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愛知のブランド和牛「みかわ牛」~ライバルは意外にも「大豆ミート」?

 名刺交換は毎回するものではありませんが、愛知県知事の名刺は毎回変わります。2か月ごとに県の特産品を印刷しているからです。

愛知県知事の名刺は2か月ごとに推奨する農林水産物の絵柄が変わる

 6月と7月は、愛知県のブランド和牛「みかわ牛」。名刺裏面には「愛知の誇る農林水産物 みかわ牛」とあり、美味しそうな肉の写真とロゴマークが印刷されています。
■生産者らが表敬訪問

みかわ牛銘柄推進協議会の中野会長(中央)と生産者の小栗さん㊨と杉本食肉産業の杉本社長㊧

 みかわ牛銘柄推進協議会(会長・中野修愛知県農業協同組合連合会常務理事)のみなさんが6月3日、名古屋市中区にある愛知県知事公館を訪問し、みかわ牛の魅力をPRしました。 
 協議会の名誉会長を務める大村秀章知事は、米国シリコンバレーから帰国したばかりです。知事は「昨年の大相撲名古屋場所では優勝力士にみかわ牛をかたどった優勝トロフィーと胸肉1頭分を手渡し、全国にPRしました」とあいさつ。

 知事は早速、みかわ牛のすき焼きを試食して、満面笑みを浮かべていました。生産者で協議会理事の小栗道政さんは、「地元のみそ醤油メーカーが、生産の過程で発生する醤油かすを牧場の牛のエサに調合している」と明かし、旨さを強調しています。
■知名度は「まだまだ」
 みかわ牛、愛知県民にもまだ、あまり知られていません。知事も「まず県民に知ってもらわないと」。中野協議会会長は昨年の大相撲の優勝賞品に加えて、地元テレビでの広告も考えていると話していました。
 地元で著名な「肉のスギモト」の杉本達哉・杉本食肉産業社長は、協議会の副会長です。愛知県が秋にオープンさせるスタートアップ拠点「ステーションAi」の中で、みかわ牛のハンバーガーを出す計画を明らかにしました。
■ブランドづくりが苦手な愛知
 素材良し、応援部隊も十分です。
 ただ、愛知県の農産品を取材してきて感じるのは、ブランド戦略が弱いという点です。
 みかわ牛の小栗さんは、知多半島の半田市に牧場があります。半田市が位置する知多半島のJAあいち知多は、「知多牛」のブランドづくりをしています。小栗さんの出荷品には、みかわ牛と知多牛の二つのブランド名が併記されていると聞きました。新城市には「鳳来牛」というブランドもあります。
 渥美半島のトマトにもいろいろなブランドがあります。JA愛知みなみの田原市、西三河の豊橋市もトマトの一大産地です。
 個人的な意見です。全国的に知名度が高い「渥美半島」をブランド名に統一できれば、PR効果は高まると考えていますが、これは簡単ではありません。愛知県は地域の独自性が強い土地柄で、それぞれのJAも競い合っていますから。
■「オチ」は大豆ミート
 愛知県のスタートアップ拠点で、みかわ牛のハンバーグを販売すると書きました。同時に大豆ミートのハンバーガーも販売されるそうです。
 大村知事は「大豆ミート、いいかもしれないな。ビーガンが増えているから。IT関係は多いしね」
 昨年の大相撲名古屋場所では、宮崎牛の賞品が出され、みかわ牛の前に立ちはだかっていました。もちろん、飛騨牛や松阪牛も中部圏の横綱級の和牛です。 
 しかし、みかわ牛など牛肉のライバルは案外、大豆ミートのような食環境の変化なのかもしれません。
(2024年6月3日)

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