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病院勤務④

気づくと事務所のそばのヤマボウシの実が
たくさん生っている。
秋になるとこれが真っ赤に色づく。
どう成長していくか、楽しみが増えた。

ボクの学士入学計画は頓挫した。
学園闘争の流れで、卒業という資格が取れていなかった。

2つの方法を考えた。
1つは大学を正式に卒業すること。
そのために毎週1回、とにかく出席日数を稼ぐために
大学へ通い始めた。
2時間だけの講義なので半日もあれば十分だった。
2つ目は学士入学を一端、中止し、
一般入試を受験することにした。

結果から話そう。
3月に不足の2単位は取れ、卒業ということになった。
このために始めたフランス語をそれから
3年間続けるようになった。
会話はできないが文章はそこそこ読めるようになった。
このことは、後年、思いがけずコピーライターという職業についたとき
幾分か役に立った。
(いまは残念なことに仏文は辞書片手でもきっと読めない。)

もうひとつは見事に失敗した。
一般大学入試なんて、とんでもなく無謀であった。
理由はすべてにその時期を逸していたということ。
高校を卒業して5年のブランクを半年で埋めるのは
しっかり言う。「無謀」。
ということで、病院勤務が続く。

事務長代理という仕事には比較的余裕があった。
給与計算をして、社会保険などの手続きをする。
いつも不足がちの看護士(当時は看護婦さん)をはじめ
栄養士さんなどの有資格社の求人にはいつも苦労をしていたが。
そんな訳で、ボクは空いている時間
レントゲン技師の助手をよくした。
整形外科医のレントゲンを通しての治療に立ち会ったり
胃レントゲンの介添えをしたり。
そんな姿を見て、院長は
レントゲン技師の資格でも取ったらと言うようになった。

一方で、医師を頂点にヒエラルヒーのようなカタチで
運営される医療組織に嫌気も催していた。
しかし、次のステップが見つからなかった。
もう一度、というか今度こそ学士入学試験を受けて
ダメなら進路を変えよう。
そんな気分が少しづつ芽生えてきていた。

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