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女性管理職「舟の会」~名古屋で30周年を祝う会

 東海3県の女性管理・監督職でつくる異業種交流会「舟の会」の発足30周年を祝う会が8月25日、名古屋市内のレストランで開かれました。10周年、20周年を取材してきた記者にとって感慨もひとしおです。
 舟の会が発足したのは1991年です。発起人の酒井澄子相談役が名古屋相互銀行(現名古屋銀行)在職時代、新聞社の先輩記者の紹介で取材したご縁で、「舟の会」を知りました。
 酒井さんは銀行時代、人事部研修課長を経て、1983年に愛知県豊田市の豊田保見支店長になりました。
 マスコミは「日本初の女性の銀行支店長誕生」を伝えています。当時は女性管理職が珍しく、新聞記事になる時代でした。

写真左から20周年の会、会員による30周年を祝う会の飾り、祝30の贈り物

■「長ない会」で責任分担
 舟の会の前身は、愛知県主催の「管理者セミナー」。出席していた女性たちが受講終了後も勉強会を開いたことがきっかけでした。
 2か月に1度、酒井さんや外部の専門家を招いて、改正男女雇用機会均等法など学び、交流を続けています。酒井さんの運営方法は、それぞれに責任を預けるやり方です。
 「長がいない『長ない会』です」というのが、モットーです。
 会社を退社した舟の会のOGらも、これまでの経験を生かして会の運営を支えています。
■助成管理職、道半ば
 30周年を祝う会の直前、名古屋商工会議所は女性の活躍推進に係るアンケート調査結果を発表しました。

名古屋商工会議所のアンケート調査(HPを加工)

 回答企業は397社。70%が従業員100人以下の会社です。女性管理職比率「20%~30%未満」と「30%以上」と回答した企業は23・6%となり、21年の23・5%から微増でした。20年の19・1%から徐々に増えていますが、道半ばの感です。
 新聞社在籍中は、酒井さんら活躍する女性の皆さんを目にして、女性が登場できるような紙面にしたいと工夫してきました。インタビュー連載には女性を半数入れるなどです。
 2019年参院選挙の「識者に聞く」というインタビューには、資生堂で初の人事課長になり、2010年にコンサルタント会社社長執行役員に就任した山極清子さんにお願いしました。
 東海3県向けの紙面のため、東京の企業経営者はなかなか登場しないのですが、山極さんが愛知県や三重県で講演活動をしていたこと、パートナー(ご主人とはいいません)が愛知東邦大学元学長だったことで実現できました。
 こうした努力も道半ばです。実際に新聞紙面の写真付き主な記事の男女数を数えてみると、2020年のある月は男性76%に対して女性は24%でした。東京オリンピック前、運動面でも女性が登場した時期でしたが、それでも「24%」は少ないです。
 インタビューでの山極さんの一言が光っていました。
 「女性活躍は実は働き方改革です。男性にとっても働き甲斐のある会社になるものです」
■働き続ける女性の華ことば
 「好きな花を七つ、挙げられますか」
 詩人の長田弘さんの『最初の質問』のなかにあることばです。
 舟の会20周年記念誌『働き続ける女性の華ことば』には、酒井さんが会員34人から取材した「仕事に向き合う工夫の秘伝書」が盛り込まれていました。
 酒井さんは、会員の働き方や生き方を紹介することで会員以外の人にも役立つ秘伝書にしたいと話していたことを思い出します。
 男性社会という大海原へ漕ぎ出した舟。百花繚乱の多様性あふれる乗組員たちが30周年を彩っていました。
(2022年9月20日)



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