見出し画像

いつまでお母さんたちに「助けてくれてありがとう」と言わせなければならないのか~困窮状態の子どもたちに給付金支援今年も

 困窮子育て世代を支援する公益財団法人あすのば(東京都港区)から、「入学・新生活応援給付金」の案内が届きました。
 来春、新たな生活を始める子どもたちに数万円の給付金を届ける活動です。これまでの7年間で約2万人の子どもたちにランドセルや学用品を買う給付金を届けてきたそうです。
 今年は急激な物価高が進み、困窮子育て世帯を追い詰めています。11月21日に申込受付がスタートし、すぐ3700人の申し込みがありました。本日12月16日が申込締め切りです。過去最多だった昨年度の申込者1万6067人を上回りそうです。
 昨年度の給付金への寄付額も過去最多となり、当初予定していた給付定員の1600人を増やして2471人に給付金を届けています。
 「あすのば新聞第26号」によると、支給金額は小学校と中学校の新1年生が3万円、高校の新1年生が4万円、大学の新1年生が5万円です。
■きっかけは「ここにいるよ」キャンペーン
 応援給付金は2015年、高校生・大学生の街頭募金キャンペーンがきっかけでした。かつての自分たちのようにひとりぼっちと感じている子どもたちに向けて、「あなたのことを想っている人が。ここにいるよ」と伝える目的でした。初年度の冬は2400人を超す人々から791万6888円の寄付金が寄せられ、200人に給付金を届けることができました。
■いまも大切にしている学用品
 通販生活(カタログハウス発行)とのタイアップも2023年度向けで7年目となります。通販生活の読者向けに誌面で「通販生活あすのば入学準備金カンパ」として呼びかけています。
 2022年冬号は、「子どもたちは、皆さんのカンパで買ったランドセルと一緒に大きくなっています」という特集を組んでいます。5~2年前にあすのば給付金を受けとった家庭から、いまも使っている学用品の写真を送ってもらい、記事にしています。
 「私のパート収入と児童手当、さらに児童扶養手当をいただいてもかつかつの生活でした。(中略)ランドセルは6年間使用するので娘のほしいものを買ってあげたかったのですが予算オーバーで、似たランドセルを必死で探していました。運良くあすのばさんの給付金支給の対象にしていただき、娘の希望するランドセルを購入することができました。皆様のご寄付に甘えて贅沢をさせたかもしれませんが、カバーをかけて大切に使わせていただいております」(47歳/関西地方)
■あすのば代表理事の思い
 制服や学校指定の靴などに給付金が役立っている報告も誌面に載っています。あすのば新聞は、ランドセル以外にも水彩セットや音楽のリコーダーといった学用品に思いのほか、お金がかかる現状が紹介されていました。
 以前にも書きましたが、あすのば代表理事の小河光治さんは、新聞記者当時に知り合いました。あしなが募金や高校生献血の会などの活動を取材したことがありますが、正義感の強い高校生でした。その後も40年近く紙面などで応援してきました。
 ランドセルは6年間大切に使ってもらえる学用品のひとつです。中学、高校ともなると、そろえなければならない学用品が増えてきます。夏の制服も洗い替えが必要です。小河さんらの「一人でも多く給付金を届けたい」という熱意が伝わってきます。
■急がれる貧困対策
 あすのば理事の宮本みち子さんは、内閣府「子供の貧困対策に関する有識者会議」の座長です。宮本さんは記事の中で、学用品や給食費など含めた学習費が公立小学校でも年間32万円(文部科学省調べ)かかるため、母子家庭の平均年収243万円(厚生労働省調べ)の8分の1を占めていると指摘しています。
 8年前に「子どもの貧困対策法」が施行されて、行政からの給付金も増えています。ただ、宮本さんは「いっときのお金を渡すだけでは、貧困から抜け出す根本的な解決につながらない」といいます。スウェーデンのようなシングルマザーでも受けられる職業訓練の充実を提言しています。
 いつまでお母さんたちに「助けてくれてありがとう」と言わせなければならないのか。宮本さんの思いに共感しています。
(2022年12月16日)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?