見出し画像

シマウマに学ぶ新しい企業像 <「ゼブラ企業」が切り開く持続可能な地域づくり>

2024年06月13日にvoicyで放送されたヤング日経で「地域課題解決に「ゼブラ企業」グループ化」というニュースがありました。

「ゼブラ企業」とは初耳でしたので、私なりに少し調べてみました。

ゼブラというネーミングの由来

ゼブラ企業とは、地域に根ざした事業を展開し、利益追求だけでなく地域課題の解決にも取り組む企業のこと。
経済的な成功と社会的インパクトの両立を目指す企業なのです。

では、そのような企業をなぜ「ゼブラ」と呼ぶのでしょうか?

ゼブラは「斑点のある動物」であるシマウマに由来しています。
シマウマの体は白と黒の縞模様で覆われており、その特徴的な外見から「ゼブラ」と呼ばれているのですね。
ゼブラ企業とは、この白黒のストライプ模様になぞらえて命名されたと言われています。

つまり、ゼブラ企業とは、利益追求と社会的価値創造の2つの目的、いわば「白と黒」の目標を両立させる企業を指しているわけです。

一般的な企業は、利益最大化を最優先の目標とする「黒」の側面が強いですが、ゼブラ企業は、その「黒」に加えて「白」の社会的責任も同時に果たそうとしているのが特徴。

ビジネスの成功と地域貢献、企業利益と社会的価値といった、見た目は対極にあるようなものを、ゼブラ企業は巧みに両立させようとしているのですね、素晴らしい!

まさに、白と黒の縞模様のようにバランスを保ちながら、持続可能な地域づくりに取り組む企業がゼブラ企業なのです。

ゼブラ企業とユニコーン企業を比べると

そんなゼブラ企業について理解するために、同じく生物(?)のネーミングをされたユニコーン企業と比べてみたいと思います。
ユニコーン企業とは、短期間で企業価値10億ドル以上になった未上場の企業を指す言葉で、ベンチャーキャピタルから多額の資金を調達し、グローバル市場を狙って急成長を遂げる企業のことです。
ゼブラ企業とユニコーン企業を対比してみると、いくつかの大きな違いがあります。

■ゼブラ企業とユニコーン企業の対比

このように、事業範囲、目的、リスクテイクなど、さまざまな側面で大きな違いがあります。
地域密着とグローバル展開という対照的なアプローチを体現する企業概念だと言えますね。

日本のゼブラ企業

以下に日本の代表的なゼブラ企業をいくつかピックアップしてみました。

株式会社アークランド

  • 岡山県を拠点とする地域密着型企業

  • 空き店舗を活用したカフェやお土産店の運営

  • 地域経済の活性化と社会課題解決に取り組む

株式会社フェニックス

  • 宮崎県を拠点とする企業

  • 障がい者の就労支援を行いながら、地域の食品加工や農業にも携わる

  • 地域になくてはならない存在として高評価

株式会社ゼロ

  • 長野県を拠点とする企業

  • 地域の農家と連携して野菜の加工・販売事業を展開

  • 地域循環型の持続可能なビジネスモデルを確立

  • 地域経済の活性化に貢献

以上3社は、いずれも地域に密着した事業活動を展開し、地域課題の解決と企業成長のバランスを重視する典型的なゼブラ企業の事例といえます。

ゼブラ企業同士がグループ化するメリット

ゼブラ企業同士がグループ化・連携することのメリットは、個社の強みを活かしつつ、地域課題解決に向けた取り組みを強化できるということにあります。

例えば、障がい者雇用に強みを持つ企業と、地域農業に強みを持つ企業がグループ化すれば、地域の雇用創出と食料生産の両面で相乗効果を発揮できます。

また、個社では対応が難しい大規模な地域プロジェクトにも、グループ全体の力を結集して取り組めるようになります。
インフラ整備や防災対策など、地域の根幹的な課題解決に貢献できます。

さらに、グループ内での経営資源の融通や人材の相互活用など、効率的な事業運営も可能になります。
個社では限られていた経営資源を補完し合える体制が整うわけですね。

そして何より、地域に根ざしたグループ全体としての存在感と影響力が高まります。
地域コミュニティーとの強い絆を築き、持続可能な地域づくりに貢献していくことができます。

つまり、ゼブラ企業同士のグループ化は、地域課題解決の幅を広げ、企業の事業基盤を強化する、Win-Winの関係を生み生み出すことができるのです。
地域と企業、双方にとってメリットがあるのが大きな特徴ですね。

ゼブラ企業グループ化の課題

とはいえWin-Winと言いながら、なかなか実現しないのが世の常というもの。
ゼブラ企業同士のグループ化を実現するには、次のようないくつもの課題がありそうです。

まず「企業間の信頼関係の構築」が大きな鍵となります。
お互いの事業目的や企業文化、経営方針などを十分に理解し合い、共通の地域課題解決への思いを醸成していく必要がありますが、これには時間と努力が必要不可欠です。

また「グループ内での意思決定プロセスや責任分担、利益配分などの仕組みづくり」も難しい課題。 対等な立場での協力関係を維持しつつ、効率的な運営体制を構築するのは簡単ではありません。

さらに「地域コミュニティーとの協力関係の構築」も重要。 企業グループ単独では地域課題の解決は難しく、地元自治体や住民、NPOなどとの連携が欠かせません。
地域の合意形成を図りながら、協力体制を築いていくことが肝心です。

加えて「法制度面での支援」も不可欠でしょう。
ゼブラ企業の取り組みを後押しする政策支援や、グループ化への優遇措置など、行政の後押しがあれば、ハードルが下がるはずです。

このように、ゼブラ企業のグループ化には、企業間、地域、行政などの各主体との緊密な連携と、地道な努力が求められます。

ただ、地域の持続可能な発展につながる取り組みであれば、乗り越える価値は十分にあると思います。
Win-Winの関係を築くには時間もコストもかかるかもしれませんが、その先にある可能性は大きいと言えますね。

「ゼブラ企業」という言葉を通して、地域に根ざした新しいビジネスモデルが生まれる予感がしてきました。

よければサポートをお願いします。 サポート内容はこれからのクリエイティブ活動に役立てます。 よろしくお願いします。