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日銀の進むべき道、「低インフレなので金融緩和を継続すべき」は論点がズレている

投資猫レイです。

日銀の金融政策に変化の兆しが見えています。日銀の進むべき道を考えます。

通常、日本の金融政策は、グローバルな投資家の注目をそれほど集めません。しかし、最近の注目度は世界的に非常に高いです。

10年に及ぶ黒田総裁の挑戦は讃えられるべきだと考えますが、その極端で異例の金融緩和が日本の経済、金融システム、金融市場にもたらした副作用にも目を向ける必要があります。

日本で緩和的な金融緩和が継続されることは自明

日本のインフレ率は4%程度まで上昇しているが、低下する見通し

直近では日本のインフレ率(CPI)は前年比+4%程度まで上昇しており、日銀の目標である2%を上回っています。しかし、コンセンサス予想では、2年以内にはインフレ率が1%台まで低下すると見込まれています。Arcadeでは、日本のインフレ(CPI)には、企業間物価指数(PPI)の上昇分が非常にゆっくりと長期間に渡って転嫁される傾向があると見ているため、コンセンサス予想程の急激なインフレ率の低下は起こらない可能性があると予想しています。しかし、世界的なインフレが一段落する中で、日本のインフレ率も低下傾向を辿ることは間違いないでしょう。


日本のインフレ率が低い背景には、デフレマインド以上に、構造的な要因が存在する

日本のインフレ率が低い理由として「デフレマインド」が頻繁に指摘されます。たしかに日本の消費者の値上げへの許容度は低いですが、それは日本のインフレ率が低い理由の一つでしかありません。より構造的な問題として、公共サービス系料金と家賃(帰属家賃を含む)の低インフレが挙げられます。

公共サービス系料金とは、例えば、医療費や学校費を指します。これらの価格は、明示的あるいは非明示的に、政府によって実質的な価格統制を受けており、インフレ率は長期的に低位で推移しています。

また、家賃については、特に地方で、人口減少を背景に慢性的な供給過剰が起こっているため、インフレ率は引き上がりません。

これらの二項目は、例えば米国では過去10年に渡ってむしろインフレ率を高める要因でしたが、日本では総合インフレ率を低位に安定させる要因となりました。


緩和的な金融緩和が継続されることに異論はない

インフレ率の低さ、及び、0%台半ばと推定される潜在成長率を踏まえれば、緩和的な金融緩和が継続されることに異論はないでしょう。この点は、概ね万人が同意するところで、タカ派に位置づけられる次期正副総裁候補からも異論は出ないと思われます。



金融緩和は継続すべきだが、極端な政策は見直すべき

論点は、異例の金融緩和を継続する理由があるかどうか

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