見出し画像

2020年映画ベスト10+ワースト1

今年はコロナでいろいろあったが、振り返ってみれば新作も全然充実してたと思う。特にランキングはつけず挙げていきます。

フォードVSフェラーリ

画像1

「速さへの渇望」を宗教的な解脱へ着地させるラストに虚をつかれた。そしてその境地についにたどり着けず、地上で生きていくしかない男女の悲哀が泣ける。

TENET

画像2

ノーランはアホのくせに利口ぶってる感じが嫌だったのだが(『インターステラー』)、今回はついにアホが隠しきれず溢れ出していて、思いの外好きになってしまった。

鵞鳥湖の夜

画像3

ネオンフェチなのでベストに入れざるを得ない。グイ・ルンメイの虚無的なエロっぷりも最高。「お兄さん、私を好きにしていいのよ。満足させてあげる」

アルプススタンドのはしの方

アルプス

『桐島、部活やめるってよ』が、人生の意味・理想=桐島が存在しないことを知らされる物語ならば、『アルプススタンドのはしの方』は存在しない(画面に映らない)はずの桐島をもう一度見て応援できるようになるまでのお話。泣けた。

アングスト/不安

アングスト

異様に行き当たりばったりな殺人を異様にナルシスティックなモノローグで合理化する主人公に、仕事や日常での自分を見るようでつらかった。時間のジャンプがない編集なので犯人のドン臭さに付き合わないといけない。

ウルフズ・コール

画像6

潜水艦アクションだと思って見に行ったら、主人公は大麻やったせいで船を下ろされるわ、その直後に突如ロシアからフランスに核ミサイルが発射されるわで、今年一番ひっくり返った一作。でも核戦争がマジで起こったらこのくらい唐突なんだろう。

ルクス・エテルナ 永遠の光

画像7

『クライマックス』のぬけの良さに比べると、今回はちょっと自己満足感が強いというか、「サンローランのプロジェクトで好き勝手やったったぜ」感に知らんがな感を感じないでもない。でも美人のモデルさんがひどい目に合うのでやっぱ楽しかった。

三島由紀夫VS東大全共闘 50年目の真実

画像8

三島由紀夫の誠実かつスキルフルなディベーター・アジテーター・教師ぶりに頭が下がりっぱなし。僕は「こいつ何言ってんの?」って思ったらすぐ「あんた何言ってんの?」って口に出しがちなのだが、三島のように相手の発言を最大限に補い、場を成立させるのも大事だと思った。

ザ ・ハント

画像9

金持ちのインテリどもがムスッとした女性ヒーローにテンポよく殺されていく=至福。登場人物がずーっとSNSの話ばっかしてるのも爆笑。インテリが「地球温暖化は事実だ!」つって人を殺すのもサイコー。アクション演出もサプライズの仕掛け方がうまくて素晴らしかった。

ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY

画像10

マーゴット・ロビーがマリリン・モンローのコスプレをするシーンで、金髪ゴージャス女優好きとしては昇天しました。濡れTで悪党をバッタバッタとなぎ倒すとこもエロいは痛快だわで昇天しました。見てるとちゃんと「男はこの世界から消えてなくなれ!」ってなる説得力があるのもよい。

ワースト1:ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー

画像11

パーティで孤立しがちな自分としては思わず共感してしまう部分もあって、いい映画なんだとは思う。が、これを「多様性」「アップデート」「未来の姿」みたいに言ってる連中は、「世の中のほとんど大学進学者(ないし一流企業就職者)で上流階級で金持ちだったらみんなリベラルで多様性が溢れて、対立してた相手とも一夜パーティに出るだけで共感しあえて、素晴らしい世の中になるのにな〜」と本気で思ってんだろうか。邪推は良くないが……。

そんなのはくだらない「お気持ちリベラル」だろう。共感しきれない相手と共存する理性的基盤を探り、つねに対立する相手への正当化を要求される、価値観としての「リベラル」ではない(別に価値観としてのリベラルを支持するわけではないが)。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?