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74回目の「電波の日」~通信技術の日進月歩を感じた日

 6月4日は「電波の日」です。名古屋市内の名古屋観光ホテルで「電波の日・情報通信月間」記念式典を取材しました。
 電波の日は1950年(昭和25年)6月1日に電波法、放送法及び電波監理委員会設置法が施行され、電波の利用が国民に解放されたことを記念して設けられました。情報通信月間は、1985年に始まり、1993年まではテレコム月間の名称でした。
 戦後の情報通信の歩みは、日進月歩、ときに秒進分歩のスピードでした。式典主催者と来賓の言葉から変わりようをみてみました。
■総務省東海総合通信局の北林大昌局長

記念式典であいさつする北林東海総合通信局長


 「年初に発生した能登半島地震においては、通信・放送インプラも甚大な被害を受け、被災地では情報のライフラインが寸断されてしまいました」
 私自身、震災における通信インフラの重要性を痛感しています。一方で、この74年の間、特に2000年以降の街角の公衆電話が姿を消していくことに一抹の寂しさと不安を感じます。発災直後は、通話が殺到してスマートフォンがかかりにくくなります。公衆電話が役立つのです。
 北林大昌局長は、「東海地域は南海トラフという広域で大きな地震が予測されており、また近年、全国的にも災害が頻発化・激甚化しております。東海総合通信局としても、災害時の通信手段の確保・強靭化や、通信・放送インプラの早期復旧に向けた官民の連携・協力体制の整備などにこれまで以上に取り組んでまいります」とあいさつしました。
■インフラ整備
 北林局長ガ説明した当面の施策です。
 政府が進めるデジタル田園都市国家構想。東海地域においても東海4県3政令市、通信事業者などで東海地域通信インフラ整備推進協議会を設置し、通信インフラ整備を推進。
 2026年に開催される愛知・名古屋アジア競技大会。放送中継や競技運営などに多数の電波利用が見込まれており、大会で使用される無線局や他の無線設備に影響の及ぶことのないよう、周波数の調整、無線局の免許検査及び電波監視を強化するとしています。4月に競技大会支援対策本部を設置しています。
 情報通信技術・サービスは、今や国民生活や社会経済活動に欠かせないもの。北林局長は「急速に進む人口減少、少子高齢化の中で生活の質の向上や企業の変革、成長、持続可能な社会の構築には情報通信、AIなどデジタル技術の活用が重要な原動力となるものであり、その期待も大きくなっております」と強調しています。
 黒電話から移動電話、ガラケーもスマホに。通信技術の変化の速さは、まだ続きそうです。
■留学時代のアメリカでの衝撃
 次は来賓の古本伸一郎愛知県副知事です。
 定番の知事代理のあいさつのあと、20年前に米国カリフォルニアに留学していた当時のこと。トランシーバーだと思った物体は、移動体通信のセルラーだったというのです。
 トヨタ自動車に入社した古本青年は驚きます。「新入社員には、とっても不便な寮で、何百人もの若い新卒がいるのに公衆電話は1台あるだけ」。
 「夜、ガールフレンドと電話するため、みんな電話の取り合いになりまして、公衆電話の前に夜のラブコールの行列ができるんですよ」
 そこで古本さんはマイカーのカムリに自動車電話をつけます。翌月の通信料金の請求書を見て、ほどなくして置物に代わったと話していました。
■自動運転の実装へ

表彰される「あいち自動運転推進コンソーシアム」の代表者ら


 「あいち自動運転推進コンソーシアム」(会長・大村秀章知事)は、電波の日の式典で東海総合局長表彰を受けました。
 古本副知事は「自動運転は多様な情報通信技術が安全な運行を支えていますが、さまざまな社会課題に対し大きな解決の糸口になるのだろう」と期待しています。
■10月から名古屋で自動運転の定期運行
 今年10月に鶴舞公園の隣に開業するスタートアップ支援施設の「ステーションAi」と名古屋駅間を結ぶ自動運転化を目指したいと明かしたのです。
 式典後の6月10日、大村知事は定例記者会見で10月からの自動運転の定期運行を表明しました。ステーションAiから名古屋駅まで10㌔をトヨタのミニバンで1日6往復する計画です。大都市で定期運行するのは初めてです。
 情報通信の精度を高めながら、公道での自動運転に踏み出すときです。
■デジタルシフトへ経済界の取組み
 中部経済連合会の水野明久会長は、2030年代の導入が見込まれる次世代情報通信インフラ6Gに言及しました。
 また、我が国の既存の基幹システムを見直すデジタルシフトの取組みと多くのエンジニアが定年を迎える2025年問題に向けた人材育成が急務となっているとの見方を示しました。
 水野会長は「中部圏の幅広い就労者の方々において、デジタル変革に向けた取組みを強化し、地域DXの推進に力を入れております」と強調します。
 DX化が遅れがちな中小企業支援も経済界にとって重要になってくるでしょう。
■電波はみんなのもの
 公共の電波です。大いに活用したいものです。電波の日式典では、愛知県春日井市が高蔵寺ニュータウンで実証した自動運転によるオンデマンド型送迎サービスも局長表彰を受けています。高齢化するニュータウン住民の買い物の足を確保すること。この切実な課題を解決するためです。
 各地の取組みを実証実験で終わらせることなく、実用化させることが急がれます。
(2024年6月12日)
 https://note.com/aratamakimihide/n/n43690d46b9f9?sub_rt=share_pw
 
 
 

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