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   悩み好転:『禅語の智慧』の物語No.9

【恋愛編】


                         2023年10月25日(水)

悩み事:

恋愛に対するトラウマ、そのためらいとその克服


  目次
1、あらすじ
2、禅語「即心是仏(そくしんぜぶつ)」の解説
3、序章:独りでのスポーツジム
4、中章:即心是仏と失恋の闘い
5、クライマックス:即心是仏との出会い
6、結婚式:新しい「即心是仏」の始まり
7、終章:今後の誓いと「即心是仏」
*新コーナー* 柔海 剛山(じゅうかいごうざん)の『禅語の俳句』

1、あらすじ
太一と美咲は、禅語「即心是仏(そくしんぜぶつ)」の「この心即ち仏なり」を生活哲学として採用した新婚夫妻です。この言葉は、「現在の心そのものが真実である」という意味を持ち、二人はそれぞれの職場や日常生活でこの哲学を実践しています。
太一はビジネスプロジェクトに、美咲はOLとしての仕事に全力を投じ、毎日を最高の状態で生きる決意をしました。帰宅後、夜ごとに二人はその日の出来事や学びを「即心是仏」の視点で共有し、どのようにこの禅語を日常で実践したかを話し合います。
この哲学は二人にとってだけでなく、周囲の人々にも影響を与えます。職場の同僚、ジムの友人、家族など、多くの人がこの哲学を取り入れ、より豊かな生活を送るようになりました。
二人の生活哲学は、それぞれの仕事や人間関係に新たな深みと意味をもたらし、さらにその影響はコミュニティ全体に広がっています。太一と美咲は、これからも「即心是仏」の精神で次の瞬間、次の挑戦に臨むとともに、この禅語が示すように、その瞬間その瞬間を真実として生きていくことを目指しています。この物語は、新たな始まりとして、二人が「即心是仏」を胸に更なる人生の章に突入するところで終わります。

2、禅語「即心是仏(そくしんぜぶつ)」の解説
禅語「即心是仏」は、日本の禅仏教においてよく用いられる表現で、直訳すると「この心即ち仏なり」となります。この言葉は、一般的には「現在の心そのものが真実であり、仏性を持っている」という意味を持ちます。
この禅語は、外界や他人、さらには未来や過去に依存することなく、今この瞬間の心の状態に全面的に責任を持つという哲学に基づいています。つまり、何らかの高次の存在や外部の力に頼るのではなく、自分自身の心に目を向け、その心を磨くことで仏と同等の真理に到達できるとされています。
「即心是仏」の哲学は、瞑想や坐禅などの実践を通じて、自分自身と向き合い、心の状態を高めることを重視します。それは単に精神的な安定を得るためだけでなく、日常生活においても人々がより良い判断を下し、より高い倫理観を持つために非常に有用な指針とされています。

題名:愛と禅の交響曲


3、序章:独りでのスポーツジム
夕暮れ時、太一はスポーツジムのウェイトマシン前で「即心是仏」、その禅語を心に留めながらトレーニングに励んでいた。32歳、営業担当として働く彼は、日常の多忙さから解放される数少ない瞬間をここで過ごしていた。しかし、その心はまだ前の恋愛の失恋による影を払拭できていなかった。
そこへ、美咲という29歳のOLがジムに入ってきた。美紀もウェイトトレーニングに真剣な様子で、彼女の存在に太一は何となく心引かれた。その禅語「即心是仏」を思い出し、太一は「今、この瞬間を大切にしなければ」と自らに言い聞かせた。
しかしながら、その一歩を踏み出すことはできない。失恋による心の壁がいまだに立ちはだかる。美咲もまた、過去の失恋の影が時折、その表情に現れているようだった。
二人の目が何度も交わるが、その度にお互いの視線を避けてしまう。この瞬間、この場所で何かが起きるかもしれない。それを「即心是仏」と心の中で繰り返し、太一は自分に勇気を与えようとした。
それでも、この日も太一は何も行動に移せずにジムを出た。夜が訪れ、秋の風が人々を催促するように吹く中、太一は「即心是仏、今この瞬間を生きる」という言葉を胸に、次の一歩に何を選ぶべきか、どうすればその心の壁を越えられるのかを考え続けた。

4、中章:即心是仏と失恋の闘い
太一はジムでのトレーニング中、美咲という29歳のOLとしばしば目が合い、気になる存在になっていた。美咲もまた、トレッドミルで
汗を流しながら、何か内に秘めた重い思いを抱えているようだった。太一は「即心是仏」の言葉を思い出し、美咲と目が合ったその瞬間を何よりも大切に感じた。
何度かジムで相対する中で、太一も美咲も失恋の影響で心に闘いを抱えていることが明らかになった。ストレッチエリアで並んだある日、美咲が初めて失恋について触れた。太一も「即心是仏」を胸に、自分の失恋の経験を共有した。
その瞬間、二人の関係に微妙な変化が訪れた。それでも、まだ完全に心を開くまでには至らなかった。美咲は心の深い部分を打ち明ける勇気が足りず、太一もまた、美咲に自分の全てを見せることにためらいを感じた。
練習を終え、ジムを出る際の短い会話が増えたものの、その会話は表面的なものに終わってしまった。美咲は帰宅の電車内で、太一についてどうすれば心の壁を越えられるのかと悩んだ。太一もまた、家に戻りながら「即心是仏、今この瞬間をどう生きるか」と自問自答していた。
失恋という共通の闘いを抱えつつ、その壁を乗り越えるための一歩を踏み出せずにいた。この関係が進展するかどうかは未知数。しかし、「即心是仏」という禅語が二人の心に重く響き、次の一歩を考えるきっかけとなっていた。

