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BIMの統一、別荘共同所有、Mapbox画像更新の話(コンワダさん30週目)

 こんにちは、株式会社アーキロイドの亀岡です。今週も社内で話題になった事例からいくつかを紹介します。バックナンバーはこちら

事例1:スーゼネ5社が構造用BIMオブジェクトを統一!

―――概要
 オートデスク株式会社と、株式会社大林組、清水建設株式会社、大成建設株式会社は共同で BIM ソフトウェア「Autodesk® Revit」(以下、Revitと表記)による設計施工の効率的な業務プロセスを目指した「BIM Summit」を 2016 年に発足し、構造設計用 Revit ファミリの整備に向けた活動もその一環として行ってきた。2020 年には、鹿島建設株式会社が参画し、今回新たに株式会社竹中工務店が加わる
 今回のリリースでは、Revit向け構造用ファミリとして、新たに構造系の基礎・杭ファミリ、壁・床のパラメータを追加。また、構造用ファミリは後日公開予定とのこと。

画像:オートデスクニュースより引用

―――この事例について
 このBIM整備に向けた活動では、異なるソフトウェアあるいは社内ルールの相違による非互換性の解消を、取り組むべき課題として挙げています。情報が細部になれば自ずと社内ルールは生まれやすくなります。それゆえに、新たに公開する構造用ファミリの属性情報が統一されるのは特筆すべきでしょう。さらに、今回の発表で新たに株式会社竹中工務店が参画し、いわゆるスーパーゼネコンと呼ばれる大手建設会社5社が揃うかたちとなりました。いよいよ業界全体で変わっていくことは必至な感じがします。
 以前、コンワダさんでも取り上げましたが、国土交通省が2022年度に大規模構造物(一般土木、鋼橋上部が対象となる)でのすべての工事にBIM/CIMを原則適用するという方針を示しています。こうした背景もあり、劇的に変化し始めてるのでしょう。大規模構造物を皮切りに情報を共有する場が醸成されて、住宅を始めとした小規模構造物へも波及していくかもしれません。期待を込めています。


事例2:設立1年でユニコーン化した別荘共同所有スタートアップ「Pacaso」とは?

―――概要
 カリフォルニアに拠点を持つスタートアップPacaso(パカーソ)」 は、共同所有(Co-Ownership)という形にすることで、これまで超富裕層しか買えなかったようなセカンドハウスをより幅広い層に提供する。
 アメリカではインフレが影響し、投資家たちが「オルタナティブ投資」(株式や債券に対する投資以外のすべての投資)を探す傾向にあり、Pacasoも不動産投資先の1つとして挙げられている。
 創業から1年も経たずに、企業価値は10億ドル(約1142億円)に到達し、資金調達では7500万ドル(約85億円)を獲得し、ユニコーン入りをした。(※記事は2021年11月に書かれています。)また、投資家にはソフトバンク・ビジョン・ファンド2(SVF2)も名を連ねている。

―――この事例について
 Pacasoが市場で売りに出ている不動産を購入し、LLC(合同会社)を作り、セカンドハウスを所有したい8名がLLCの共同メンバーとして参加する、という仕組み。購入者は、はじめに8分の1の価格を支払い、所有権獲得後12カ月経過すれば自分の持分を売却できる。また、支払い手続き・メンテナンス管理・インテリアデザインといった面倒な部分をPacasoが請け負う。そのため、購入時に12%のサービス料と月額100ドルの管理費を所有者から請けるというビジネスモデルで成り立っている。
 Pacasoはアメリカのサービスですが、日本国内のサービスで言えばNOT A HOTELが似たようなサービスとして挙げられます。以前、コンワダさんでも紹介したときに「居住」と「宿泊」の二値化から連続値化への移行について触れていましたが、世界的なインフレ懸念によるオルタナティブ投資がこうしたサービスの多様化をさらに進めるのかもしれません。
 時事としてみても勿論面白いですが、歴史的に見てもこれまで定住化の一途を辿ってきた人類が再び遊動化するのか個人としては興味深く、引き続きウォッチしていきたいと思います。


事例3:Mapbox 日本、イギリス、イタリア、フィンランド、インド、中国で50cm衛星画像の更新

―――概要
 Mapbox社が360万km²を超える地域を対象にプロダクトで使用する衛星画像をMaxarの最新衛星画像へアップデート。今回の対象地域は、英国、イタリア、フィンランド、日本、インド、中国。これらの地域では需要が非常に高まっており、Maxar社と協力して最新のベースマップ画像が追加された。 
 本アップデートは、全世界の1億3500万平方キロメートルを高解像度画像へ更新する重大アップデートの一部であり、今後も更新される。

―――この事例について
 Mapboxで使用できる衛星画像をMaxarの提供する高解像度画像へ更新する一環としての今回のアップデート。大きなアップデートとしては、22週目のコンワダさんでも取り上げましたが、やはり今回、対象地域に日本、それもほぼ全国入っているというのが大きいのではないでしょうか。

今回のアップデートの主な対象地域(画像:記事内より引用)

 高解像度と謳われている50cm衛星画像ですが、どの位かと言うと、日本スペースイメージング株式会社(以下、JSIと表記)の説明によると、家屋や鉄塔、自動車等の移動方向など地物の詳細が把握可能相当とのこと。

50cm解像度イメージ図(画像:JSIの説明より引用

 このレベルの解像度になると、緑被抽出などにも活用している事例が見られます。以前、コンワダさんでもMapboxをベースのデジタル地図として開発されたサービスアプリLawnGuruを紹介しましたが、こうしたより優れたデータが提供されることによって国内でも更なる活用方法が生まれてきそうで楽しみです!


最後に

 さて、今週の話題は、大手企業からユニコーン企業、BIMの属性情報から衛星画像までと様々なスケールを(結果的に)渡り歩くこととなりました。次回もまた、お楽しみに下さいませ。
 最後に「スキ♡」を押していただけると、今後の励みになります。よろしくお願いします。三寒四温な近頃ですが、体調に気をつけて良い週末をお過ごし下さい。それではごきげんよう、さようなら。


「今週、社内で話題になった事例」 について
株式会社アーキロイドの社内で話題になった事例(ニュース、リリース、書籍、動画、論文などなど)のうち、いくつかをご紹介します。元記事の配信時期は必ずしも今週とは限りません。数ヶ月前、数年前のものもあるかもしれません。

社外にこれを発信することで、
①アーキロイドメンバーが日々どのようなことに目を向けているのか、を知ってもらいたい。
②せっかく読んでもらえるなら有益な情報をお届けするために、自分たちの情報感度をもっと高めていきたい。
という目論見があります。

メンバーも大半が30代に差し掛かってきたので、備忘録という意味合いが一番強いかも。ご笑覧ください。

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