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名古屋の民放、15年で広告収入3割減~21年3月期決算出そろう

 愛知、岐阜、三重3県の広域を放送エリアとしているテレビ局4社の決算が出そろいました。中部日本放送傘下のCBCテレビ(TBS系)と、中京テレビ放送(日テレ系)、東海テレビ放送(フジ系)、名古屋テレビ放送(テレ朝系)です。
 2020年4月から2021年3月までの決算数字は、各社とも減収で、本業のもうけを示す営業利益も減益でした。感染症による経済活動の低迷で、特に旅行や交通関連のスポンサー企業が打撃を受け、放送広告収入が大幅に減ったことが要因です。

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 今年4月からの広告収入は、持ち直しつつありますが、テレビ局の知人は「以前のような広告収入は期待できない」と危機感を募らせます。
 新聞社で放送メディアを担当していたとき、2005年の愛知万博景気が落ち着いた2006年以降、テレビ局の決算数字の推移をまとめたことがありました。売上高の大半を占めるのは放送広告収入です。番組のスポンサーのタイム広告と、番組の合間に流すスポット広告の合計は、ほぼ右肩下がりでした。
 2008年のリーマン・ショック、2011年の東日本大震災と経済環境が悪化していたこともありましたが、若者のテレビ離れが進み、インターネット広告が伸びてきたことが大きな理由でした。
 4社全体の放送広告広告収入(タイムとスポット)は、2006年3月期に約1182億円。2015年3月期には、約994億円に下がっていました。流れは、さらに加速し、今回の決算では約844億円で、15年前の約3割減となりました。

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 テレビやラジオは公共の電波を使っていることから、各社が記者クラブで経営成績を開示します。経済を担当する記者にとって、景気の波に左右されやすいスポット広告の数字は、先行きの経済を見るのに役立ってきました。今後もスポンサー企業の明暗など、一定の景気指標になることを期待しています。
 放送メディアの最新事情を取材した2015年。民放テレビ局でプロデューサー経験のある識者からコメントをいただきました。「地域に密着したエネルギッシュな番組を作れるかがカギだ」と。
 名古屋の民放各社は近年、情報番組の放送時間枠を広げてきました。CBCは午後3時49分から「チャント!」、中京が3時48分から「キャッチ!」、東海が4時49分から「ニュースOne」、名古屋が3時40分から「アップ!」です。いずれも午後7時までニュースと生活情報を放送しています。
 夕方になると、わが家では次々とチャンネルを切り替えながら、「地域に密着しているか」「役立つ情報か」など、番組の講評に忙しい毎日です。もちろん、スポット広告を出しているスポンサー企業のチェックも怠ってはいません。
(2021年6月14日)

(表紙写真は、名古屋の民放4社がヘリコプターからの映像を共同で使うための災害取材リハーサル=2019年12月)

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