【展覧会感想】シナジー、創造と生成のあいだ
タイトルにある「創造と生成」はそれぞれ「アナログ」「デジタル」を指している。
企画を担当した森山朋絵(東京都現代美術館 学芸員)はこう語る。「アナログとデジタルは二項対立のように言われがちだが、その在り方を見直していきたい。そのあいだ生まれるシナジーや相乗効果に注目することで、人々の感覚を拡張していくきっかけになるのではないか」。
アーティストの荒井美波(1990〜)は、スマートフォンやPCなどの普及に伴い起きた「文字を書く」という行為の変化に着目、直筆文字ならではの時間軸を可視化している。
針金を用いて、書く行為を時間軸で可視化している。私はてっきり、書く行為をさまざまな手法を用いて可視化するのかと思っていたが、このシリーズともう一つのシリーズしか見れなくてやや残念だと感じた。ちなみにもう一つはappleのメモに文字を入力する作品だった。
異なるアプローチで「次元の往復」に取り組む作家たちが、実体を超越した「新しい実存」という多様な「意味の場」を呈示する場である。この作品を背景に写真を撮ると、あたかも自分も作品の一部になったかのような感覚に陥る。
日常製品を作品に組み込んでいる。まるで電子回路のように生活用品が埋め込まれている姿はとても滑稽である。
ルンバをグレンジャーに見立て、様々なストーリーを展開する作品。ショートムービーがずっと流れており、短編集のような感じる。
先輩(杉原さん)が作った作品、四角が行く。今までは立方体がベルトコンベアーで運ばれてくるゲートをくぐるため、自在に動く作品である。今回はさらにデジタル方面にアップデートしている。AR技術を用いて、iPad上でゲートが動き、それに合わせて、リアル空間の立方体が動くというものだ。
インフォグラフィックの点で、とてもわかりやすいなと感じた。言葉による組み合わせは無限大である。このようにイラストで表現できるということは、実現可能性が高いとも考えられる。
稲見研と私が所属していた山中研の自在肢も展示されていた。
最近、増えてきたVR作品。動き過ぎて、私に有線はまずいと感じた。
euglenaとはミドリムシのことである。「無垢に自身を再認識する」というコンセプトは解釈の幅が広い。こちらの展示は種子にならなかった綿毛で制作されたそうだ。
時々綿毛が揺蕩っていた。特に下のような細長い形状や丸井のような大きなサイズの時はその動きが顕著であった。スタッフに聞いたところ、什器に隙間があり、その隙間から風が入ることで揺れ動く表現に繋げているとこのこと。
私たちの暮らしの多くは、電子化されてきており、この作品は本来の自然の流れに思いを馳せるきっかけを作ってくれた。
それと同時に、純粋にただ綺麗だなと感じた。水族館で深海生物を見ているような気持ちになった。静かに揺れる綿毛が小さな生物のようにも見える。時には、コンポーネントが組み合わさってできた建築物のようにも見えた。
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