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世界の民族人形たち~名古屋で見つけた「リトルワールド」

 世界の国々の人形を集めた展示会「マイコレクション(3)世界の民族人形たち」が名古屋市中区役所地下の「栄四郵便局」で開かれています。
 収集したのは愛知県日進市在住の川田きし江さんと子息の敏章さん。きし江さんは、絵と文で世界の文化を紹介した「地球スケッチ紀行」を4冊刊行しています。これまで世界各地を旅したなかで、今回は約30か国で出会った人形を展示しています。「それぞれの民族の歴史や文化、気候風土が表情や衣装にこめられている」と紹介しています。

川田アゼルバイジャン

 上の写真はアゼルバイジャンの楽器を奏でる人形たちです。見ていると、異国のメロディーが聴こえてくるような気がします。このほか、中国・無錫の泥人形は、明の時代に始まった手作りの人形で、この土地から産出される良質な粘土から生まれたそうです。

note人形3体

 「マイコレクション(3)」とあるのは、2020年11月から12月にかけて、同じ場所で世界の民族楽器展を「マイコレクション(2)」として開催したからです。こちらも珍しい楽器が飾られていました。(写真下)

川田楽器展

 世界の民族の文化やくらしを紹介する施設としては、愛知県犬山市にある野外民族博物館「リトルワールド」が知られています。1983年3月18日のオープン当時、筆者の取材エリアだったので事前に記事にしたことを思い出しました。オープン当時は沖縄県・石垣島の民家やタイのヤオ族、アカ族の民家など17棟からスタートしました。
 南太平洋のヤップ島家屋は、家の周囲にヤシやドラセナといった南国の木を植えて、足元には白い砂を敷き詰めていました。案内していただいた研究員は、「生活を正確に再現していくことで、見て楽しみながら学ぶ博物館にしたい」と意気込んでいました。
 実はリトルワールドの記事が載った紙面は「旅」というコーナーでした。通常は国内や海外の招待旅行があって、先輩記者が書いていました。デスクからリトルワールドの発注があったときは「管内の犬山市内か?」と思ったものです。
 ところが、実際に現場を歩いてみると、珍しい建物や展示物に興味を惹かれました。研究員は「どれも教科書で扱われたことのない民家ですよ」と胸を張っていました。
 同じ犬山市内にある博物館・明治村のように、近代日本が西洋文明を追いかけてきた建築物に比べると見栄えがしないかもしれません。それでも研究員の「庶民生活を肌で感じることができますよ」という言葉が印象に残っています。
 40年前の取材が、その後の筆者の好奇心を広げてくれたに違いありません。もうひとつの「リトルワールド」である川田コレクションとの出会いも、好奇心の延長線上にある気がします。
 「マイコレクション(3)世界の民族人形たち」は、2021年1月31日まで。「旅」をしてみませんか。
(2021年12月28日)
 
 

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