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「光る君へ」 第6回 二人の才女

右大臣家から距離を置くため左大臣家に近づこうとするまひろ。奇しくも詮子「裏の手」も同じであった。
道長がメンバー表にいないので参加した漢詩の会なのに、結局道長と再会してしまう。のちの「清  少納言」(正しいんだけどまだ違和感)ことききょう、父 元輔と共に登場。ロバート実資はお休み。


【今日の行成(のセリフ)】

「明日の夜、義懐殿と公任殿、斉信殿がお会いになります。義懐殿のお屋敷で。
義懐殿のねらいはまずは息子たちを懐柔し、父親もろとも帝の一派に組み込もうというもののようです。」
でもセリフがどうのっていうより、やっぱりかーという感じ(後述)。。
漢詩のナレーション解説は省略。


さて例によって雑な感想を。

  • 左大臣家にはもう行かなくていいという為時に「源とも繋がってた方がいい」と急にリアリスト発言。でも藤原に対抗するために源に、っていう概念がまひろクラスにもあったんだろうか?

  • 兼家曰く「道兼は道隆と道長が表をいくための泥を被る道具」道隆に言うのはともかく、末弟の道長にまで言う?

  • 道兼→道長「俺たちの影は皆同じ方を向いている」これからの一家総出の例の事件を暗示してるだけでなく、過去の安和の変のことも含んでる?

  • 雅信邸での女子会。蜻蛉日記の話題になるけど、まだ当事者が生きてる時代からあんなに世間に浸透してた読み物なんだろうか。道綱母は出仕してないから源氏物語や枕草子と違って、内裏で回し読みされたわけでもない。
    前回書いた通り、蜻蛉日記の解釈はまひろに完全同意。

  • 内裏、弘徽殿の局。斉信が伏せっている妹 忯子の耳元で花山天皇へ自分をプッシュしろと呟く。御簾の存在とは。。

  • 道隆邸(ってどこ設定?)で貴子とまったり酒飲み中。やっと(?)道隆の酒のシーンが出てきた!今のところ適量を嗜んでいるようだけど…。

  • そこへやって来た道長が四条宮での勉強会で行成から聞いたという話をする。
    上に書いた行成のセリフ
    いや、まずは行成、義懐「殿」ってどういうこと?叔父さんじゃないのかい。
    これでこのドラマでは行成の家系についてはスルーすることがはっきりした。これが「やっぱりかー」案件。
    それになに“間者”みたいなことしてるんだ?
    義懐との血縁関係をなかったことにするとしても、あれを行成が道長に告げ口する意味がわからない。行成は道長寄りという描写なのか。この先そういう方向で道長に便利がられるとしたら嫌だな…。
    道長♡なので気に入られたくて間者業務に頑張る行成…見たくないw

  • そして義懐が公任、斉信を招いての宴会シーン。義懐が「若い奴らなど酒と女で懐柔出来るわw」と思ってる成り上がりのアホ扱いで悲しい。悪代官か?
    ちょうどこの頃が「枕草子」(第三十二段)「小白河といふ所は」の時期で、義懐が一番ブイブイ言わせて輝いてた時。こんなに光ってた人なのに。

義懐の中納言の御様子がいつもよりキマッてらっしゃるったら、ちょっとないのよねェ。色あいが華やかで、メッチャクッチャに匂い立って来るようだからさ、甲乙つけがたい全体の帷子姿でもさ、この人はホントにもう、ただ直衣一つを着てるみたいにしてて、いっつも牛車のある方に目を向けてて、話なんかしてらっしゃるの。「素敵♡」って思わなかった人はいなかったと思うよ。

桃尻語訳 枕草子(上)橋本治 1998年 河出文庫 

自分のファースト枕草子がこの橋本治版だったのでここから引用。
そのうちこのことも書きたいと思っているのだけど、今日のところは少しだけ。
この本、今読むとさすがにちょっと言葉遣いに時代を感じるんだけど、清少納言自身が用語や内容の解説をする「註」がすごく充実していて、決してトンデモ本ではないのだ。本文訳は直訳なので少しわかりずらいところもあるから、言葉を補って整えた普通の(?)訳本と照らし合わせて読むのがおすすめ。

  • さて雑感に戻って。詮子が雅信に接近する。半ば脅して自分への協力を約束させる。今回はやけに源と手を組む話が出てくる。
    兼家も詮子もお互い知らないけど、同じく左大臣家と結ぼうとしている。詮子は「裏の手」と思ってるけど、本人も言う通り似たもの親娘だった。

  • 詮子が倫子を勧めるとなると、源 明子はどう登場するんだろう??
    明子は今回の舞台である寛和元年(985年)の翌年、11歳(975年生まれ説による)で詮子に引き取られる。道長との第一子、頼宗が993年に生まれているので18歳くらいで道長と結婚したと思われる。倫子より10歳ほど年下。

  • 漢詩の会。元輔の衣装が結構派手!髪はある!

