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雑草を刈るために鎌を使った。ずいぶんに久し振りに鎌を振り回す。

昔、私が小学生の頃、祖父は私に山羊の世話をさせた。父はサラリーマンだったが、私の家族は祖父の家に同居していた。祖父はかなりの農家家であった。

私は毎朝、家の周辺の草の繁った場所へ山羊を連れて行き、学校に通うようになった。しかし、雨の日はその繁った草を鎌で刈り取って山羊に与えなければならなかった。なにしろ戦後10年ぐらいの時代なので、飼料なんてなく、自然に生えている草が山羊の餌であったのだ。

祖父はやがて10羽ほどのニワトリを私に与え、それの世話をするようになった。こちらは雑草ではなく、人間、家族たちのためにつくられた野菜を切り取り、細かく刻んで与えなければならない。この野菜を切るためにもときどき鎌を使った。

鎌は手入れが必要である。私は鎌を研ぐことを祖父から学んだ。井戸の脇にキメの違う砥石が設置されていて、目の粗い方から刃を立たせるように鎌を研いだ。仕上げは目の細かい砥石で。鎌はピカピカに光るけれどなかなか切れ味がよくならない。目の立て方が難しいのだ。

祖父はこうやって小学生の私に農業の周辺のことを少しずつ教えてくれた。

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