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ぼくがアイドルものに挑んだ理由〜ある同人ゲーム制作者の憂鬱といわゆるあとがき〜

こんにちは、a.r.b. Gamesです。
「クソデカ激重感情大盛りエモマシマシシリアスダブル残念美人で中和」が該当するジャンル名が分からず、いつもカテゴリタグ付けに悩んでいます。

端的に言うとこの記事は私の制作した同人ノベルゲーム RADIANT*SIGN の宣伝の一環なので、何も読まずに下のリンクを開いてプレイしていただけたら、それが一番いいと思っています。1話10分全9話+α、1クールアニメ感覚で読めるともっぱらの噂の新人アイドルユニットのサクセスストーリーです。お口に合いそうな方はぜひ。

以下は RADIANT*SIGN を制作しようと思い至るまでのあれこれの覚書というか、言い訳とかお気持ちとかの部類です。Pの皆さんがよくなさっているお気持ち表明というやつを、私もしてみたかったところがややあります。noteで書くと、noteっぽい記事になるような空気がありますね。

同人でアイドルものを書こうなんて思った時点でもうお分かりかとは思いますが、書こうと思った動機は、まず第一に某二次元アイドルコンテンツにドハマりしたからです。拗らせておよそ10年になります。なってしまいました。

10年供給があり続けるというのはすさまじいことで、最初はうおー公式!うおー二次創作!すこだ!たまらん!自分も書くぞ!みたいな気持ちが満ち満ちていたのですが、そのうち公式の規模が拡大して供給が濁流のようになり、もう受け取るだけでいっぱいいっぱい…という気持ちになってしまいました。数多のコンテンツが生まれては消えていく今の流れの中で、これがどうしようもなく幸せな悩みなんだということは充分に承知しています。

一方で、生きているコンテンツを追いかけるということは、変化を大なり小なり目の当たりにすることになる訳で、それが受け入れられるものばかりであれば喜ばしい限りなのですが、様々なタイミングや個人的な事情などで受け入れ難い変化が完全にゼロという訳にはいきませんでした。

そのうち本当はああいうのが見たかったのに…とか、こういうのやってほしかったけどきっともうできないんだろうなあ…という気持ちが、コンテンツを楽しむ気持ちと同じくらい積み上がっていきました。だからって嫌いになれたらきっと楽だったけれど、それも無理でした。だって好きになっちゃったし、その全てが失われた訳ではないので。だったら自分が好きになったという事実くらい、最後まで責任を持てるようにいたいと思っています。

今は、自分が食べられるところだけおいしく食べて、他のところは食べられる人たちに任せればいいんだなあというスタンスです。そういう規模になりましたし、新しく食べられるところもどんどん生まれていて、もうなんかコンテンツが生き続けているだけで新たな可能性が満ち溢れて、ただただ尊い世の中です。推しが生きてて世界がハッピー。生まれてきてくれてありがとう。

本題に戻ります。

もともと私は一次創作を主にやっていたのですが、上の理由でしばらく離れることになりました。もちろん、コンテンツを追いかけている間に「自分でもオリジナルのアイドルものをやってみたい」という気持ちが何度も首をもたげましたが、それには知識も実力も足りなすぎるし、自分で動かし始めたらもうただのファンではいられなくなってしまうんじゃないかという不安もあり、何より拗らせた愛憎とか余計な感情が混ざる、下手すれば今まで追いかけてきたコンテンツから離れるための理由になってしまいかねない……と思い、その度に封じ込めてきました。

でも、もう10年経ったし、いっか。コンテンツと決別する訳じゃないけれど、やっと冷静にコンテンツと向き合えるようになってきた今、これまでの愛憎をまとめてここで一回アウトプットしても、そろそろ許される時期じゃないだろうか?

