傷は体にあるのではない　が　 体を癒すことからしか始まらない

カラダが硬いとか
動かしにくいとか
いう場合
カラダそのものに原因があると思う人がほとんどだと思う
実際に
筋緊張が関節の動きに制限をかけるので
それは間違いではない

でも
カラダに現れている硬さや動かしにくさは
外的傷害が原因の場合を除いて
実はカラダだけに原因があるわけではないんじゃないかな？
と実感することがあります

例えば慢性的な痛みの場合

腰痛とか肩こり、股関節痛
など
単に該当の筋肉を緩めればいいというものではないようなのです

そもそも筋肉だけ緩めようとしても
簡単に緩むものではないし……

それは
そのカラダの場所に関連する何かが
緩むことを許さないからじゃないかなと思える時があります。

ある生徒さん、Ａ子さんのお話です。
（ご本人には掲載の了承を得て公開しています）

出会った時は膝痛と腰痛で体の動きにたくさんの制限がありました。
床にそのまま座っていることも難しそうだったので
ヨガよりは
TRE®︎（トラウマアンドテンションリリーシングエクササイズ）
の方がいいかなと思って提案させていただきました。

TRE®︎についての詳細はまた別途書きますが
すごく簡単にいうなら
ストレスからカラダを守るために緊張し続けていた
大腰筋をゆるませるワークです

動きとしては意思的に動かすものではなく
脳幹から出てくる自発動のような動きをします
なので体に無理をさせるような動きは
基本的には出てきません

TRE®︎を体験していただくために
まずA子さんには最初に仰向けになっていただきました

そして体感をお話ししていただきます

すると
こことそこが引っ張られる感じだけど
痛みはないとおっしゃってくださいました

ワークを始めていくと

すぐに「クーーっ」と顔を歪めていらっしゃるので
どうしましたか？と聞きます
すると「とても痛い」と言うのです

Ａ子さんのカラダは
最初に仰向けになったままの状態（痛みはないとおっしゃったのと同じ態勢）のままで
外から見て何も変化してないにもかかわらず
とっても痛いと言うのです

どこが痛いのかと質問すると
いつもの腰痛や膝の場所とは違っていて
右側のモモ周りや右側の鼻や目の奥のあたりだと言います

痛みとは一般的に
何か外的要因で
筋肉組織や神経組織に負荷がかかり
痛みとして認識できるモノです

この場合も同じだと言えるのですが
関係性が少し複雑で
４段階に追って考えられました

①TRE®︎が利用しようとしている生命の動きに応じて
大腰筋が動きたがってスタンバイしている

②その一方で大腰筋につながる筋膜が
固まりすぎて動けない状態である

③カラダはその固まりすぎている場所を
（実質、ここた痛いと感じている場所）
どうにか動かそうとしている

④その固まりがあまりにも強固なので
本人には痛みとして認識している

つまり
TRE®︎のワークによって
筋肉の断裂や神経組織に負荷がかかりすぎて
発生した痛みではないと判断しました

けれど、Ａさんにとって
不快な状態や不安になるようであれば
大丈夫だからといってその状態を強制するわけにはいきません

なので、ワタシは彼女にこう尋ねました
「痛いのが嫌だと感じたらいつでもやめることができます」

同時に、私の見解もお伝えしました。
「この痛いところ（この萎縮した筋膜）には何か理由が
あるのじゃないかなと思います」と

そこでその痛みに触れるように寄り添ってみてください
とお伝えしたら、彼女はそうされました

実際に痛みを感じている目の奥を触れるように軽く顔に手を乗せて
ワタシと一緒に呼吸を整えながら
自分の体と瞑想しているような状態がしばらく続きました

すると
彼女がご自分が生まれた時のことが頭に浮かんできたと言って
話し始めました

Ａ子さんは生まれた時に耳にもう一つ小さな耳がついてたらしいのです。
それをお医者さんから見せられたお母さんは、ショックを受けます

お母さんがショックを受けているのを感じて悲しくなったのを思い出しました。

その後お医者さんが
彼女を押さえつけてその小さな耳を切ったというのです。
もちろんＡ子さんは、それはもう大泣きをしました。

生まれた！参道を通ってきた！というだけでも大きな試練だったにもかかわらず
この世に出てきて初めてお母さんから受けた感覚が
ちょっとした拒絶だった、ということ
（“拒絶”は適切な表現ではないかもしれません、もっと繊細な感覚だから）

しかもその後に
大きな手に押さえつけられてとても痛いことをされた
というのが
彼女の筋膜を萎縮させ続けていた原因の一つだったのだろうと分かった瞬間でした

Ａ子さんの切られた耳の傷はもう完全に直っています
肉体レベルでの傷はもうありません

でも心に刻まれた恐怖やショックが
肉体に刻まれた跡として残っているのが
筋膜の萎縮なのです。

このお話しをしながらＡ子さんは
今までのご自分の悩みや問題は
全てこの生まれた瞬間の出来事に多かれ少なかれ
つながっていたことを
理解しはじめていました

タイトルにした
『傷は体にあるのではない　が　体を癒すことからしか始まらない』は
このことがあって
ワタシの中で
より大きな確信になりました

この話をすると
催眠療法や深層心理のワークなどと比較されてしまうことがありますが
ワタシは彼女に対してTRE®︎という
カラダと筋膜にアプローチする方法しかとっていないことを
改めて明記しておきます

意識が全てとか
認識を変えることが
重要だと言われていますが

むしろワタシは
体の発している言葉を
意識で理解することができるようになること

意識を繊細に保ちながら
体に寄り添わせて認識していくことが
大切なことのように思えます

TRE®︎についての補足説明はこちら

https://note.com/arikatayoga/n/nb67572b0ed2f