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解説するびとろ 第7回 J1第4節・J2第3節

本日もやってまいりました #解説するびとろ のコーナーです。今日は3/13に開催された2試合からあったシーンを見てみたいと思います!

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判定○ 水戸1点目 安藤瑞季選手に反則はあったか?

主審 御厨貴文さん

水戸の1点目のシーンです。ドリブルでペナルティーエリア内に侵入した水戸11安藤瑞季選手のタッチが大きくなり、その結果磐田DF陣はGK八田直樹選手に処理を任せたためにギャップができます。

50-50のボールに対し足を伸ばした安藤選手がボールに触りましたが、ほぼ同タイミングで八田選手のレガースとスパイクの間に足裏が当たっています。

レギュラースピードで初めて観たときには何の違和感を持たないゴールでしたが、その直後に八田選手が傷んでいる様子があり、接触があったことに気づきました。

この記事を書くにあたり、スロースピードにしてシーンを見ましたが、①安藤選手のボールコンタクトが先だったこと および ②八田選手が足を伸ばした結果起こった接触であること からノーファウルとすることは妥当だったと思います。

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J1第4節 徳島ヴォルティス-アビスパ福岡 特集

主審 山本雄大さん 副審1 平間亮さん 副審2 村井良輔さん 第4の審判員 吉田哲朗さん VAR 柿沼亨さん AVAR 西山貴生さん

J1昇格組の一戦となった徳島ヴォルティスとアビスパ福岡の試合です。山本雄大さん率いる審判団によって素晴らしいコントロールがされていました。

その中で議論を呼びかねないシーンが数シーンありましたので、まとめてみます。

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判定◎ ジエゴ選手のハンドは反則だったか(PK)

(該当シーンにジャンプします)

高く浮いたボールをヘディングしようとしましたが、ヘディングを空ぶってしまったジエゴ選手の広げられた腕にボールが当たりました。そのシーンがハンドなのか見ていきます。

上記のようなツイートをしていますが、少し詳細に解説します。

まず前提条件として共有したいこととして「手・腕に当たる=ハンド」ではないということです。その上でハンドとなる条件をまとめたツイートと条文を引用して、どういうときにハンドとなるか再確認してみます。

少し長くなるので、結論を先に説明すると、あの状態であれだけ手を広げてしまって、かつ自分自身の意図的なプレーから当たった訳ではないので、ハンドとするのは仕方ないと考えます。ハンドを取った方が自然だと感じます。

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ハンドになる場合

手や腕をボールの方向に動かす場合を含め、手や腕を用いて意図的にボールに触れる。
◦ ゴールキーパーを含め、偶発的であっても、手や腕から相手チームのゴールに直接得点する。
◦ 偶発的であっても、ボールが自分や味方競技者の手や腕に触れた直後に
・ 相手競技者のゴールに得点する。
・ 得点の機会を作り出す。
◦ 次のように手や腕でボールに触れたとき
・ 手や腕を用いて競技者の体を不自然に大きくした。
・ 競技者の手や腕が肩の位置以上の高さにある(競技者が意図的にボールをプレーしたのち、ボールがその競技者の手や腕に触れた場合を除く)。
これらの反則の範囲は、ボールが近くにいる別の競技者の頭または体(足を含む)から競技者の手や腕に直接触れた場合でも適用される。
(2020/2021サッカー競技規則 P.104より抜粋・太字筆者)

以上のような場面でハンドの反則となりますが、このシーンで適用できる条文は太字で示したところだと考えます。

①手や腕をボールの方向に動かす場合を含め、手や腕を用いて意図的にボールに触れる。

ジエゴ選手は本当の意味で「意図的に触っている」とはいえませんが、あのシーンで手を広げてしまっているということが「未必の故意」があるとみなされ、ハンドを取ったという解釈です。広げたらそうなるよねという解釈です。

②手や腕を用いて競技者の体を不自然に大きくした。

あのジエゴ選手の動きは手の位置として不自然で、体を大きくするために手・腕を使ったという解釈です。その解釈も理解できます。

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ノーハンドとなる時

競技者自身の頭または体(足を含む)から直接触れる。
◦ 近くにいた別の競技者の頭または体(足を含む)から直接触れる。
◦ 手や腕は体の近くにあるが、手や腕を用いて競技者の体を不自然に大きくしていない。
◦ 競技者が倒れ、体を支えるための手や腕が体と地面の間にある。ただし、体から横または縦方向に伸ばされていない。
(2020/2021サッカー競技規則 P.106より抜粋・太字筆者)

今回ジエゴ選手はヘディングを空振ってしまっているので、太字の競技者自身の頭または体(足を含む)から直接触れるには該当しません。この直接触れるということに該当しないため、この条文を基にノーハンドとすることはできないですので、ハンドとするのが妥当かと思います。

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主審◎VAR◎ ドウグラスグローリ選手にハンドはあったか (Not PK)

90+0:08のシーンです。 DAZNでは2:00:30から見ると丁度良いかと思います!

このシーンでは、徳島10渡井理己選手のシュートが2mほど離れた福岡33ドウグラスグローリ選手の腕に当たっています。しかし、上で確認したノーハンドの条件である「近くにいた別の競技者の頭または体(足を含む)から直接触れる」かつ「手や腕は体の近くにあるが、手や腕を用いて競技者の体を不自然に大きくしていない」という部分に該当するためノーハンドが正しいと考えます。

主審の山本雄大さんも腕に当たったこと自体は認識している様子でしたし、VARルームのチェックも非常にスムーズに行われていたナイスジャッジでした。

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副審2◎ VAR◎ 村井良輔さんのナイスジャッジ

(該当シーンにジャンプします)

徳島10渡井理己選手がゴールを揺らしますが、副審2村井良輔さんのスーパージャッジでオフサイドが見極められ、ノーゴールの判定です。VARのチェックでもオフサイドであることが確認され、ノーゴールが正しいことが認められました。

スクリーンショット 2021-03-14 09.58.39

(https://youtu.be/6e4smgPVj4U?t=290よりキャプチャ・丸は渡井選手)

これがオフサイド判定のタイミングですが、非常に選手が密集しており、ただでさえ難しい判定です。加えて、ゴールライン上にいた福岡の選手がコーナーキックが蹴られた直後にラインを上げたため、難易度はさらに上がります。

VARの導入でチェックやレビューばかりに注目されますが、日本の副審のレベルの高さのおかげで、遅延が少なくなっています。その素晴らしさにも感謝したいなと感じられるシーンでした。

村井良輔さんはシグナルもきれいで、ステップも非常に勉強になるので、見本におすすめの副審の方です!カメラに映りやすい副審2をされることが多いので、それもおすすめポイントです!

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番外編 主審山本雄大さんの素晴らしい対応!

試合終盤足をつった福岡11山岸祐也選手に対し、山本雄大さんが足を伸ばしてあげるシーンです。そして、主審の任務である担架の要請もスムーズに行っており、基本にも忠実かつ選手思いの素晴らしい対応でした!

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本日は以上です!皆様いかがだったでしょうか?ご意見・ご感想お待ちしています!

引き続きよろしくお願いいたします。

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