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設計(者)プロポーザルをリ・デザインする#009:選定・審査委員会を組織する(専門委員の選出)

5名で設計(者)プロポーザルの選定・審査委員会を構成する場合、2名はプロポーザルの実施者である自治体職員から選出しますが、残りの3名はどういう方々に委嘱するのがよいでしょうか。

私がこれまで委員やアドバイザーとして関わってきたプロポーザルは、図書館メインのものでしたので、その経験に基づいて話しましょう。仮に図書館の設計プロポーザルであるなら、1名は図書館に関する知見がある方とすべきです。図書館ではなく公民館や博物館・美術館であれば、その施設に相応しい方となります。
図書館の詳しい方となると、図書館司書としての現場経験を有する大学教員がまず候補になるでしょう。実際、しばしば見かけるパターンです。あるいは都道府県立図書館の司書に委嘱するというケースもありますが、最近ではかなり少なくなったように感じます。これは市町村の図書館と都道府県の図書館では役割が異なる点があると理解されるようになったからではないかと思います。
ともあれ、図書館等、これから設計する施設・機関に詳しい人材が1名は必要です。この人物は「使う」ことに詳しい知見を有する方と言えます。

次に欠かせないのが、設計者を選定・審査する以上、一級建築士の資格を有し、実作の経験を相当程度にもつ方です。建築・設計のプロフェッショナルですね。この専門家も大学教員に人材を求めることが多いと感じます。大学教員であり、自身の設計事務所をもつ建築家がベストな人材と思います。この建築士資格をもつ人材は「つくる」専門家と言えます。専門委員の委嘱では、「使う」と「つくる」の双方で適切な人材を得ることが重要になります。
ただし、建築専門の委員委嘱にあたっては、1つ意識しておきたいことがあります。というのは、設計者からすれば、審査員を務めるより提案者になりたいと考えるのが当然だからです。設計(者)プロポーザルの審査委員を引き受けるということは、自分が設計する機会を1つ失うことでもあります。それでも委員を引き受けてくださる方に対して、それなりの敬意と配慮が必要です。この点は別に記したいと思います。

最後の3人目はどういう方がいいでしょうか。ここはプロポーザルの内容次第です。たとえば図書館単独の施設の設計(者)プロポーザルであれば、図書館の専門家をもう1名というのは一案です。設計者をもう1名という考えもありえます。あるいは思い切って市民的な立場の方にお願いするのも一手でしょう。実はこの3人目の決定が一番難しいように感じます。

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