ゴールデン・チャイルド


 ダライ・ラマみたいなチベットの子僧がさらわれたのを、エディ・マーフィーが助け出す。この子どもが、なんかすごい力を持っていて、死んでた鳥に触れると生き返ったりする。

 今のダライ・ラマはそんな超能力は見せることはないが、宗教に超能力はつきものだ。釈迦もいろんな不思議な力を見せた、とお経にある。超能力で人が本質的に幸せになるわけではないが、幸せになるために努力するきっかけにはなる。

この作品では、主人公の黒人が美人のチベット人をどうにかしたいばっかりに、チベットの子どもの救助に乗り出す。言ってみれば、これも方便だ。女にしか興味のないアメリカ男が救われるためには、美人を遣わすしかなかったということだ。

 自分は日々、その時々の仕事をこなすのに精一杯で、救われるとかどうとか考える余裕はないけど、もしかしたら、大きな視点で俯瞰すれば、自分にも救いの手が差し伸べられているのかもしれない。こんな発想は、昭和生まれの日本人が最も忌み嫌うところのものだが、超常現象、見えざる手、大いなる神、そんな存在に身を任せることができれば、少しは生きやすくなるのかもしれない。

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