記事一覧
鴨東物怪録5「祭」
( 前 → https://note.com/arbiter_pete/n/n439963b1200b ) 呉竹のよよにあふひの祭かな 三浦樗良 世の中には、二種類の大学生が存在する。一つは、四月には心機一…
鴨東物怪録4「目借どき」
( 前 → https://note.com/arbiter_pete/n/ne308590228d1 ) 顔拭いて顔細りけり目借どき 岸田稚 春眠暁を覚えずと言うが、季節を問わず二日酔いに朝は訪れない。と…
鴨東物怪録3「流し雛」
( 前 → https://note.com/arbiter_pete/n/nd5719e33f042 ) 流し雛堰落つるとき立ちにけり 鈴木花蓑 呼び出されて表へ出ると、大家の老婆が、手のひら大の丸い藁を…
鴨東物怪録2「節分」
( 前 → https://note.com/arbiter_pete/n/n89e6d7917755 ) 節分の宵の小門をくぐりけり 杉田久女 諷詠館に越してから一月も経たないのに、その間に不思議なこ…
南方熊楠、牛王符を焼いて飲み干す事(小説・十二支考②)
( 前 → https://note.com/arbiter_pete/n/n0543d0931f8f ) 「予は熊野牛王の外の牛王を見たことないゆえ、何とも言えぬが、熊野の牛王は幼時たびたび見もすれば、小学校…
プラネテス第2話「夢のような」
① 「ハチマキ編」第1話 第1話ではタナベを主人公に、彼女の動機とキャラクター、そして課題(彼女の愛の「薄っぺらさ」)が示されるとともに、彼女を取り巻く友人たちが描かれていた。
第2話では視点がハチマキに移り、同じように動機とキャラクター、そして課題(叶うはずのない夢と向き合うにはどうすればよいか?)が示され、そして、彼を取り巻く友人たち、特に、後に非常にストーリー上重要な役割を担うチェンシン
プラネテス第1話「大気の外で」
名作アニメ「プラネテス」の地上波での再放送が始まったらしい。この機会に全話観返してみようと思う。
ということで、第1話「大気の外で」。脚本の大河内一楼か誰かが、インタビューで「プラネテスの第1話には、プラネテスのエッセンスがすべて詰まっている」的な話をしていたのを覚えている。気がする。
正直なところ、プラネテスに一番ハマっていた中高生のころ、第1話の印象はかなりあっさりしたものだった。けれ
鴨東物怪録4「目借どき」
( 前 → https://note.com/arbiter_pete/n/ne308590228d1 )
顔拭いて顔細りけり目借どき 岸田稚
春眠暁を覚えずと言うが、季節を問わず二日酔いに朝は訪れない。となると、春の二日酔いには昼さえやってこない。意識を取り戻したときには、短針はすでに右上を指している。
そういったわけで、目覚めたときにはとうに昼を過ぎていた。
どこにいるのか把握する
鴨東物怪録3「流し雛」
( 前 → https://note.com/arbiter_pete/n/nd5719e33f042 )
流し雛堰落つるとき立ちにけり 鈴木花蓑
呼び出されて表へ出ると、大家の老婆が、手のひら大の丸い藁を手に、門前で待っていた。
藁の中央には、かろうじて一対の男女だということが分かるシンプルな人形(ひとがた)が載っている。大家曰く、去年の雛祭りの日に下鴨さんで買った雛人形らしい。家の穢
鴨東物怪録2「節分」
( 前 → https://note.com/arbiter_pete/n/n89e6d7917755 )
節分の宵の小門をくぐりけり 杉田久女
諷詠館に越してから一月も経たないのに、その間に不思議なことが立て続けに起こっている。そこで、大家の老婆に相談したところ、馴染みの霊媒師を紹介してくれるという話になった。
果たして信用してよいものか疑問ではあったが、霊媒師というのがどんなものか
南方熊楠、牛王符を焼いて飲み干す事(小説・十二支考②)
( 前 → https://note.com/arbiter_pete/n/n0543d0931f8f )
「予は熊野牛王の外の牛王を見たことないゆえ、何とも言えぬが、熊野の牛王は幼時たびたび見もすれば、小学校で紛失品あるごとに牛王を呑ますと威されたので、その概略の容体を覚えおる。烏を何羽点じあったか記憶せぬが、まずは『和漢三才図会』に書いた通りのものだった。盗人などを検出するには、これを焼いて