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アリス・コード~wind of kowloon~ ⑤紅蓮の言霊

公安局医務課にある集中治療室
辛うじて罪響は京条に助けられ、一命は
取り留めたが、油断が出来ない状態だった
京条「罪響、、、」
治療室からガラス越しに罪響の姿を
涙を堪えている京条
そして京条に呼び出された露暗がいる。
露暗「京条さん、、
   一体反照で何があったんですか?」
京条「観るも無残だったわ、、一方的な殺し
   があった、、ただそれだけはわかる
   しかし、誰がやったかわからない。」
露暗「悠月は、、、本当にあの蟲の組織に
   誘拐されてしまったのですか?」
京条は長い髪をゆっくりとかき揚げ困惑した表情を露暗にみせた。
京条「可能性がある。
   罪響が私に伝えた九龍城という言葉、、
   きっとあの裏新宿の魑魅魍魎達が
   あの金玉男と絡んでいるに違いない」
露暗「キム・オンナムが所属していた
   蟲の組織、、、ですね。」
京条「あぁ、奴は雅落を黒の象徴にした後
   きっと蟲の組織を率いて人間に代わって
   魑魅魍魎の世界を作り出そうとした。」
露暗「3年前、、ですね。有珠もあれから
   術式を学び、俺自身も一燈寺の血族として
   魑魅魍魎、そして人間が共存できるよう
   努力したつもりでしたが、、、」
京条「とうとう雅落を超える黒い力が
   動き出した、、そう考えるしかない。」
そう言い放ち京条は医務課の出口へ歩き出す
露暗「京条さん、一体どこへ?」
京条「ちょっと野暮用だ、お前は伝承課へ行って昔の裏新宿で起こった魑魅魍魎に関する事件を調べてこい」
露暗に振り向き様、京条は少しにこやかな表情で不器用に言う。
京条「有珠を、また失いたくなかったら
   ちゃんと側にいろよ、、ばかたれが」
露暗「ちょ!?京条さん、それってどういう意味ですか?!」
京条「はいはい、仕事に戻りな、露暗
   私も後で伝承課に行くから、じゃあな」
困り顔の露暗が京条が去ったあと呟く
「、、、バレてるのかなぁ。俺達」


魔都東京から少し離れた場所に公安局の霊園がある。
殉死していった刑事達の墓碑、そして名前が刻まれている。

宇溜芽勇駱の墓、かつての京条の部下
3年前、魔新月を食い止める為、そして
京条を庇い、殉死した。戦友、そして相棒であった。
宇溜芽がよく吸っていた煙草に火を付け
石碑の前に添え、京条は手を手を合わせる。
京条「宇溜芽、そっちはどうだい?
          あんたの替わりに来たあの馬鹿たれ
          一丁前に彼女が出来たみたいでよぉ、、
         何も言わないけど有珠と上手くいってる
        みたいね。。
       私は女としての幸せはもうないけど、
       私はあの二人には幸せになって欲しい、、
       どう思うよ、宇溜芽?」
宇溜芽が好きだった煙草の煙が優しく風にふかれ
少し灰が落ちた。
「、、、ってあんたに言ってもしょうがないか」

少し風が強く吹き、京条は後ろに誰かがいる気配を感じ取った。
京条「、、、誰だい、あんた?」
緑の中華服を着た大男は京条の問いにゆっくり答える。
玄武「俺の名は玄武、公安局捜査一課の京条だな。」
京条「お前、魑魅魍魎か、、、?」
玄武「少し違うが、答える必要はない。
         貴様にはこの件を手に引いてもらいたい」
京条「断ると言ったら、、、?」
玄武「死んでもらう」
京条「、、、それは出来ない相談だな!!!」
京条が渾身の右ストレートを玄武の顔を捉える
しかし、玄武はビクともしない。まるで蚊に刺された様な嫌な顔で京条をみつめる。
玄武「ゴリラみたいな怪力と聞いていたが、、、
          我々の敵ではないな。」
京条「全然、、効いてねぇのかよ?!」
この玄武が異常なのだ。京条の力は大人の男より断然あり、京条の拳を食らった者は只じゃすまされない程の威力、それが目の前に立ち塞がるこの大男には全然効いていない事に京条は少し恐怖心が生まれる。
玄武「人間とは、、やはり弱いな
          そして魑魅魍魎もな。
          そして我々が世界を変えるべき存在だ。」
玄武は力を入れ雄叫びを挙げた。
身体が徐々に鋼の様に固くなり血管は盛り上がる
その姿はまるで異界の生物の様であった。
玄武「だいたいこれが40%、、、だな」
京条「お前、、、!?化け物か?」
玄武「俺達は人間、そして平和ボケして弱々しくなった魑魅魍魎に変わってこの世界を変える者、滅紫亜に選ばれた者だ」
京条「滅紫亜、、、だと!?」
空気が振動するほどの玄武の拳が
京条めがけ放たれた。
間一髪、回避した京条だったが宇溜芽の墓石は玄武の拳によって粉々に砕かれた。
玄武「たわいもない、、弱き人の子よ。」
だがその時、玄武は頬に違和感を感じる。
「、、、これは」
玄武の頬が少し焦げている。
まるで焼印を押された様になっていたのだ。

砂埃が舞う霊園に玄武には京条の姿は見えないが
強く勇ましい言霊が霊園に響いた。

京条「我は放つ! "紅蓮"の言霊を!!
        熱き魂を極限まで燃やす神焔の華よ。咲き誇れ! 紅蓮華!!」
京条の右手に
真っ赤な彼岸花の紋章が浮かび上がる。
砂埃が収まり京条を姿を捉えた玄武が驚きの声を
あげる。
玄武「紅蓮の言霊、、だと!?」

京条「私はアイツらみたいに月の力はない、、
          けどな!いつかお前みたいなクソ魔物が
   現れた時に私も独学だけど術式や身体の鍛錬してたんだよ!みっちり1年間な!さぁ玄武といったっけ!?宇溜芽の墓石を壊したツケ!
署ではらってもらうよ!覚悟しな!!」

こうして紅蓮の言霊を会得していた京条、そして
蟲の組織"滅紫亜"に所属する玄武の壮絶な戦いの幕があがるのであったー
          
ーつづくー  


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