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あけまして、ぐるぐると

めずらしく短期のバイトをしている。友達同士で応募した人が多いみたいで、休憩時間におしゃべりをしたり、一緒に過ごしている姿をよく見る。
わたしはよくひとりでいて、気楽でいいやくらいに思っていた、つもりだった。けれど、だれかに着いていって一緒にごはんを食べようとしている自分に気づいて、すごく、恥ずかしくて虚しかった。だれかと一緒に過ごしたいという気持ちは自然なものだし、自信を持っていいはず。だけど中学生の、ひとりにならないように必死だったわたしが、もうとっくに居なくなったと思っていたのに、そこでいまも顔を覗かしている。ああやっぱり変わってなかったんだ、と気づかされるのが怖い。わたしも一緒におしゃべりしたいだけなのか、ひとりでいるやつに見られたくないのか、疎外感を感じたくないのか、もうわからない。


能登で地震が起こって、ずっとそわそわしている。わたしのそばにも災害が起こるかもしれない不安ではなくて、もっと漠然とした不安。SNSをぐるぐるして、その度に鳥肌が立つ。わたしは自分のこととそれ以外を切り分けるのが下手くそだ。そして引きずる。
幸い、わたしのまわりであの地域に暮らす人は思い当たらない。ただ、能登はなんとなく気になっていた場所で、わたしの行きたかった能登は変わってしまったのかな、地震が怖いから気軽に行けなくなったな、思い立ったときにもっと早く行っておけばよかった、とか。結局自分のことしか考えてない。だれかのために、と口では言えるけれど、それが心からの言葉である自信はそんなにない。もし災害が起きたのが、わたしの大好きな場所だったらどう感じていたのだろうか。心のどこかで、知らない土地の話でよかったと思っていたりもしていて、そんな自分が嫌になりそう。
のちさんが「不安になる」以外でできることを、と言ってて、わたしもはじめて募金をした。なんかいろいろ入力したりするのがわからなくて(こういうの苦手)、わからないことに焦ってパニックになる。いつもはそこでやめてしまうけれど、逃げ出してやるかよ、の気持ちでなんとか募金に辿り着けた。自分の不安を紛らわすためかもしれないけれど、それでいいや。

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