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趣味

 「趣味」というとすごく真剣にやっている、とか休みをそれに費やしている。というニュアンスが含まれる気がする。それに値するものがないので「睡眠(もしくは惰眠をむさぼること)」と答えるのだが、だいたい笑われる。なんだよ、良質な睡眠を極めてもいいだろ。
 中学生の頃、英語の授業の自己紹介で「私の趣味は〇〇です」という文言があった。英語で「趣味」に値する単語は「hobby」だが、「My hobby is 〇〇」と言うとめちゃくちゃ極めているニュアンスになるそうだ。「I like 〇〇」で十分らしい。likeぐらいなら、まぁあるか。

 最近、かぎ針編みを始めた。小学生の頃に挫折して以来全く手を出していなかったのだが「今やったらいけるんちゃうか」という謎の自信がみなぎった。フォロワーさんが始めたのを見たというのもある。人がやっているのを見ると「楽しそー!」と思うものだ。いい意味で隣の芝は青い。
 結果どうだったかと言うと、結構楽しい。早々にベレー帽を編み終わり、今はトートバッグを編んでいる。もともと単純作業をするのは好きなので、ずっと同じ編み方をするのは向いていると思う。問題は「目の数を数える」ことだ。
 マルチタスクが全くできないタイプのため、今全体でなん目めなのかを考えながら編み進められない。「針を入れて糸をかけ、引き抜く。糸をかけ引き抜く」の動作を「糸をかけて引き抜く×2」とカウントしながら編んでいるので、全体で今なん目めなのかがわからなくなる。かろうじて数えられるのは鎖編み(1番シンプルなやつ)ぐらいのものだ。横で時そばをやられたら終わる自信がある。目が数えられなさすぎて、ベレー帽を編んでいるときに一周80目のところが何故か100目あった。ベレー帽だから最終的にかぶれるサイズならいいだろうと強行突破したのだがそういう問題ではない。今編んでいるトートバッグもえらいこっちゃだ。方眼編みという、隙間を空けて格子に編んでいく編み方をしているのだが、気を付けて編んでいるはずなのに1目飛ばしたり、1箇所に2回編んだりして無駄に増減している。それも解いて編みなおしたり、端っこだからいいかとそのまま行ったりしている。

 初心者も初心者で、人に作ったり販売したりは夢のまた夢だが、楽しいからとりあえず続けてみようかと思っている。趣味は編み物ですと言う日が来るかもしれない。likeのレベルなら、もう言ってもいいか。

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