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読書感想文

本読んだ。

ここ5年くらい平山夢明とネット小説しか読んでなかったけど、最近神曲を読んだり西洋絵画の本を買い漁ったりした。

これら

物語は全然読んでなかったんですけど、Twitterで見かけた本が面白そ〜だったんで買って読んだ。

これがめっちゃ面白かったんで忘れないうちに感想書きます!!!



「悪童日記」
「ふたりの証拠」
「第3の嘘」
「愛」
「ロマン」
「薬草まじない」
「やし酒のみ」



「悪童日記」

第1作目にして一番面白かったッス!!(私は)

戦争で疎開してきた双子の少年が、“おばあちゃん”の家で生きていく話。

あらすじだけだと全然伝わらないな…。

まず疎開してくるときから最悪〜!
おばあちゃんに雌犬の子呼ばわりされるし、お風呂もなければ自分たちが寝るところもない、不衛生で粗雑な環境に突然身ひとつで投げ出される。

最初はものすごく嫌われて足蹴にされるけど、段々愛着が湧いて家族として信頼してくれる。
愛ってどこにでも生まれるんだなって…

この作品で大事なのが、主人公の双子が普通じゃないってこと!
決めたことは必ず守る。泣かないし、躊躇わないし、信仰もしない。
子供の身体でいて中身は全く子供らしくない。
本編でもあった、「ぼくらは2人でひとつ」がまさしくその通りで、彼らは一貫して2人で行動する。
日記のルールにもあったように感情で物事を判断しない。人を個として捉えているけど、役割でしか判別していない。(教会の神父は神父でしかないし、母親も母親という役割を持った女性としか見てない。)これは何かの作品の登場人物として捉えるならわかりやすくていいけど、人間性があまりにもなくてもキュンです。

その証拠に、この作品個人の名前がいっさい出て来ない!
おばあちゃんは”おばあちゃん“だし、お母さんは”お母さん“。隣の家の娘は”兎っ子“。これは周りがそう呼んでいるあだ名です。
兎っ子に関しては最期が壮絶すぎて…。
それでも本人にとっては幸せな時間だったのかと思うと、人生を否定することって出来ないなと思いました。それが自分でも他人でも。


この作品のラスト、すごくないですか?
読み終わった後しばらく呆然としました。本読んでると割と裏切られることが多いと感じるんですけど、これもかなり裏切られたなと思いました。
2人でいることがアイデンティティであったはずなのに、それを自分(達)から壊しにいくなんて…。
でも、それも続編にあたる『第三の嘘』を読んで必然だったと気づいた。後述します。



「ふたりの証拠」「第三の嘘」

悪童日記の続編。なんと!固有名詞が出る!

前作衝撃のラストから続いていく「リュカ」の人生の物語。

ふたりの証拠で悪童日記を根本から揺るがすような事態になってる!し、第三の嘘では全く違う人生が語られる。
つまり前作の否定が繰り返されている。
すげ〜

この二作でシリーズ通して真実が全く語られていないことに気づいた読者は、本編で共通している断片的なかけらを集めて推測するしかなくなる。
双子、戦争、亡命
3作品の中でブレていないのがこの要素だけなので(疎開とおばあちゃんの家はちょっとブレてる)、この3つを基にした嘘のお話がこのシリーズなのかな〜と思いました。第三の嘘の解説にもあったけど。
第三の嘘を読まないと上記のことが理解できないから、『悪童日記』だけでなく『ふたりの証明』と『第三の嘘』も読んで良かったな〜。



「薬草まじない」

アフリカ文学らしい。なんとなくで買って読んだけどめちゃくちゃ面白かった!

子供ができない妻の為に、〈さい果ての村〉にいる〈女薬草まじない師〉に子供を授けるジュジュ(呪呪?)のスープをもらいに旅に出る…
という話。

主にジャングルでの出来事が描かれてるんですけど、それがすげ〜アクションばっかだった。
〈蹲踞の男〉や、〈取り外しのきく頭の男〉との死闘など…闘いの場面が多かくて、なんも知らずに読んだからこんな作品なの!?とちょっとビビった。
結構、神様とか悪鬼とか呪術的な前提が多いからそう言ったことを一旦飲み込んで読むといいと思います。
途中の乳が長い女の説明だけ、pixivのそういうイラスト思い浮かべて解像度が高くなった。最低!

旅を終えてからも一悶着二悶着あってそこも面白かった。ダメって言われたことは守るべきですよ!

「やし酒飲み」

10歳の頃からやし酒飲むことしか能がない男が、死んでしまった自分専属のやし酒造りを探しに行く話。

めちゃおもろ〜い!
この作者で一番評価されてる作品らしいだけあって面白い!
旅している最中の描写も、戦いもなんというか味がある。おとぼけているって言ったらいいのか、いい意味で軽い感じがする。
頭全剃りされたりめちゃくちゃ叩きつけられたりするのに全然フラットな感じ。感情を描写せず事実だけを書いているからそうなるんだと思う。(解説にもあった微妙に文章が下手なのもそこに相乗しくると思う)
でラストすごない?
こんな風に終わると全く予見できなかったし、ちょっと呆然としました。いいのか悪いのかもわからん!ただ受け止めることしか出来ない…。
あとがきが余計な感じするけど、まあそこは読まなければいいかな…。



「妖怪の森の狩人」

狩人が森で眠っているといつのまにか妖怪(ゴースト)の住む森に来てしまい、帰り道を探すという話

絶版だったけど図書館にあって急死に一生を得た
これも良かった〜!
恐ろしい妖怪と対峙して戦ったり、とんでもない目に遭わせられたりするんだけど、どこかとぼけている感じがして、それがあっさりしてていいなと思います。やし酒飲みと同じ感想だけど。
5番目の町に着いてからは神曲みたいな構成になったな〜と思いました。実際イエスとか言ってた。
ラストのおとぼけた終わり方も味があって好き❤️
今回読んだ本に挿絵があって児童書っぽかった。



クソでかい


「愛」

新聞広告が載ってて気になって買った。

やば作家のやば短編集です。

そうとしか説明できないッス〜!
とにかく糞尿と森の描写が多かった。
こんなに本を読みながら「え!?」って言ったことはないくらい、変な(この言い方もどうかと思うけど…)描写が多かった。
帯にも書いてあった、本の固定観念をことごとく壊してくるとんでもない短編集だった。
でもクソキモペド官能小説があってそれはまじでキモかった。おげげげげげげ

気になったのいくつか
『愛』
表題作でもある一番最初に載っている短編で、一瞬でこの作家の世界観に引き摺り込まれた。本ってこんなことしていいの!?
『記念像』
最初の暴力描写が平山夢明っぽくてすごく好きだった。それらしい言葉がつらつらと並んだ後のラスト一文がパンチ効いてて怖〜!と思いました。

それらしい言葉の羅列を大量に並べる描写も多かった。意味はないのかもしれないけど、人間の思考って他人にはわからない連想ゲームなのかもな〜と思った。





以上です。私は固有名詞がない方が良いっていうのに気づきました。
あと読書感想文苦手だったの思い出したな。
さよなら!本は買おう!


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