5、クライマックス:即心是仏との出会い
太一はある坐禅会に参禅した。その際にご住職の法話で禅語「即心是仏(そくしんぜぶつ)」をあらためて教わった。この言葉は「この瞬間の心こそが仏(真理)である」という意味を持つ。この禅語に太一は深く感銘を受け、その夜はその言葉を何度も心で反すうした。翌日のジムで、美咲にこの禅語について話す決意をする。
美咲もまた、太一からその言葉を聞き、何かが変わる感覚を抱いた。過去の失恋や未来の不安よりも、今、この瞬間の心をどれだけ大切に生きているかと考えるようになった。
二人はその後、ただのトレーニング以上に、より深い時間を共有するようになった。太一は美咲に対して、過去の失恋やトラウマを越えて、「即心是仏」を体現するよう努力すると心から誓った。美咲もまた、この禅語と太一との出会いを通して、自分自身と向き合い、内心の闘いを手放す勇気を見つけた。
この禅語が二人に与えた影響は深く、過去や未来に囚われず、今、この瞬間という「即心」を大切にすることの重要性を実感した。以後、ジムでの練習が終わると、二人は積極的に声をかけ合い、心の距離が縮まり始めた。
「即心是仏」この禅語は太一と美咲にとって、人生の重要な転機となった。過去の心の傷や未来の不安から解放され、今、この瞬間を真剣に生きる新しい道が開かれたのである。

6、結婚式:新しい「即心是仏」の始まり
ついにその日が来た。太一と美咲は、スポーツジムでの出会いから数年を経て、結婚式の祭壇に立った。周囲はジムの仲間、両家の親、友人、親戚と、愛と支えの象徴である多くの人々で埋まっていた。
太一は美咲に向かって、かつて教わった禅語「即心是仏」を思い出し、その言葉に込められた「この瞬間の心こそが真理」の意味を感じながら誓いの言葉を述べた。美咲もまた、太一との出会い、そしてこれまでの関係性のすべてが、その「即心」であると感謝を示した。
この新しい始まりの瞬間、太一も美咲も「即心是仏」の精神で深い愛と尊敬を感じ合っていた。親族も二人の愛と成長を認め、感動の涙を流す者も少なくなかった。
パーティーには、ジムのトレーナーや仲間たちから熱いスピーチと祝福が寄せられた。それぞれが太一と美咲の成長と「即心」を実感していたからこそ、その祝福は一段と深かった。
ケーキカット、ブーケトス、新婚旅行の計画と、この華やかな時間は新しい「即心是仏」のスタートとして特別なものとなった。太一と美咲は、この日から新たな人生の章、新たな「即心」を歩み始めるのであった。

7、終章:今後の誓いと「即心是仏」
新婚旅行から帰国した太一と美咲は、それぞれの仕事に戻る決意をした。この新たな人生の節目で、二人は禅語「即心是仏」を心の中に刻むことを誓い合った。この禅語は「この瞬間の心がすべて、それが真理である」という意味を持ち、それが太一のビジネス、美咲のOLとしての仕事にも反映された。
夜に帰宅すると、二人はその日の経験や気づきを「即心是仏」の観点から共有し、その哲学を実践する形で日々を送っていた。この新しいルーチンが夫婦の信頼と愛をさらに深化させる土壌となった。
太一と美咲の誓いは、周囲の人々にも影響を与えた。スポーツジムの友達、職場の同僚、家族―多くが「即心是仏」の哲学を自らの生活に取り入れるようになり、それがさらに社会に波及していった。
今後も、太一と美咲は「即心是仏」を生きがいに、次の挑戦とその次の瞬間に全力で臨むとともに、この哲学を周囲に広めることを目標としている。
この終章は、太一と美咲にとっての新しい「即心是仏」に基づく始まりであり、これから織りなされるであろう多くの物語のプロローグに過ぎない。

トラウマが恋愛に対する不安やためらいを引き起こしている状況は、非常にデリケートな問題です。心理的なサポートが必要な場合もありますので、プロフェッショナルなカウンセリングを受けることを検討する価値があります。ただし、一般的なアドバイスとしては、まず自分自身と向き合い、何がトラウマを引き起こしているのかを理解することが重要です。
次に、自分自身を高めるために自己啓発をして、自信をつけることも有効です。それができたら、少しずつ恋愛に対するポジティブなステップを踏むように心掛けてみてください。小さな成功体験が自信につながり、トラウマに対する恐怖を和らげる可能性があります。
最後に、新しい恋愛を始める際には、相手に自分の過去やトラウマについて正直であることも大切です。理解ある相手であれば、二人で乗り越えられるかもしれません。毎日毎日が「即心是仏」という禅語にも繋がり、その瞬間瞬間で最善を尽くすことが大切です。

*新コーナー*
柔海 剛山(じゅうかいごうざん)の『禅語の俳句』
禅語のお題:「即心是仏(そくしんぜぶつ)」

「一瞬の心 静かに仏と語る」

この俳句「一瞬の心 静かに仏と語る」は、禅語「即心是仏」を象徴的に表現しています。
"一瞬の心"とは、瞬間瞬間の心の動きや感情、意識を指し、それがまさに仏性であるという禅の教えに基づいています。
"静かに仏と語る"部分は、この心の瞬間が何もない静寂の中で、仏と対話するような瞬間であることを示しています。
つまり、普段何気なく過ごしている一瞬一瞬が、実は非常に深い仏性を持っていると気づかせてくれる俳句です。

ご一読いただき、誠にありがとうございました。

2023年10月25日(水)
柔海 剛山 拝


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