という気持ちにようやくなれたので、着手することができた訳です。もしかしたら禊のようなものかもしれません。気持ちが整えば、あとは早かったです。愛したものと愛したものに見た可能性を全部詰め込めばいいだけでした。知識不足はその通りですが、もう同人だしファンタジーだしと言い張って、高めの解像度を伴った妄想で切り返していこうと思います。いつか実際の現場に取材ができるような立場になれたら、それは本当に幸せなことだなあと思います。

実際に出来上がったものを見ても、コンテンツへの好き嫌いが変わることはありませんでした。むしろ、好きになったものを自分なりにエンターテイメントとして、読んでくれる誰かに楽しんでもらったり心をえぐったりできるものに昇華することだけを考えていたせいで、読者としての自分に死ぬほど刺さりましたし、それがこれまでずっと愛してきた結果なのだと、少しばかり誇らしく思いました。生みの親になることの問題は、全部知っているせいで心からハマりきれないことだとずっと思っていたので、それが自分の手で自分に刺さるものが書けたなんて、まるで奇跡のようだなあと。

もう一つ、本作を書こうとした理由は、王道の成長物語がやりたかったからです。最初は頼りないけど一つ一つ乗り越えるたびに強くなる赤のリーダーとか、最初はストイックさゆえに強烈に拒絶するも、少しずつ赤を認めて最後は一番の理解者となる青の系譜だとか、拗らせお姉さんとか、衝突で生まれる感情の応酬とか、ぼくのかんがえる最強のクソデカ激重感情群を、自分の手で描いてみたかったのです。

結果的には、いわゆるダブルクロスのクライマックスフェーズのRP=クソデカ激重感情の応酬を延々と書き続ける羽目になり、ライティング期間は毎晩胸焼けしながら感極まって泣いていた覚えがあります。とても楽しい時間でした。未だに6話2/4と8話3/4だけは読むたびに自然と涙が滲んでしまうのでテストプレイがままなりません。

キャラクターは可能な限り冷静な視点でバランスを見て揃えたつもりですが、あえてそうしなかった子もいます。大好きな人の生き様に感じたかっこよさを、ほんの少しでも何かの形に残したかったのです。でも後日確認したらご本人はもっと完璧に仕上がっていたので、逆にキャラクターの方が相応にデフォルメされたことになっているのではないかと思っています。見る人が見れば「お前あの人好きだもんなー、もろに出てるぞばーかばーか」って言われるくらいに欲望が漏れていることでしょうが、そのくらいの方がこうしてアウトプットする意義があるのかな、と思います。

今回は、劇中で主人公たちのユニット楽曲となっているBGMについては全て自分の手で作ることにしました。難産でしたがこれも楽しい作業でした。そこまでやって初めてオリジナルユニットをプロデュースしたと言えるというか、ぼくのユニットに他人に口を出されなくて済むぞという気持ちが強かったです。評価のほどは分かりませんが、今自分に出来る全力は尽くしました。どういう感じの曲がやりたかったのかだけでも伝わってくれていたらいいなと思っています。オフボーカルなのは依頼できる心当たりがなかったことがひとつと、自分の中でどうしてもこの人のボーカルじゃなきゃやだ!というわがままがあるのできっとこの先も入れません。あーこいつまた拗らせてんなーという感じで、雰囲気BGMとしてどうかひとつ。

長くなりましたが、こんなお気持ち成分で RADIANT*SIGN は出来ています。無事に完成して自分の気持ちにも一区切り付き、北海道コミティア11でもスペースをいただいたり、ティラノゲームフェス2019にて賞もいただけてありがたい限りです。とはいえ、描き残したこともまだ描けそうなことも残っているので、腰を据えて付き合っていきたいです。

前日譚だとか、後輩世代とか、ライバルの話とか、もっと仕事にフィーチャーした話だとか、あまり本編で触れられなかったユニット内でのやりとりだとか、お姉さんコンビの耽美百合みたいなジャケ写の楽曲とか、7人ユニット構想から拾いきれなかったキャラクターのサルベージとか、ガチガチの育成SLG化とか、何がどこまでできるかはわかりませんが、やりたいことはいくらでも湧いているところです。曲ばかりは流石にしんどかったので、どなたかにお力添えいただけたらありがたいなあとも思ったりしますが、それはそれできっと寂しくなってしまうので、また自家発電で作っていくのでしょう。ちゃんと歌詞まで作ってCDアルバムに出来たらいいですね。

そんなこんなで、ここまで読んでくださった皆様には本当に感謝しかありません。作品の方も、気が向いた頃にご一読いただけたら幸いです。きっと損はさせませんので、どうぞよろしくお願いします。


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