セリフにしてもカッコイイ解説本は良い

「もしかすると、トウモロコシの方が人間を利用しているのかもしれない」(稲垣栄洋『世界史を大きく動かした植物』PHP研究所、2018)

マヤの伝説では人間はトウモロコシから作られたらしい。んなバカな~、って気持ちになる人には、現代の食品の多くがトウモロコシ由来の成分を含んでいる(例えば家畜の飼料や、コーン油やコーンスターチ、加糖ぶどう糖液糖、難消化性デキストリンまで)ことから、人間の体の半分はトウモロコシかもね、なんて言っている。
内容が面白いのは勿論のこと、トウモロコシの章の最後の一文を引き抜いてもカッコイイところがいい。これが「AI」とかだとまぁ……ってなっちゃいそうだけど(そんな世の中嫌すぎるが)食べ物の、この日本人には若干馴染みのないトウモロコシという絶妙さ。トウモロコシを改良しまくり使いまくる人類と、その陰で分布を広げていくトウモロコシ。ある日の夕食を終えた男が気付く。「もしかすると、トウモロコシの方が人間を利用しているのかもしれない」その考えが広まる前に、突如姿を消していく街の人々……ありそう。
しかしアホな想像を膨らませて読むと、本の内容はほとんど思い出せないな。分かりやすくて良い本だった、はず。(ところでこういう超ライトな学術書ってジャンルとしては何に入るんだろうか)


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