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実は英語より簡単?中国語学習の「難易度」について徹底解説!

「仕事や趣味のために中国語を学びたいけれど、難しそう……」
「英語もロクにできないのに他の外国語なんてムリムリ」

こんなふうに考えて中国語学習を諦めている方、もしくはなかなか始められない方は多いのではないでしょうか。しかし、少なくとも英語との比較で言えば、日本人にとって中国語のほうがはるかに簡単にマスターできることはご存知でしょうか?

もちろん「簡単」といっても外国語を勉強するというのは根気と努力が必要なものです。しかし多くの日本人が英語を義務教育含めて何年も勉強しても日常会話もなかなかままならないのに対して、中国語なら真剣に取り組めば(もちろん大いに個人差はありますが)2~3年、早ければ1年程度でも十分会話できる能力が身につくといえます。

筆者も英語は10年くらい勉強してやっとそこそこ話せる、というくらい(泣)ですが、中国語は日本で社会人をやりながら約1年半でHSK6級(中国語検定の最高級)を取得し、仕事でも概ね問題なく使えるほどになりました。

「でも発音とか英語よりも難しいんじゃ……」
「中国語はSVO文型だから英語のほうが近いんじゃないの?」

このような疑問にお答えしつつ、「発音」「文法」「単語」そして「教材」という観点から、日本人学習者目線での英語と中国語の違いと難しいところ・簡単なところについて解説してきます。

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英語と中国語の違い①発音

中国語と聞いて真っ先に思い浮かぶのがあの独特に聞こえる発音のことでしょう。知っている方も多いと思いますが、中国語は「声調言語」と呼ばれ、音節の中で音の上がり下がりがあり、単語の識別において重要な役割を果たします。カラオケでいう「しゃくり」とか「フォール」みたいなものがすべての音に入ってくるようなイメージなので、これが慣れないととてもむずかしいです。

音の種類も多彩です。日本語では子音(k,s,tなど)は16種類で母音は「あいうえお」の5種類なのに対し、中国語には21種類の子音と、7種類の基礎母音があります。母音にはさらに複合母音というものもあり、それらも合わせるとなんと36種類にもなります……!

一方で英語の場合、音節の強弱アクセント(例えば"English"の"E"を強く読むこと)がありますが、声調の概念はありません。そして子音の数は24で母音は複合母音も含めて20種類と言われています。

これだけ見ると、やはり中国語のほうが難しそうに思えますが、中国語のほうが簡単な点もあります。

まず、「音の連結がない」という点です。韓国語やフランス語などを学んだ経験がある方はよく分かると思いますが、単語がつながるときに音がくっついたり変化したりするルールを覚えるのはとても大変です……。英語でも音の連結はよくあり、特にリスニングのときに日本人がつまずく大きな原因の一つですね(例えば"check it out"が「チェケラ〜」のような発音になる)。

中国語にはこのような音の連結はないので、もとの漢字の発音さえきちんと知っていれば(理論上は)すべて聞き取ることができるという利点があります。

もう一つ中国語のほうが英語より簡単な点は、「子音で終わる音節がない」という点です。英語には"get"、"stop"、"world"などのように子音で終わる単語が多くあり、日本人はこれらを発音するときに「ゲッ(o)」「ストッ(u)」「ワール(o)」など母音を補ってしまう傾向があります。幸いなことに中国語にはこのような音節がないので、子音+母音の発音さえきちんとできるようになれば良いのです。

また、これはある程度学習が進まないと実感しにくいことですが、「発音がきっちり標準化されている」点も中国語学習者にとっての利点だと思います。英語の場合細かい発音において、方言や地方のアクセントなどを抜きにしても個人差が大きいのに対し、中国では学校などで発音指導を徹底して行うためかそのような個人差を感じにくく、比較的聞き取りやすいと思います。

英語と中国語の違い②文法

文法に関しては、そもそも中国語の場合覚えるべきことが英語と比べて非常に少ないです。時制や人称による動詞の変化もなく、名詞の単数形複数形などもありません。なので文法は中国語学習の中では比較的スムーズに進む部分です(日本語にも英語にもない概念もあるのですべてが簡単とは言いませんが)。

中国語と英語の共通点としては基本文型がSVO(「誰が」「する」「何を」という順番)である、という点があります。しかし、この点を除くとこれらの言語に共通する点はあまりなく、むしろ中国語が日本語に近い部分のほうが多いのです。

例えば「文の要素の省略」です。中国語では日本語と同等か、ときにはそれ以上に主語や目的語などの要素を省略します。例えば日本語で「超好き!」と言いたいときに英語では"I love it!" のように"I"と"it"を補う必要がありますが、中国語なら日本語と同じ感覚で「超喜欢!」(喜欢="like")のように言うことができます。

