。トゲトゲした言葉を放っているように見えて、ほんとうは、もやもやちゃんが「助けてー」と必死に声を上げている現れだったのだなと、今更気づく。

帰省するといつも、同じようになってしまう。だから実家や地元がそんなに好きじゃない。実家に逃げられるって人は強いなとつくづく思う。安心できる強力な選択肢を味方につけた感じ。いいなぁ、無敵じゃん。



結局、近くの本屋さんに行くことにした。
ベッドから抜け出せた。

今日もよく生きようとしててえらい。

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