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7年に一度の飯田お練りまつり~雨中の熱演を思いながら

 南信州の山紫水明の地、飯田市で7年に一度の「飯田お練りまつり」が始まりました。3月25日(金)から27日(日)までの3日間です。
 26日(土)は昼近くから雨が降り始めましたが、まつりの華である屋台獅子の郷土芸能「東野大獅子」は、旧市街地の各所で雨中にもかかわらず迫力ある演舞を披露しました。獅子頭は重さ約30㌔。初代獅子頭は飯田市美術博物館に永久保存され、1980年から2代目、今回初めて3代目の獅子頭がお目見えです。

三代目の獅子頭

 傘をさして見入っていた人たちは、「疫病退散や商売繁盛につながれば」と大きな拍手を送っていました。
 また、飯田市本町の人たちが代々、大名行列の衣装や道具、技術を承継して続けている格式百万石の大名行列も市内を練り歩きました。地元ケーブルテレビが中継していました。
 道具は明治の初め、旧若州小浜藩、奥州仙台藩、播州姫路藩の江戸屋敷から諸道具を購入。各藩の石高や格式を考えれば、「優に百万石に相当する」(本町三丁目大名行列保存会)というのもうなずけます。
 所作や掛け声もかつての大名行列の伝統を140年もの間伝えているそうです。節をつけた掛け声の一節は「エーハリワサート-ナー」(威・張・業・途・也)です。文字では伝わらない江戸情緒残る節回しが、家並みのなかを響き渡っています。
 実家の片付けをしていたら「外県 大宮諏訪神社 由緒略誌 式年祭 お練り祭り」(2002年という冊子が見つかりました。飯田お練りまつりは、諏訪大社の式年大祭御柱祭に営まれる大宮諏訪神社(飯田市)の式年大祭にあわせて行われています。
 東野大獅子の記述では、「明治41年の大祭に青年団が協力してかごで大獅子を作り奉納したのが始まりで…」と由緒が書かれていました。以来、国内屈指の大きさを誇る屋台獅子としてまつりを盛り上げています。
 まつりの沿革年表を読むと、1920年(大正9年)は「雨天がちにて不振」とありました。
 今年はどうでしょうか。きょうはかなりの雨に見舞われましたが、大獅子の舞といい、大名行列といい、感染症で沈滞した民意を盛り立てようという気持ちが伝わってきました。
 この「由緒略誌」の後付けには、大宮諏訪神社の総代の一人だった父の名前もありました。雨音を伴奏に日中のまつりの興奮を鎮めつつ、しみじみと郷土のまつりの今昔を味わっています。
(2022年3月26日)
 


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