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僕と森

僕は森が好きだ。
どこまでも静かで、落ち着く。

一方、都会では息が詰まるように冷汗をかいて気分が悪くなることがある。

都会へ帰り、悶々とするなかスッと瞼を閉じた。
そして考えた。
森の中では、僕は何を感じていたのか。
都会で息が詰まった時、僕はどんな心境だったのか。


森の中にいると、自分の心臓の拍動がわかる。自分が呼吸していることに気づく。自分は今、生きているのだという事実と向き合うことになる。

森は教えてくれるのだ。
僕たちはどこまでも1人だということを。
人間というちっぽけな生き物だということを。

そんな森のそばでおくる昔ながらの暮らしは、尊い。生命を頂いて生きているという事実の真上に日々があるからだ。怠惰に日々過ごせば、自然に叱られているような気がする。


都会は便利だ。だが便利というのは、五感を鈍らせる。生きているという感覚さえ麻痺する。自分が生きていることのありがたみを忘れてしまう。「人生は自分を中心に回っている」と錯覚して、自然にも人にも礼儀を尽くさず、ただ楽な方へ怠惰に身を委ねしまう。このようなやるせなく、生きているの実感が伴わない日々をただ過ごすだけの自分に憤りを抱く。そうやって徐々に心に余裕がなくなって、遂には家族の話でさえどうでもよくなる。

異常だなぁと思う。
でも、それが今の社会であり、僕だ。そういう一連の内省の機会を与えてくれる点も含め、僕は森に入ることが好きだ。

森のような人になりたいと切に思う。

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