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日本人に想像力のある優しさを

わたしはフランスに住んでいた時、ヨーロッパ中を旅した経験から日本人って世界一やさしい国民だと思っています。道を聞いてもお金を請求せずに親切に教えてくれるし、だいたいの店員さんが親切です。

清潔で、水も食も物も豊か。だから、「住むなら日本」と思い、日本に住み続けています。

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けれど、何かが欠けているなとも感じていました。

先日オランダの教育について学ぶ機会がありました。そこで話されていたことで腹落ちしました。

オランダ教育について話してくれたのはこの方https://note.com/naom_27/n/n6c510b15665d

『オランダ人は消費者としてではなく日々生産者のマインドを持って生きている』

なるほど。

わたしはアパレル販売員として働いていた時「販売員」と「客」の関係性に疑問を持っていました。

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アパレル店員は服を売りつけてくるという思い込みから無視し続ける客がいました。今までに嫌な経験をしたことがあったのでしょうが、その時の店員とわたしは違う人です。憤りを感じましたが、立場上何も言えない自分もいました。

また、これは直接ではありませんが、混んでいる店内で、少し待たされたことに苛立ち「お客様は神様だ!」と怒鳴っている人を見たことがあります。

きっとこんな人たちも普段はやさしい日本人マインドを持ち合わせているはず。客になった途端、店員に対してこういう態度を取ってしまう人というのが一定数います。それがとても不思議でした。

オランダ人の話を聞いて、日本人たちは「想像力のある優しさ」が欠けているのではないかと思いました。客は、やってもらって当たり前。店員は、客を満足させて当たり前。

店員に辛辣な態度を取る人たちも、普段から話しかけてくる人を無視したりはしないでしょうし、友達に少し待たされたからってすぐに怒鳴ったりしないでしょう。

「店員」と「客」という関係になった途端、彼らの中で何かの方程式が変わるのでしょう。

そんな彼らも、おそらく何らかの仕事はしたことがあると思います。自分が仕事中に客や取り引き先の人から怒鳴られたり、無視されたら嫌だと思います。そういう想像力が働いていないのでしょう。

または、人には自分がされて嫌だったことを人にしてしまうという心理的側面があります。もしかしたら仕事で嫌なことがあったのかもしれませんね。かなりの緊張感を持って毎日仕事をしているのかもしれません。緊張感の漂う社会は、想像力からかけ離れた世界です。

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ここから話が変わりますが、わたしは最近服の価格についてよく考えます。ここでも「想像力」が関係してくるのではないかと思い当たりました。

わたしがスタイリストセレクトのワンコインフリマや地域活動の0円物々交換をしています。一方で、エシカルブランドはファストファッションブランドよりは高額になります。わたしもストーリーのあるブランドの服はよく購入します。2〜3万円くらいが多いです。

無料やかなりの低価格でそこそこいい服が手に入る今の時代。

では、服にお金をかける価値って何なのだろうと考えました。

ここでも大切になってくるのが「想像力」なのではないでしょうか。

フリマや物々交換は、“誰かの不要になったけれど、まだ使えるもの“を活用しています。日本の家庭から出る服のゴミは約48万t。企業が廃棄する服や世界中の服を数えるともっと多いです。

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廃棄するものの中にはまだまだ使えるものも多いです。「買った服が値札を付けたまま何年もクローゼットに眠っている」という声も聞きます。それなら、その中から必要なものは活用しませんか?というのがフリマや物々交換なのです。実際目の前にない、世界中の廃棄物を想像して取り組んでいくわけですから「想像力」が必要ですね。

「安くてお得」「家計が助かる」という考えだけに留まってしまうと経済活動が滞ってしまいますし、「高い服を人に譲るから同じくらい価値のあるものと交換したい」とクレクレ星人になると楽しくみんなで活動を続けることができません。

だから、啓蒙活動を大切にしていて、ファッション業界の現状も伝えているわけです。低賃金・長時間労働を強いられている東南アジアの若い女性たち、バングラデシュ・ラナプラザ縫製工場の崩壊事故、不要な服を押し付けられてゴミに溢れたアフリカの国々、など。

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朝日新聞デジタルhttps://www.asahi.com/sp/articles/ASQ8V5411Q5RUHBI038.html?iref=sp_photo_gallery_above


生産者の労働環境を整えようと、多くのフェアトレードブランドやオーガニックコットンブランドなどが声を上げています。ファストファッションに慣れてしまった人には初めは高く感じるかもしれませんが、想像してみてください。服を作るのにどれだけのエネルギーがいりますか?