  • ドラマだってわかってるけど!)行成、13歳で酒や恋について漢詩を綴る!
    前も書いたけど、なぜ公任や斉信、道長とのシーンにこの時期の行成を混ぜるんだろ?年若過ぎていろいろ設定に無理がある。弟キャラとして必要だったのか?

  • 行成を花山と義懐がいるこの時期に出すなら、むしろその血縁関係をちゃんと描いて勉強会シーンなどで公任や斉信に「帝はお前のいとこ(花山)なんだから云々」「義懐殿はお前の叔父上なんだから云々」と言わせたら行成の家系の説明にもなったのに。斉信も妹に自己アピールするより行成にゴマすっておくべきだったのでは。

  • 漢詩や和歌の元ネタなどについてはXに詳しい方がたくさんおられるのでおまかせ。道長、苦手と言いながらちゃんと作ってる。実際は一条期にさかんに作文会を催してる(一条が漢学好きだったから?)。

  • 貴子がはっきりとした物言いのききょうを気に入ったみたい。自分と似たところを感じたか?まひろではないところが何となくわかる。実際は枕草子を見る限り、清少納言は貴子をちょっと苦手にしてる感じもあるけど。

  • 紫式部と清少納言、よく対比して語られるけど、まひろとききょうもその線を踏襲するんだろうか。自分は言われるほど清少納言が勝気とも陽キャとも思ってないんだけど。

  • 道隆の知的で優雅な立ち振る舞い、発言に若者たちはコロッと参る。「さすが義懐とは違うな〜」と(悲)。実際にも道隆は魅力的だったと思う、何も義懐を悪く描かなくてもね。

  • 道隆邸を退出する(後年の)三納言。左肩に女装束をかけているように見える。あれが纏頭?(行成が繁子から逃げ回ったアレ)被けるところから見たかったな。

  • 忯子急死。ということはいよいよクーデターの足音が…。


【今日のソウルメイト】
まひろ、道長がいないと思ったから漢詩の会に参加したのに急に現れてびっくり。
その上、自分に向けてとしか思えないあんな詩を読まれたらそりゃうるうる来るわ(情緒不足の自分でもそこはわかった!)。
さらに文まで来た日にはそりゃ(文を)抱きしめたくもなる。障害があると想いは募る、というやつ。そういえば、あの道長の文、「御堂関白記」で見る大胆な字を彷彿とさせてたな。

大河ドラマでなければ普通に主人公たちの恋愛模様を眺められるかもしれないけど、やっぱり「大河」だから史実が先に気になる。そして何といっても待望の平安中期大河!文字でしか見たことのなかった人たちの「受肉」と、内裏場面に気を取られてて(架空の)ドラマのストーリーとか主人公たちの思惑とか感情とか深読みする余裕も興味もあまりないのが正直なところ…。
でも一条天皇と定子となると話は別(リピートw)。


今回、何か物足りないと思ったのは、実資や他の公卿の登場がなかったから。
予告では見かけたので来週は安心(?)。初めて蔵人のユニフォームじゃない狩衣姿の実資が見られそうだ。相関図によると妻(桐子)も登場するようだ。
また、新たに「藤原」に公季きんすえが追加。公季は兼家の27歳も離れた異母弟で、甥の道長と10歳しか違わない。閑院流の祖。
そういえば予告では露骨なサービスショットがあったな…。あれは「打毬」の後の着替えのシーンだったみたい。

ではまた来週!

【追伸】
これ見たんだけど、最後、この先の見どころシーンが本当に見どころ満載だった!
明子と思われる白い装束の人がチラっと見えたけど、ほんわか倫子とは正反対の眼光キツい感じ。これはストーリーに関係するんだろうなぁ(意味深
未見の方はぜひプラスで。


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