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【都市の経済構造を考えてみる!】(第13回)「民間消費支出をみてみる!(盛岡経済圏)」

前回「観光消費額を確認する!(盛岡経済圏)」(第12回)で、盛岡経済圏の観光消費額を確認しまして、ここまで調べてきました圏内の家計支出と家計収入について、観光消費分の変更を入れました。

今回の第13回では、「民間消費支出をみてみる!(盛岡経済圏)」としまして、前回までの流れから、家計からの消費を、盛岡経済圏の産業連関表にある民間消費支出2.6兆円の内訳からみてみたいと思います。

・【都市の経済構造を考えてみる!】(第12回)「観光消費額を確認する!(盛岡経済圏)」
https://note.com/areaia/n/n4ec9c4e8130e?magazine_key=m4e87da1b572a

      

◯ 岩手県 産業連関表 統合大分類表


統計の方は、以前も見てまいりました岩手県の産業連関表 平成23年 をみていきます。

・岩手県 産業連関表
http://www3.pref.iwate.jp/webdb/view/outside/s14Tokei/bnyaBtKekka.html?C=B0303&R=I015

こちらのページに、13部門表、統合大分類表、統合中分類表、統合小分類表の4種類の産業連関表がありまして、それらの中から統合大分類表をみていきたいと思います。次のリンクからEXCELファイルでダウンロードできます。

・岩手県産業連関表 統合大分類表 平成23年
http://www3.pref.iwate.jp/webdb/view/outside/s14Tokei/tokei.download;jsessionid=3D709837AB9BDCEC38E3703EF9D1FE2D?fileId=s14TokeiInfo-y7dCB.18OYJ.1tIvSy

今回は、こちらのEXCELファイルの「AO」の列にある「39 民間消費支出」の欄を見てまいります。

                  

◯ 民間消費支出を並べてみた!


まずは、「AO」の列の「39 民間消費支出」の欄を切り出してみました。一番下の「37 内生部門計」の欄にある通り、総計で、25,758億円ですね。

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この金額の中に、前回確認しました観光消費額 2,921億円は、宿泊施設だとかお土産屋さんとか飲食店のところで含まれてると考えています。圏内に住んでいらっしゃる方の消費額が、観光消費額分を引いた 圏内家計消費支出 22,837億円 となろうかと推測しているところです。このあたり、前回確認したところです。 

今回、確認しているのが、「統合大分類表」ということで、36部門に分かれて集計されています。36もの産業部門に分かれてはいて、結構、多いな、と思ったりもしますが、個別にそれぞれの欄をみていくと、産業の区分けとしましては、結構、ざっくり感ありますね。もうちょっと細かく分けてあるのも、見たいですね。

こうやって一覧を眺めてみますと、ほぼ全ての欄に消費額が入っているといいますか、ほぼ全ての産業が、盛岡経済圏になんらかの物材を供給しているといいますか、逆にゼロとなっているのは、「21 建設」と「35 事務用品」の2項目くらいですね。

この一覧をみておりまして思いましたのは、盛岡経済圏において、民間消費の主体たる家計は、

 2.3兆円分の物材・サービスを消費している

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わけで、当然、消費があるということは、

 2.6兆円分の物材・サービスの供給を受けている

わけであります。別の見方をしますと、人口130万人の盛岡経済圏において、

 家計が今の生活を営むには、2.3兆円分の物材・サービスの供給が必要である

とも言えます。もし、現代日本で、人口100万人規模の都市を新しく建設しようとしますと、それはインフラや建物だけの話ではなく、このくらいの規模・種類の財・サービスの供給システムも用意しないといかんということですよね。そして、

 2.3兆円分の物材・サービスの消費のために、家計はこの2.3兆円を稼がないといけない

わけであります。

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◯ 金額が大きい順に並べ替えてみた!


さて、消費額の方を細かくみていきたいと思います。部門ナンバーの順から、民間消費支出の金額が大きな順に並べかえてみました。100億円以上の部門が22ありまして、100億円未満の部門は、「その他」として合算しております。

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規模が大きなところからいきますと、1000億円以上の産業部門が、7つあります。

  26 不動産     6,528億円
  24 商業      3,636億円
  34 対個人サービス 3,012億円
  06 飲食料品    2,470億円
  25 金融・保険   1,604億円
  31 医療・福祉   1,264億円
  28 情報・通信   1,022億円

不動産部門が最大の部門というのは、意外でした。細かくみてみないと不動産部門の内訳がわかりませんが、全ての家計で、家は必要で家賃や借地代とかもあります。一消費者としても、家計のやりくりの中で、家賃が占める割合、大きいところでもあります。

続いて、商業部門と対個人サービス部門が、3000億円規模となっています。商業にしても対個人サービスにしても、ちょっとざっくりしすぎてて、中身が見えにくいところですが、飲食料品部門がこれに続いてありますから、スーパーやコンビニというよりも、飲食店とか、飲食料品以外の小売とかですかね。マッサージ店とかスポーツジムとかも入るのかもしれません。

そして、1000億円台で、「金融・保険」、「医療・福祉」、「情報・通信」の3つが続きます。医療・福祉については、支える力として、社会保険の仕組みの中で、以前確認したように、医療保険給付と介護保険給付だけでも4000億円ほどが入ってきておりましたが、それとは別に、医療費の個人負担分などで、1,264億円となっている、という状況です。もちろん、社会保険料負担は、ここには含まれておりません。また、後日確認したいと思いますが、社会保険料給付分や税金負担分あたりまでを含めますと、盛岡経済圏最大の産業部門は医療・福祉部門になるのかもしれません。

これらの金額が大きな部門というのは、世帯構成や年齢層に関わりなく、ほぼ全ての家計で扱いがあるような部門になっていますね。

       

◯ 構成比を入れてみた!


先ほどの表に、構成比率の欄を右側に増やしてみました。

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不動産部門で 25%、飲食料品で 10%、などなど、消費者としての個人の生活感に近しい構成比になっていますね。地域によって産業連関表がない都市圏とかですと、消費動向調査などの消費者の統計から、産業規模を推計できそうです。

構成比が小さい部門は、廃棄物処理など、全世帯で消費するけど、消費金額が小さいもの、か、教育・研究、農業や情報・通信機器など世帯構成、年齢層、嗜好性など世帯によって消費性向が大きく異なりそうな部門が並んでいますね。

          

◯ 構成比を累計してみた!


さらに、前述の表の一番右に、構成比の累計の欄を増やしてみました。

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