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コロナ、震災、脱炭素~新聞に見る「一年の計」(一般紙編)

 元旦に買い求めた新聞各紙をあらためて読み直しています。元旦号は、各社が独自の生ニュースや企画記事を掲載する読み応えのある紙面です。「一年の計は元旦にあり」と言われますから、その年の新聞社の意気込みや力を入れるテーマが見えてきます。
 新聞は読売、朝日、毎日、中日、日本経済の名古屋市内の最終版です。今年の当面の重要テーマは、やはり新型コロナウイルスの感染拡大への対処です。中日新聞の「コロナ病棟不眠不休」のルポルタージュが目を引きました。愛知県豊明市の藤田医科大学病院のコロナ専用病棟に記者が入り、患者への対応に動きまわる防護服を着た医師や看護師を追っています。写真は1月1日午前0時2分。2020年後半になって各紙に医療現場が逼迫しているという解説記事が載るようになってきましたが、新聞記者の強みは現場からの発信力です。年越しの専門病棟のルポ記事は、あらためて医療の緊迫感を伝えてくれました。編集幹部が書いている「編集日誌」(38面)には「私たちがいまどう行動すべきか、おのずと分かるはずです」と記されていました。地域に密着した、皮膚感覚のニュースの強みを久々に感じました。
 毎日新聞も1面でコロナ患者のいる聖路加国際病院で、大晦日に夜勤につく看護師さんの話を書いていました。朝日は大晦日の愛知県救急医療センター(名古屋市)で、着信音が鳴りやまぬ24時間体勢の電話窓口のルポ(38面)です。
 読売新聞では、10年目を迎える「3・11」の記事が印象的でした。東北各地を大津波と揺れが襲った東日本大震災。読売新聞地域版の連載「あしたはきっと」の1回目は、震災後に岩手県陸前高田市から名古屋市立大学看護学部で学び、再び郷里の保健所で保健師として働く女性(23)の物語で始まりました。コロナ禍にあって、地元の保健所で感染者や濃厚接触者への聞き取り調査などに追われています。記事からは、震災から立ち直って、あしたを生きようという思いが伝わってきました。 
 日経新聞のトップ記事は「第4の革命 カーボンゼロ」の連載でした。日本も2050年までに温室効果ガスを実質ゼロにすると宣言したことで、官民ともに目覚めた感があります。連載には、シャープが「太陽光だけで走れる車を目指す」など各企業の技術を紹介しています。
 一方で、経団連は「脱炭素、原発を活用」(読売ほか)と、原発再稼働に意欲を見せています。東日本大震災10年の今年にスタートするいわば「GoTo脱炭素」は、原発事故という複合災害の反省の上に立って慎重に進めるべきでしょう。
 さて、コラムの「一年の計」です。筆者もかつて「世界一名古屋タワー構想 高さ600㍍ デジタル化対応」(1997年1月3日)といった正月ネタを書いてきました。会社を離れた今は、大新聞に載らないような些細な日常のなかから、「あした」を見つけたいと思っています。
(2021年1月10日)
メモ:名古屋タワー構想は2003年に瀬戸デジタルタワー(愛知県瀬戸市)として実現しました。高さは244.7㍍で、東京スカイツリー、東京タワーに次いで3番目です。

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