サピエンス全史 下

なぜ歴史を勉強するのか?
 未来を知るためではなく、視野を拡げ、現在の私たちの状況は自然なものでも必然的なものでもなく、想像しているよりもずっと多くの可能性があることを理解するため

3.宗教
 超人的な秩序の信奉に基づく、人間の規範と価値観の制度
⚫︎宗教は2つの特性を備えていなければならない。
1. 正しい普遍的な超人的秩序を信奉している必要がある
2. この信念をすべての人に広めることをあくまで求めなければならない
→宗教は普遍的であると同時に宣教を行うことを求められた

科学革命
 人類は科学研究に投資することで自らの能力を高められると信じるようになった

⚪︎科学革命は知識の革命ではなく“無知の革命”だった
 人類は自らにとって最も重要な疑問の数々の答えを知らないという重大な発見だった
 ○無知の産物
  貧困、病気、戦争、飢饑、死

“「私たちはわからない」と言う勇気があったというだけで栄誉を手に入れた”

「知は力なり」
 知識の真価は、それが正しいかどうかではなく、私たちに力を与えてくれるかどうかで決まる。新しいことを可能にしてくれる理論こそが知識である。

⚪︎科学革命での変化
1500年→現在
* 人工  5億人→70億人 14倍
* 生産量 2500億ドル→60兆ドル 240倍
* エネルギー消費量 13兆→1500兆 115倍

⚪︎過去500年にわたって歴史を動かした最大のエンジン
→科学と帝国と資本の間のフィードバックループ
帝国主義
 ヨーロッパの帝国主義はそれまでの歴史で行われた諸帝国のどの事業とも完全に異なっていた
○諸帝国→富と権力を求めて新天地を征服
○欧州→領土とともに知識を獲得することを望んだ

資本主義
 利益を生産に再投資することが経済の急成長に繋がるという考えを普及させた
⚪︎「資本」と「富」は区別された
 資本→生産に投資される財や資源
 富→非生産的な活動に浪費される

⚪︎ヨーロッパの資金調達
 税金→信用へ
 税金は払いたくないが、投資なら喜んでする

人々は進歩という考え方によって将来に信頼を寄せた。その信頼によって生み出されたのが信用で、その信用が経済成長をもたらし、成長が将来への信頼を強め、さらなる信用へと繋がった。

産業革命(第二次農業革命)
 安価で豊富なエネルギーと原材料との先例のない組み合わせを実現させた
⚫︎何が起きたのか?
* 人類の生産性は爆発的に向上した
* 周囲の生態系に依存しなくなった
* 時間表と製造ラインは人間のあらゆる活動の定型になった
* 国家や市場は強大化し、家族やコミュニティの絆を弱めた

消費主義
 多くの製品やサービスの消費を好ましいことと見なし、欲望の満足は自分にとって良いことであるのに対して、倹約は自己虐待だと思い込ませた

⚪︎資本主義と消費主義の価値体系の折り合いをどうすればつけられるか?
→昔から表裏一体であった
⚫︎中世
エリート層→派手に散在して贅沢した
大衆の層→お金を無駄にせず、質素に暮らした
⚫︎現在
豊かな人々→細心の注意を払って資産や投資を管理している
裕福でない人々→本当は必要のない自動車やテレビを買って借金に陥る
⚫︎至高の戒律
富めるもの→「投資せよ!」
それ以外→「買え!」

⚪︎サピエンスは今後どのような世界へと向かうのか?
 これまでの延長線上にない世界
→自然選択の法則を打ち破り、生物学的に定められた限界を突破し始めているから

自然選択の代わりになる3つの形
1.生物工学             
 生物の能力に意図的な介入が行われる  ex.)遺伝子移植など
2.サイボーグ工学 
 生来の感覚や機能が装置によって補強される  ex.)眼鏡、コンピュータ、携帯電話など
3.非有機的生命工学
 完全に非有機的な存在を作り出すこと ex.)独自に進化を遂げているコンピュータなど

人類が世界に意義を与えているもの全部意味をもたなくなる時点が来る(シンギュラリティ)
→サピエンスが再び唯一の人類種ではなくなる時代の到来

サピエンスはこの流れを止めることは出来ないのか?
→科学が進もうとしている方向に影響を与えることしかできない

自分の欲望を操作できるようになる日は近い。そのとき「私たちは何になりたいのか?」ではなく「私たちは何を望みたいのか?」が今考えなければならない疑問である。