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ラピュタへの道5

前回ラピュタ坂のタイムを書くのを忘れてしまった。
が、その前に、ストラバでラピュタ坂のローカルレジェンドになっていた。過去90日の間に最も多くチャレンジした勲章を手に入れた!
素直にちょっと嬉しいと同時に、ラピュタ坂にこんなに挑戦している人はいないのだなという現実を知り複雑な気持ちにもなったのだった。
ワイは一体何をしているのだろう?という気持ちと、誰もし得なかったことをやろうとしている高揚感が入り交じるみたいな。
で、タイムは7分06秒。52秒短縮。
最後の決死のスプリント(つもり)が効いたのだろう。
しかしKOMには程遠い。2分もの差がある。
しかしまだまだ改善の余地はあるはずだと凝りもせずラピュタへと赴くワイであった。
コースも作戦も前回と同じ。
トイレも済ませた。コレ重要。
今日が本当の実力、今日からがチャレンジの本当のスタートだと、言い聞かせながら多摩サイを北上。
サイクリングロードを走っていると、数多くのジョガーとすれ違い、追い抜く。

ワイも以前はジョギングしてたなぁ。

そこでよく思うのだが、走り慣れているジョガーと慣れていないジョガーの大きな違いに足音がある。
軽快な走りのジョガーの足音は小さく地面を弾くような音で、
足音がやたらと大きく鈍いジョガーは、無駄な力が音に変換されているということなんだろうなぁ、とか思いながらワイの登坂に思いを巡らせると、呼吸音はどうだろうかと疑問が湧いてくる。
ラピュタ登坂の最中ワイは尋常じゃないほど大きな呼吸音になってしまう。
あれって無駄なエネルギーなのかしら…?
試しに呼吸を静かにしてみよう。
とか考えながら陵南公園で休憩。

バワースポットかどうかはしらない

ワイの住まいは多摩川河口方面なのだが、もう桜は散っている。でも2時間程上流に来るとまだまだキレイだ。ロードバイクが趣味になって3年。花とか風とかあまり気にしてなかったことがワイの人生の中での登場回数が確実に増えた。
秋の多摩サイの彼岸花なんてかなり好きだ。郷愁の念に駆られるような、なんとも心地の良い気持ちになり、まさに人生に彩りを与えてくれている。
さて大垂水を超え、辿り着いたよ生涯5度目のラピュタ坂。

この日は雨上がりの日曜日であった。

いつもの作戦に加え、今日は呼吸音を静かにする試みを実行する。
何デシベルかは分からないがそれを登坂エネルギーに置き換えることが出来るなら相当な改革になるぞ!
で登坂開始。最初のT字路までは問題ない。
一瞬の休息を入れ、省エネ省エネ、呼吸も静かに呼吸も静かに。
と心の中で念仏の如く唱え始めるワイ。
そこで悟りを開いた。
ムリ!絶対‼
大きな呼吸音は無駄なエネルギーなんかじゃない!最大限酸素を取り入れる為に発生する自然の摂理だったのだ!
ワイは愚かな目論見をラピュタの麓にかなぐり捨てなりふり構わない大騒ぎ登坂を解禁した。
昨晩の雨のせいで苔を踏んでしまうと後輪は空転してしまう。相当なエネルギーのロスである。
苔をなるべく避けるのだけどここはラピュタ。ガレた箇所もかなりあって、ガレか苔かの選択を迫られる場面も相当にある。
今日はガレを選択せざるを得ないのだが、苔かガレた苔かの選択なんかあると鬼か!と無駄にエネルギーを消費しながらもツッコミが口をついて出てしまう。
半分くらい登ったところで恐れていたことが起きる。
トイレ行きたい。個室の方。
まじか!朝ちゃんとトイレ行ったじゃん!
ここまでいつもよりエネルギーの消費が激しく、酸欠度合いが進んでしまったのだろう。
大腸の中のブツが酸素を求めて外に出ようと出口めがけて大移動を始めたのだ。それはヌーの群れを彷彿とさせ…てる場合か!
まだ半分だぜ!今日は諦めよう!
悪魔が勢い込んでワイに迫る。
いやいや負けるなワイ!括約筋を活躍させろ!
悪魔に抗い登坂を選択したワイに運命は更なる試練を与えてくださった。
おそらくは最も斜度がキツイであろう【たけのこの里】の先にハイカーがラピュタ坂を登っているのだ。しかも団体。5,6人のお年寄りと見受けられる。
キツイヒルクライムをした経験がある方ならご理解いただけるだろうけど、人が見ているところで足を付きたくはないのだ。
見栄で平気な顔をして「クソ、しかたがねぇ」とか悪態を心の中でつぶやき、時には罪のないハイカーを恨んだりしながら登坂をせざる得ない、みたいに登り続けるのだ。
ワイも「クソまじか!」と呟くけど、まだハイカーはワイに気づいてはいないから、
今日はここまでにしよう。狭い道だから邪魔をしてしまう。
と正当な理由に心動かされる。
いやいや!そんなのは取って付けた出来ない理由なのだよ!自分に負けるな!
ワイは気持ちを入れ直して登坂を選ぶ。
でもあのご年配の方々の登坂速度とワイの登坂速度はほんのちょっとだけワイの方が速い。つまり抜くのに結構時間がかかるであろう。
きっとその間お年寄り達からワイは奇異の目で見られ、驚愕の対象に祭り上げられ、喝采すら受け、大きなイベントと化して、彼らの視界に居続ける限りレッドカーペットを歩く大女優みたいに視線に晒され続けるだろう。
登頂出来る自信があるなら良い。
それをプラスの力に変えることも出来るだろう。
でも今のワイ、自分に負けかけている。
そこに悪魔が追い打ちをかけてくる。
「漏らしちゃったら一生の恥だぜぇ」
そう、万が一彼らの目の前で漏らしてしまったら彼らの一大イベントは特大イベントと化し後世に語り継がれるだろう。
しかも後処理はどうする?
トイレまでずっと強制ダンシングして、
トイレでレーパンを洗ってまた履くのか?そんなのイヤだ!
じゃあ下半身裸で多摩サイを走るのか?捕まるわ!
レッドカーペットのど真ん中でお漏らしした大女優の末路に未来はないのだァァァ‼‼

おわかりだろうか?
冒頭の写真はこの上部の拡大である。

敗北。
ワイは冷静に写真を撮りいそいそとラピュタを後にし「和田の里」のトイレに駆け込む(文字通り)のだった。
ヒルクライムとは己との戦い。肉体での戦い。内面との戦い。体内での戦い。
己、強ぇー。勝てねぇ!ワイは最強だな‼

戦績 2勝3敗 2023年4月2日現在

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