そして、中国語はSVOが基本とされますが、実は日本語のように"O"の部分が先頭に来る場合も多いのです。日本語で「これはあんまり好きじゃない」と言いたいとき、中国語ではSVOで「(我)不太喜欢这个(这个="this")」と言うこともできますが、語順を変えて「这个(我)不太喜欢」と言うこともできるのです。このように、中国語のほうが英語よりも日本語と似た感覚で文を組み立てられる場合が多いので、直感的に文を組み立てやすいです。

ただ注意してほしいのは、あくまで英語と比較すると日本語に近い、というだけであって、日本語と中国語が絶対的に近いというわけではありません。例えば日本語と一番近い外国語と言われる韓国語などと比べれば、中国語は異次元にあるようなものと言って良いでしょう…..。

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英語と中国語の違い③単語

言うまでもありませんが、中国語の単語はすべて漢字で表され、外来語についてもその意味を漢字で表すか、あるいは似た音の漢字を組み合わせて表します。

「意味」で表す例:"PC"→电脑(電脳)、"online"→线上(線上)
「音」で表す例:"bus"→巴士(バーシー)、"chocolate"→巧克力(チャオカーリー)

一方漢字語については日本語と共通するものが非常に多く、その割合は7割程度とも言われています。特に近代以降に日本で作られた漢字語(政治、経済、法律、科学、学校、警察…)は中国語でもそのまま使われていることが多いのでこのあたりは非常にとっつきやすいですね。もちろん発音は改めて覚えないといけないですが、ある程度日本語と似ているので覚えやすく、これは日本人が持つ大きなアドバンテージになっています。

英語と中国語の違い④教材

言語としての違いではないですが、学習者にとって死活問題となるのが教材の充実度です。参考書の充実度でいったら英語はやはり段違いです。町中の小さな書店でも何かしら英語学習に関する本は置いてあるでしょうし、ネットで検索をかければ優良なサイトがありあまるほどヒットします。

中国語の参考書もそれなりに色々あるにはありますが、初歩的な内容や、特定の場面で使えるフレーズ集などが大半で、中級者以上になると途端に使えるものがなくなってきます。

参考書やスクール以外だと、「生教材」を使って勉強するしかありません。映画やドラマ、小説など、学習者向けではなくその言語のネイティブに向けて作られたコンテンツが「生教材」にあたります。今は動画投稿サイトであらゆるコンテンツが無料で視聴できるので、これらを活用すれば「教材がない」ということはないでしょう。良い時代ですね!

中国の動画投稿サイトやSNSを見ていると気づきますが、中国語の動画にはすべて文字起こしした字幕をつけるのが一般的になっています。なのでリスニング力が足りない段階でも、字幕を見ながら語彙を増やしたり耳を慣らしたりしやすいです。英語の場合映画やドラマだと文字起こし字幕もよくありますが、YouTubeの動画などにはほとんどついていないので、この点では中国語のほうが学習しやすいと言えますね。

英語と中国語の難易度比較〜まとめ

ここまで2つの言語の違いについてさまざまな点から見てきましたが、結局どちらのほうが「簡単」なのでしょうか?あらためてここまでの内容を表にまとめると下のようになります。

英語と中国語の難易度比較

発音は難しいポイントが異なるので比較しにくいですが、中国語のほうが厳密さを求められる分やはり難しいと言えるでしょう。一方で基礎となる文法については英語のほうがだいぶ楽です。

これをふまえて総合的に見ると、初級のうちはどちらも同じくらい苦労するかもしれませんが、レベルがあがるにつれて中国語のほうが楽になってくるといえるのではないでしょうか。初級者〜中級者よりも中級者〜上級者の道のりのほうが当然長いので、そこまでを考えれば中国語のほうがかなり楽になってくる、ということです。

初級の段階でつまづいてしまうと「難しい、やっぱりムリだ…..」と投げ出してしまいたくなるかもしれません。しかしそこをぐっとこらえて壁を越えることができれば、その後は下り坂が待っているのです!(すごく長〜い下り坂かもしれませんが……)


さていかがでしょう、学習を始めるか悩んでいた方も、「中国語やってみよう」という気持ちになれたでしょうか?

「うーん、まあとりあえずやってみようとは思うけど、どうやって始めればいいの……?」

そうですね、始め方がわからなくて立ち止まっている方も多いと思います。こちらについてはまた別の記事で詳細に解説していこうと思います!

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編集:アーキ・ヴォイス外国語スクール