【結婚記録】実家訪問

初めて夫の実家を訪ねた日。新幹線が出発する3分前、彼とホームで落ち合うとお茶とおにぎりを二つくれた。胃が重く食欲はないけど、何か入れておこうと梅おにぎりをもらう。もう一つの高菜おにぎりと、天むす弁当を食べる彼をじっと見る。最寄り駅に着いたらご両親とランチをする約束。もともとは彼と二人でランチを済ませて実家に向かう予定だった。おすすめは地元のB級グルメ。初めての実家訪問の直前にジャンクフードを食べるのは不敬なのでは?と思い避けていたが、ご両親からランチに誘われ、同じお店を勧められたのでそこになった。お店につくと混んでいる。待合席が2つ空いて、義父が義母と私を先に入れてくれた。横並びに座り、「暑いですね」「一昨日までそうでもなかったんだけど」「夫はおにぎりを爆食いしてましたけどお腹すいてますかね」「だからあの子は太るのよ」などと話していると順番が来た。ボリュームが小・中・並・大とあり、義母が「並の小盛りで」と注文してそのまま通っていた。日に焼けた五木ひろしのサインが飾ってある。

その後、一旦ご両親と別れてドライブ。彼は久しぶりの運転だと言うが、狭いスペースを使ってUターンするテクニックなど見せつけてきて、かっこいいねと褒めたそばから事故りかけている。お祭りが開かれている公園を見つけて入った。彼はチラシを受け取ると、大声自慢大会終わっちゃったかーと残念がる。年配の夫婦から写真を撮ってもらえませんか?とお願いされて「撮りまあす!はい、チーズ!!」と声をはりあげている。公園をぐるりと歩いて、実家に向かった。

大きくて立派な日本家屋、中庭には白いツツジが咲く。玄関で出迎えてくれたおばあさんは、はっとするほど美しく穏やかな空気をまとっていた。客間で過ごす間、義父が青銅みたいな重厚な灰皿の前に肘をついて煙草を吸い、中庭から差し込む夕陽に煙が透けて綺麗だった。写真を撮りたかったけど、さすがにキモいので辞めた。おまんじゅうやフルーツ盛りをいただいてぱくぱく食べ、アルバムを見せてもらい、かわいい!と驚くところまで一通り”やる”。中学校の卒業アルバムには、好きな芸能人:チュートリアル・タカトシ、嫌いな芸能人:細木数子・ふかわりょう、とあった。

夜には料亭へ向かい、義父の姉夫婦と、夫の弟も揃って食事を。乾杯の挨拶で「一家に、ヨモヤマさんを迎え入れることとなりました」と義父が涙を浮かべながら宣言した。コース料理はご馳走すぎて誰もが序盤で満腹になり、どうぞこちらもお食べになって、もっと召し上がる?と肉一枚海老一尾を少しずつ押し付けあう。そんな中、隣の席に座る義母が、嫌いなものよけとこっと!と言うので、何が苦手なんですか?と聞くと、その皿にある全ての食材を並べ挙げた。帰りは運転に慣れた弟にホテルまで送ってもらう。近くのお店でジンソーダを一杯だけ飲んで帰った。

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