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#66 速く情報を得ることが富を生む

情報化社会といわれる現代ですが、200年前にネイサン・ロスチャイルドが、情報がいかに大事かを示した出来事があります。

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Nathan Mayer Rothschild(ネイサン・メイア―・ロスチャイルド)(1777–1836)

当時、今のベルギーのあたりでワーテルローの戦いが起こっていました。フランスVSイギリス、オランダ、プロイセンの同盟軍の戦いです。

フランスを率いるのはかの有名なナポレオンで、イギリスの同盟国を率いるのは、名将ウェリントン将軍でした。

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『Battle of Waterloo(ワーテルローの戦い)』 William Sadler II

そしてそのころ、イギリスの取引所でも静かな戦いが起こっていました。

戦っていたのは投資家たちです。ワーテルローの戦いの結果によって、大きなお金が動きます。というのは、ナポレオンが勝てばコンソル公債(イギリスの代表的な国債)は暴落、ウェリントン将軍が勝てばコンソル公債は暴騰するだろうと言われていたからです。

国債が暴落するとわかれば、早く国債を売った人が損を避けることができますし、国債が暴騰するとわかれば、早く国債を買った人が儲けることができます。

戦いの結果を周りより早く知ったものが勝者となる状況で、売るべきか、買うべきか、取引所の人々は今か今かと情報を待っていました。

今は通信が発達しているのでネットを使って瞬時に情報を送ることができますが、当時はまだ電話もない時代です。新聞などの情報か、人が直接情報を運んでくるのを待つしかありませんでした。

そんな中、ネイサンはロスチャイルド家の素早い情報伝達体制を使って、イギリスの南方の港町でいち早くイギリス勝利のニュースを伝えるオランダの新聞を手に入れていました。これは、ロスチャイルド家の代理人が前の夜にベルギーの港から海峡を渡る船に飛び乗って運んできたものでした。さすが、ロスチャイルド家って感じですよね。

ロスチャイルド家の優れた情報伝達体制は金融界に知れ渡っていた為、みなネイサンの動きに注目していました。ネイサンは、すぐにロンドンの取引所に戻りました。しかし、彼は公債を買いに出ずに売りに出ました。

ネイサンの動きを見た投資家たちには「イギリスは負けた」という噂が広がりみんな一斉に売りに入りました。公債は大暴落、それを見たネイサンはすぐに公債を安値で大量に買いました。

それの少し後に、ウェリントン将軍が勝ったという本当のニュースが伝えられ、公債は大暴騰しました。

ネイサンが最初に売りに出たのは彼が仕掛けた罠だったのです。こうして一芝居を打ってみんなを欺いたネイサンは、巨万の富を手に入れました。ずる賢く、かなり頭いいですよね。

この事件は「ネイサンの逆売り」として言い伝えられるようになりました。(この出来事は作り話という説もあります。)

ネイサンのように人を騙すことまではしなくても、人よりも先に情報を得て行動して人が成功を手に入れているのは、今も変わらないと思います。






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最後までお読みいただきありがとうございました。

参考資料、使用させて頂いた画像など

『朝日百科 世界の歴史10 ー19世紀ー』1991年 朝日新聞社 D728

Pexels Skitterphoto
File:Nathan Rothschild.jpg
Battle of Waterloo 1815.PNG

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