見出し画像

私たちのエコロジー展

六本木ヒルズ森美術館で開催されている「私たちのエコロジー」展。気候変動や環境問題など私たち人間が抱えている様々な課題を現代アートで問いかける展覧会となっている。

展覧会は、「全ては繋がっている」「土に還る」「大いなる加速」「未来は私たちの中にある」の4章で構成されている。

本展の特徴は、環境に配慮したアプローチだろう。輸送コストを減らすため、34人のアーティストに国内で作品を制作させ、新作が展示スペースの半分以上を占める。会場設営では、以前の展覧会で使用されたものを再利用し、リサイクル可能な石膏ボードや再生素材を活用して資源の削減が実現している。

ニナ・カネル《マッスル・メモリー(5トン)》

正直なところ、ASMR、歩いてて気持ちよかった。身体と連動している方がよりASMRのような快感が得られるかもしれない。

左側に大人向けのキャプション、右側に子供向けのキャプション。正直、子供向けのキャプションの方が記憶に残る。読みやすい、さらに質問してくるから、考えるからかな。

面白いなと感じたのは、使っているフォントだ。英文はとても有機的。特に"E"の重心が高くて、やや上から目線という印象。"E"以外のアルファベットの重心は中心にあるように見える。
和文はひらがなが英文のような柔らかさと筆記的なつながりがあるのに対し、漢字はゴシックである。なぜこのような違いを入れたのだろうか。
全体的に文字間が狭く、焦っている印象を受けた。

保良雄《fruiting body》

自然が長い時間をかけて作り出す大理石と産業廃棄物を高温溶解させることで生じた人工的な非晶体スラグを用いて、「地層」を制作した。鳥の鳴き声をデジタル信号に変換した音声が流れる空間作品を通じて、人間以外の生物や無機物との共存や、脱人間中心主義を提唱する。

灯火、なぜか見入ってしまう。
使う素材にコンテクストを当てはめ、組み合わせた作品という印象。 大きなテーマがある一方、個々の素材同士の関連付けが文脈的、視覚的に合わさっていると感じる。

ゴルフクラブやラケットなど身体感覚の拡張は感じるが、内臓感覚の拡張は新しいなと感じた。楽器を吹き込んだら感じるのかな。

ピエール・ユイグ Pierre Huyghe 精神の眼(B)

よくわからないが見惚れてしまう。 ナメクジみたいな、蛹みたいな、隕石みたいな、クリーチャーみたいな、解釈の余地があり過ぎる。深層イメージの物質化、内在的なものだからそこまで異質ではないと感じるのだろうか。



最後にさわひらきの作品群。モビールはその影が幻想的。

この少しずつ変化していく動きが気になって、ついつい釘付けになってしまう。この動画の制作プロセスが気になってしまった。

動きは緩急のある方が鑑賞者に面白さを提供できると考えていたが、このようなゆっくりな動きでも「続きが気になる、どういう風に変わっていくのだろうか」とその先を考えさせるドラマ的な要素が含まれているため引き込まれるのだろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?