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【ポルトガル】聖アンドレ礼拝堂

場所:ベージャ (Beja)、ポルトガル
時代:15~16世紀初め

ベージャはポルトガル南部にある小さな町で、有名な観光地でもなく、この国の古代史に興味のない人は関心がないと思う。しかし歴史的には、特にローマ後にこの地を支配した西ゴート王国についての博物館や、13~14世紀の中世の城(ベージャ城)があるので、歴史好きな人には面白いところだと思う。スペインのトレドからレンタカーであちこち巡って訪れたので、公共交通機関での行き方はよくわからないが、汽車やバスもあり、リスボンからだと2時間半くらいで行くことができる。

聖アンドレ礼拝堂 (Ermida de Santo André)

この町を訪れたのは2022年の年末で、12月とはいえ温暖な気候が気に入った。ポルトガルが定年後の移住先として人気があるのも頷ける。訪れた目的は西ゴート博物館の見学だったが、町を散策したときに面白い教会を見つけた。この白い教会(Ermida de Santo André)の歴史については、最初に建てられた年代は正確にはわかっていないが、現在の建物は、ベージャの町が1230年代にポルトガル王国領になってしばらく後に、おそらく16世紀初めごろに建てられたものとされ、中世ポルトガルにおいて、ゴシックとムデハルが混ざり合った独特の建築様式で知られている。

礼拝堂正面と入口、側面

ムデハル様式は、レコンキスタ後にイベリア半島において残留していたイスラム教徒と、新たな支配者キリスト教徒が発展させた建築様式である。建物には12の側塔があり、見るからにイスラム風であるが、12使徒を表しているのではないかと言われている。建物の周囲は地域の人の公園になっていて、子供が自転車に乗る練習をしていたりと、全く平和でのどかな風景だった。ただ残念ながら、訪れたときは入口が閉まっていて、建物内部を見ることができなかった。

礼拝堂 (ベージャ)の位置

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