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ワールド超え

私が唯一買い揃えている作家さん、森見登美彦氏。存在を知ったのは確か「宵山万華鏡」が出たときだと思う。かなり遅い出発ではあるけれど、その後の私の追い上げは半端ないものだった。最初に手にした「夜は短し歩けよ乙女」から始まり、「太陽の塔」「四畳半神話大系」「きつねのはなし」「新釈走れメロス」…
読めば読むほどおかしな世界に引き込まれ、気づけば森見ワールドにどっぷり浸かってしまっていた。

奇想天外、摩訶不思議、奇妙奇天烈、支離滅裂。
こんな言葉で埋め尽くせるほど面白可笑しな世界。どこへ行くにも必ず一冊、何度も読み返してはぐるぐるとはまりこみ、抜け出せない状態に陥る始末。
ほぼ中毒。
その中でも「夜は短し歩けよ乙女」は何度読み返したことか。先輩と黒髪の乙女との縮まりそうで縮まらない距離。その間に繰り広げられる幾多の死闘。それらに絡みつく個性溢れる人々。
展開が分かっていても、何故かいつも新しい気持ちで読み込んでしまう。不思議

そしてもちろん映画も観に行きました。ご多分に漏れず。
一度テレビで予告をちらと見たとき、その映像に目が釘付け。想像をはるかに超えたカラフルワールドに、これは小説以上のおかしな展開が繰り広げられるな、ととっさに感じとりました。
普通。いやこの話自体普通ではないのでこの言葉は適切ではないけれど、自分の思い描く小説の世界とはかけ離れた内容になることは必至。純粋に観たい気持ちと、どんなことになっているのかという恐いもの観たさで行ってきました。

小説の可笑しな世界はそのままに、ポップでキュートでカラフルに。これはファンタジー?と見紛うような不思議な展開。
物語を追うごとに話の内容そのものよりも絵の可愛らしさに目が奪われ、もう動くイラスト集を観てる錯覚に囚われてしまった。
話の着地点は一緒だったけれど、ここまで飛躍されているとは!予告を見たとき以上の驚きだった。なかなかに良い裏切りで、私はこれはこれで好きだなぁと思った。同じ話ではあるけれど、素敵な遊び心が満載で小説とはまた別の楽しみを味わわせてもらった。

レディースデイに行ったので、周りはほぼ女子ばかり。驚いたのが若者が多かったこと。
森見さんは若者に人気があるのかしら?隣のカップルも熱心に森見作品の褒め合いしてたしなぁ。
皆さんどんな感想をもったのか気になるところではあるけれど。