ロボ医療

AIによる遠隔地医療は可能なのか? その1

目次 ◇その1◇ 医師法について ◇その2◇ プライマリ・ケアについて ◇その3◇ プライマリ・ケアの問題点 ◇おまけ◇ 関連図書の紹介

さっそくこのタイトルを否定をします。 AIは、医業ができません。 その理由は、医師法にAIの医業に関する項目がないためです。

1条 医師の任務  医療と保健指導を司ることによって、公衆衛生の向上と増進に寄与し、国民の健康的な生活を確保する。
3条 絶対的欠格事由  未成年、成年被後見人、被保佐人は医師になれない。
4条 相対的欠格事由  心身の障害、麻薬、大麻、あへん中毒、罰金刑以上の刑に処せられたもの、医事に関する犯罪、不正を行ったもの
6条 登録・免許証の交付及び届出  医師国家試験に合格した者の申請で医籍に登録されたもの、厚生労働大臣が免許を与えたときは免許証を交付する。
7条 医師の処分  戒告、3年以内の医業の停止、免許の取り消しの処分を厚生労働大臣から受ける。第7条の2の医業の停止を命ぜられ、当該期間中に医業を行った者は第32条の規定により1年以下の懲役または50万円以下の罰金または併科
11条 医師国家試験受験資格
15条 医師国家試験または医師国家試験予備試験における不正行為の禁止
第31条の規定により虚偽の事実、不正によって免許を得た者は3年以下の懲役または100万円以下の罰金または併科
17条 医師以外の医業の禁止  第31条の規定により3年以下の懲役または100万円以下の罰金または併科
18条 名称の使用制限  第31条の2の規定により3年以下の懲役または200万円以下の罰金または併科
19条 応招義務及び診断書交付の義務
20条 無診療治療等の禁止
21条 異状死体などの届出義務
22条 処方箋の交付義務
24条 診療録の記載及び保有 
なお、業務上の秘密を守る義務(守秘義務)、虚偽記載、自殺関与、同意殺人、過失致死(傷害)、堕胎の罰は刑法が規定する。

さらに医師法をみてみますと

第三章の二 臨床研修
第十六条の二 診療に従事しようとする医師は、二年以上、医学を履修する課程を置く大学に附属する病院又は厚生労働大臣の指定する病院において、臨床研修を受けなければならない。
2 厚生労働大臣は、前項の規定により指定した病院が臨床研修を行うについて不適当であると認めるに至つたときは、その指定を取り消すことができる。
3 厚生労働大臣は、第一項の指定又は前項の指定の取消しをしようとするときは、あらかじめ、医道審議会の意見を聴かなければならない。
4 第一項の規定の適用については、外国の病院で、厚生労働大臣が適当と認めたものは、同項の厚生労働大臣の指定する病院とみなす。
第十六条の三 臨床研修を受けている医師は、臨床研修に専念し、その資質の向上を図るように努めなければならない。
第十六条の四 厚生労働大臣は、第十六条の二第一項の規定による臨床研修を修了した者について、その申請により、臨床研修を修了した旨を医籍に登録する。
2 厚生労働大臣は、前項の登録をしたときは、臨床研修修了登録証を交付する。
第十六条の五 前条第一項の登録を受けようとする者及び臨床研修修了登録証の書換交付又は再交付を受けようとする者は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を納めなければならない。
第十六条の六 この章に規定するもののほか、第十六条の二第一項の指定、第十六条の四第一項の医籍の登録並びに同条第二項の臨床研修修了登録証の交付、書換交付及び再交付に関して必要な事項は、厚生労働省令で定める。

医師免許を取るためには、大学に附属する病院又は厚生労働大臣の指定する病院で2年以上の臨床研修経験を義務としているので、AIは、このカリキュラムを履修することが出来ないので、現行法の下では、AIが医師免許を取得することが出来ません。

法律の話はこのくらいにして、これからAIの可能性について書きたいと思います。 医療とAIで有名な事例は、IBMのワトソンがあります。

日本で行われているプライマリ・ケアをAIで代替できるのか? そのまえにプライマリ・ケアとは

日本では欧米とは異なり長年プライマリ・ケア医としてのスペシャリティは存在せず、開業医や一般病院の外来などで、一般の内科医、小児科医などによって提供されてきた。 しかしながら日本は、高齢者は複数の疾患を抱え、かつ財政的な理由により長期入院や過剰な医療機関受診を削減する必要に迫られているため、プライマリケア制度の改善が求められている

近年、日本プライマリ・ケア学会が認定する「プライマリ・ケア専門医」、日本家庭医療学会が認定する「家庭医療専門医」などの資格が発足したが、ジェネラリストとしての専門性が統一されておらず、現在プライマリ・ケア関連の3学会(総合診療医学会、日本プライマリケア学会、日本家庭医療学会)が合同でジェネラリストの専門資格について検討中である。2010年に上記3学会が合併し主に一般医・家庭医を中心とした一般社団法人日本プライマリ・ケア連合学会として発足した。同時に病院総合医を中心す日本病院総合診療医学会も発足した。 2017年より総合診療専門医が発足する。

 風邪などで診療所に受診した場合、殆どの人は次の診察をせずに完治してしますケースがあると思いますが、それを表す数値に初診率というものがあります。 

初診率とは、1 日や 1 ヵ月といった一定期間における延 べ患者数に占める延べ初診患者数の割合を指します。 ある日に 40 人の保険診療の患者が来院し、そのうち初診患者は 4 人だった 場合、初診率は 10%です。 初診率 10%は、再診率 90%と同義と解説されています。 さらに各診療科の初診率をみると耳鼻咽喉科は、23%小児科は、31%内科は、11%外科は、9%になります。 おそらくこれらの患者のほとんどは、上気道炎(風邪)だと思われます。 これらの患者に対して80%~90%があまり必要とされない抗菌薬鎮痛解熱薬などが処方されています。 処方の主な理由は、あの診療所では何もしてもらえなかったという口コミが減らす経営上の理由だと思います。 もし、これをPepperのようなロボットが投薬の必要なしと判断したらみなさんはどのように思いますか? おそらくほとんどの人は納得すると思います。

プライマリ・ケアよりもこっちの方が先行しそうです。 病院の自動化に関しては、AIを活用して医療の質向上と業務効率化を目指すKNIの取り組み [NEC公式]を見てみましょう。

次は、AIとロボットが医療の未来を変えるについて書こうと思います。 AIと医療に関して興味をもちましたら高尾洋之さんの鉄腕アトムのような医師 AIとスマホが変える日本の医療をおススメします。