【コーチの壁を超える】体と心で対話する「ゲシュタルトコーチング」体験記
昨年、機会あって「ゲシュタルトコーチング」のワークショップに参加しました。
心理療法であるゲシュタルト療法をコーチングに取り入れるというこのワークショップでは、体感覚を通して自分と深く向き合い、他者とのコミュニケーションを豊かにする、とても奥深い学びがありました。
そして、1年経った2024年9月に書籍が翻訳出版されたそうなので、今一度ワークショップを振り返ってみたいと思います。
言葉を超えた対話に感動した 「ゲシュタルトコーチング」の世界
著者であり講師を務めたのは、英国で長年ゲシュタルト療法のセラピストとして活躍し、現在はICF認定コーチとしても活動、さらにエグゼクティブコーチングのスクールを設立したジョン(ジョン リアリージョイス)さん。
ゲシュタルト療法とコーチング、両方の知識と経験を持つ、まさにこの分野のスペシャリストです。
口癖は「ラブリー!」でとってもチャーミング。
ワークショップの前半では、ゲシュタルト療法の基礎を学びました。
ゲシュタルトとはドイツ語で全体性のこと。
自分自身の今ここの全体性、つまり身体感覚、感情、思考、行動などを統合的に捉え、自己認識を深めることで、より豊かな人生を送ることを目指す心理療法です。
身体で感じることで、いわゆる無意識からのメッセージを自覚して、それをコーチングに活かしていきます。
タンゴで体感する「対等な関係」
そして後半は、ジョンさんの趣味であるタンゴを活用したワークがスタート。
実際にペアを組んでタンゴを踊ることで、コーチングの本質を体感していくというユニークな内容でした。
タンゴはリード役とフォロー役が決まっていて、通常は男性がリード、女性がフォローをします。しかし、リード役が一方的に指示を出すのではなく、フォロー役の動きや意図を汲み取り、気持ちよく踊れるようにリードしていく、まさに「対等な関係性」の中で成り立つダンスなのです。
このワークを通して、コーチとクライアントの関係においても、上下関係ではなく対等なパートナーシップが重要であることを、身をもって理解することができました。
本当のリーダーシップとは
リーダシップって、誰かの手を引っ張って仕向けて行くんじゃなくて、阿吽の呼吸で互いがどう動きたいのかを汲み取って、それに基づいてリードしていくんだということが腹落ちしました。
それができていないと、ダンスがギクシャクするし、曲と合わなくなるし、楽しくない。
そして、流れる音楽を聞く余裕を持ち、隣のペアとぶつからないように配慮しながら臨機応変に相手をリードするためには、基本的なスキルの獲得と経験が必要になる。
それは偉ぶるためでも、権威のためでもなく、楽しくダンスを踊るためなのだと。
体感覚をフル活用! 言葉を超えた対話
ワークショップでは、実際にジョンさんがコーチ役となり、参加者の中からクライアント役を選んでセッションを行う場面もありました。
体感覚を活用したコーチングのアプローチでしたが、身体の動きや、衝動、目に映るもの、耳から聞こえるものすべてツールとして活用していくアプローチでした。
言葉で表現するのが難しい感情や感覚を、体を通して丁寧に探っていくジョンさんのコーチングは、まさに言葉を超えた対話のようでした。
そして、クライアントの体感覚だけでなく、コーチの体感覚や経験、感じたものもツールとして使っていきます。
コーチの価値や判断を伝えることがクライアントの価値観を批判・否定と受け取られかねないというコーチングの基本を超えていくような部分もあり、普段のコーチングと異なる感覚を覚えましたが、コーチが正直な自分を差し出すことで機能する本質的な対話のように捉えました。
基本を否定するのではなく、守破離の離のような。
なので、コーチング初学者というよりは、ある程度の経験を持ったコーチが使うスキルのように感じました。
ゲシュタルトコーチングから私が得たもの
今回のワークショップで、私が特に印象に残っているのは以下の2点です。
1.グラデーションのように、コーチングとセラピーを融合させる
従来の考え方では、コーチングは「ゼロからプラスへ」、セラピーは「マイナスからゼロへ」と、明確に区別されることが多いです。
しかし、人は常に変化し続ける存在であり、心身の状態も日々揺れ動きます。ジョンさんのコーチングは、クライアントの状態に合わせて、コーチングとセラピーの要素を融合させより幅広いものにしてくれるように感じました。
実際にコーチがセラピーを行うというのではなく、器のサイズが広ければ、ちょっと汁がはねても受け止められるし、そういう器だからこその安定感。そんな感じかなと。
私自身、コーチングスクールを修了した後、以前からゲシュタルト療法についても学びを深めていたので、それがこのワークショップで体系的に融合されたのでした。
2.場を共有する全員が対等な存在である
ワークショップには、ゲシュタルト療法を専門とする方、プロコーチとして活躍されている方、組織開発をされている方など、様々なバックグラウンドを持つ人たちが集まっていました。しかし、ジョンさんはもちろん、参加者全員が対等な人間として尊重され、それぞれの経験や考え方が大切に扱われていると感じました。
例えば、ワークショップ中のグループディスカッションでは、ジョンさんは決して自分の意見を押し付けることなく、参加者一人ひとりの意見に丁寧に耳を傾け、対等な立場での対話を心掛けていました。
まとめ| ゲシュタルトコーチングをもっと知ってほしい
ゲシュタルトコーチングは、体感覚を通して自分自身の全体性を深く理解し、他者とのコミュニケーションをより豊かなものへと導く、とても奥深いコーチングの手法です。
今回のワークショップで得た学びを活かし、クライアントとのセッションで積極的に体感覚を取り入れることで、ダンスをするようなコーチングがより意識できるようになりました。
私自身、ゲシュタルトコーチングの個人セッションを行なってます。
ご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。
更に興味のある方へ:この秋、ジョンさん再び来日するそうです!
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