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わたしの旅暮らしをつくる #1|4/7-14

大学に行けたり、行けなかったりする状況が続いて、2度目の休学を決めた。最後の方は気力もなくて、昼夜逆転、家に篭りっきり、のように堕落した生活を送っていた。このままの生活が続いていくのもしんどいな。
それならゆるゆると心身の回復をしつつ、わたしの好きな土地で暮らしたい。旅をしたい。

ということで旅暮らし、はじめました。


4/7

旅暮らしがスタートした。
まずは萩のゲストハウスrucoに1,2ヶ月いるつもり。
実家から車で送ってもらった。

遠くないはずなのに記憶の中では初めて来た萩。
景色の輪郭が濃い。初夏の空気。
日曜の午後、観光客はいるのだけれど、「喧騒」がないなという感じがする。

川沿いに桜が咲いているのをひたすら歩く。
古くからある城下町だからなのか、立派な桜が多い。
「ここから見るこの桜が好きなんじゃ」とハンチング被ったおじいちゃん。ほかにも桜が綺麗に見えるスポットを教えてくれた。お礼を言って歩き出してから一瞬振り返ると、木に向かって手を合わせていた。お守りのような、桜。

ここからわたしは何をして、どんなふうに暮らしをつくっていくのだろうか。
実は、想像していたよりも不安になっている。

初夏の雲がある空。


4/8

オーナーさんにいろんな場所へ連れてってもらう。
不思議なエネルギーに満ちている窯元、個性的で肩の力が抜ける帽子屋さん、つくることに生きている木材店など。
なんだかみんな、力一杯生きている。格好いい。

まちを海と山に囲まれたある種閉鎖的な環境を、昨日のわたしは恐ろしく感じていた。けれど、またふらっと遊びに行ける、なにか楽しいことがある、逃げこめる、ような場所がたった1日でできてほっとしている。暮らすことにフォーカスしていく。

しとしと降る雨が似合う空間でした。
かっこよすぎ。極めるってすごいな。
人懐っこくてかわいいにゃんこもいた。


4/9

近所の大判焼き屋さんへ。
大判焼きだけじゃなくて、苺大福や桜餅、ゼリー菓子などが所狭しと並ぶ。カラフルでキラキラしていて楽しい。黒あんとカスタードの大判焼きは中身もたっぷりで幸せ。通う。

唯一の幼馴染とも言える友人が偶然萩にいて、夜ご飯を食べに行った。お魚が美味しい。昔から知ってる仲なのに、知らない土地で一緒にお酒を飲んで、仕事とか結婚とか語り合うのがずっと不思議な感覚だった。

rucoは方舟みたいだな、と思う。
木の板でできたまあるい甲板みたいな内装がそうさせるのか、はたまた全く別の部分に惹かれてなのか。ここにくる人は様々だけど、みんな羽を休めに来るみたい。
揺られながら、ゆっくりと進んでいく舟はなんだか心地よい。

海が近くて魚の美味しいまちなのです。


4/10

大判焼き2日目。今日もカスタード。
昨日よりも外側がさくさくしていて、やっぱり中身はたっぷりで、嬉しい。お店のお手伝いなのか、小学校低学年くらいの男の子が一緒にお会計してくれた。

午後、憂鬱になって外へ出た。
自転車で海を目指す。なんだか見覚えある通りに出てきたと思ったら、海とは反対方向に走っていて落ち込む。歩くと砂浜に靴が沈む。想像していたよりも柔らかく、心許なくて泣きそうになる。
やっぱりどうしようもなくて、恐る恐る友人に電話を掛けた。4コール目で出た。たぶんそんなことだろうと思った〜、って言いながら話を聞いてくれる。変に気を使われてないのがわかるから安心する。

砂がさらさらしてて気持ちいい。
スーパーの帰りに偶然見つけた桜の絨毯。


4/11

コーヒーをテイクアウトして菊ヶ浜。
腰掛けて海を眺める。空は曇り。ちょっと向こうに犬を連れたおじいちゃんが座っている。そのまたちょっと向こうにおばちゃんひとり。それぞれの海を見つめている。知っている瀬戸内の海よりも波が大きくうねるから、生を感じてなんだか恐ろしいなと思う。

夜ごはんを食べながら、長期滞在のゲストさんとおしゃべりした。大学、就職、お金、いろんな不安を吐露したら、「いま(私が)感じてる不安よりも、休学してヘルパーしながら旅をすることの方がみんな不安だと思うよ。それ決断してやってるのすごいよ。」なんだか心が軽くなった。がんばらない、と思ってたけど無意識のうちにかなりがんばろうとしていたみたい。ゆるゆると過ごすことは悪じゃないんだよって、もっとわたしに言ってあげたい。楽しくて、2時間くらい話していた。

キッチンが広くて料理が捗る。この日はカレイの煮付け。


4/12

よく晴れてぽかぽか。天気がいいと気分も上を向く。屋上に布団を干して、風になるを聞きながらお昼を食べて、迷わず海へ向かう。
昨日の海が嘘のように青い。海ガモ(そんな種類もいるらしい)が波打ち際をぷかぷかとしている。お風呂に浮かべて遊ぶアヒルみたい。島へ行くフェリーがぽーーーっと汽笛を鳴らす。お絵描きをした。

大判焼き3日目。カスタードから抜け出せない。
作るところを覗いて見ていた。これでもかというほどクリームと餡を入れる。かと思えば、さらに追加していく。ここの大判焼き、恐るべし。
焼きたてはやはり美味しい。火傷しそうになりながら食べた。

海沿いに腰掛けて絵描くのに憧れてた。


4/13

1日おやすみをいただいて下関、豊北町へ。
快晴のサイクリング日和で、風が気持ちいい。
阿川駅のすぐそばにあるAgawaで夕方を過ごした。カフェのようで屋台のようで不思議な空間。ひらかれた場。誰かひとりが帰るたびに、車が見えなくなるまでばいばーい、ってしてる。あたたかい。
今度はわたしが帰る番。作ってもらった花束抱えてバスに乗り込む。みんな外に出てきてくれて手を振る。わたしも手を振り返す。
旅立ちの日みたい。作ってもらった花束の黄色いフリージアが香って、なんだか切ない気持ちになる。自然しかないこの小さな町に、みんなが帰ってきたくなる理由がちょっとだけ分かった気がする。

まんまるおむすび。甘夏の皮を使った味噌が乗ってる。
やっぱりお絵描き。クロッキーノート使いやすいな。
Agawaにて、佇まいから安心感ある。
フリージアとガーベラを選んでもらった。生きる。


4/14

大判焼き4日目。今日は白あん。安定の美味しさ。日によって種類の変わる手づくりコーナーに今日は桜餅を見つけた。いちごが乗っかってる。甘くて美味しい。
初めましてのおばちゃんが、袋に丁寧に詰めて渡してくれた。

停留所で出会ったおじいちゃんとバスが来るまでおしゃべりをした。方言つよい。聞けば生まれも育ちも萩だそう。山口弁の「〜そ」をリアルで初めて聞いて嬉しい。
バスの横並びの席におじいちゃんおばあちゃんが座る。途端におしゃべりが始まった。バスは単なる交通手段としか思っていなかったけれど、動くコミュニティスペースでもあるのがおもしろい。みんな帽子被ってるのなんでだろな〜などと思いながら、後ろの座席でしばらく揺られていた。

つやつやキラキラしてる。幸せ。
異世界に続いてそうな道。

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