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Poem)水の音を聞く

水の音を聞く
音の中に沈んで行きたまへと
言われるがまま
こんな日は人混みの中へ進み
自分の音を鳴らしてみる
寄り添う花は夜が来て色をなくした
地面を覆い尽くす緑葉も闇に溶けだした
寄る辺ない岸に立ちながら
音の中へ沈んでいくがいい

水の音を聞いている
するとメキメキと自分の手足から
茎が伸び
水中の記憶がはじまる
人の目の耳の口の
始まりへ
誰かが私の宇宙となり、
あの薄暗い金色の洞穴のような
水中の
遠い音の群れに泳ぎつく
まだ世界が水と音と愛だけだった日に
水に触る
音に触る
私という今日

#詩    #現代詩 





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