虫がつきやすく育てるのが大変なオーガニックコットンを育てるのにどれだけの時間とコストと労力がいりますか?

ここでも「想像力」が出てきましたね♪

今までファストファッションでストレス解消のためにたくさん服を買っていた人がエシカルブランドに投資し、大切に服を着てくれるようになったら、こんな嬉しいことはないです。

フリマや物々交換が広まる時に「経済の滞り」を心配する人もいますが、ストーリーを大切にフリマや物々交換を利用する人は、エシカルファッションブランドに投資するようになります。(実際わたしの投稿を見て「エシカルな服を買いました!」というメッセージもいただきました。)ファッションアドバイスなど形ないものへの投資にも価値を感じるようにもなります。(アドバイスというのはたくさんの時間とお金とエネルギーをかけて学んだことを人に伝えているわけですから。それはアドバイスする人の人生をかけた言葉でもあるわけです。)だから、いいバランスが保てるのではないかとわたしは予測しています。物々交換を広めているアパレル会社社長もそうおっしゃっていました。

初めての取り組みなので、世の中が良くなると信じて、社会実験という気持ちで始めました。勇気を持って行動を始めた人たちが賞賛され、成功する世の中であってほしいと思います。

人間は大切なことはすぐに忘れて、日々の雑踏にすぐに引き戻される生き物。だから、みんなの想像力を掻き立てるために「啓蒙活動」がとても大切なんです。見返りを求めず、かなりの時間とエネルギーを使っています。発信にリスクのある時代でもあります。発信者の勇気にも想像力を働かせられたらいいですね。

ここで、現実に目線を戻してみましょう。コロナ禍でサラリーマンの平均給料が減り、失業者も増えています。「物々交換」は、「拡張家族」を作る取り組みでもあります。ご近所のお裾分けの拡張バージョンみたいなイメージです。実際に家にある食材を持ち寄り、みんなで作り食べ片付けるというシステムの『子ども食堂』も始まっています。そうすれば一世帯の食費の負担を減らすことができます。「給料日まで〇〇円で食い繋がないと…」なんていう想像力が萎んでいくような食卓は寂しい…。限られた予算の中でも、みんなで助け合えば、想像力のある食卓が実現されます♪

そして、生活の不安がなくなってくると「服も買いたい♪」「おしゃれも楽しみたい♪」という人も増えてくるでしょう。

自分の財布の中身だけで行動を制限するのではなく、豊かな未来を想像して、投資するお金の使い方が人生を豊かにします。わたしは実際にそうしてきました。投資って別に、大きい金額でなくてもいいんですよ。例えば、いつもは買わないようなエシカルブランドの服1万円を買ってみるのも投資です。

周りの人たちとのつながりを感じられ、いいエネルギーを受け続けていくと、お金の使い方も変えやすいと思います。

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オランダ人からの学びに話を戻します。

大事なのは「生産者」「運営者」目線で物事を考えられるようになること。そうすれば日本人の行動はガラッと変わってくるでしょう。

オランダ人も何十年もかけて変わってきたのだそうです。日本人も何十年もかかるかもしれないけれど、変わっていくことを信じて、わたしは発信を続けます。

最後にもう1つ大切なことがあります。それは「日本人は忙しすぎる」ということです。これは海外の方からよく言われます。今TVCMでも『日本人女性は世界で1番睡眠時間が短い』というフレーズがありますね。

日本人はそもそも「想像力」を持ち合わせた国民性だとは思います。忙し過ぎて、目の前の人の事情や世界中の問題など直接関係のない、目には見えないことを想像する余裕がないのでしょう。

「日本人はだめ」と考えるのではなく「頑張り過ぎているのかも。まずは休もう」と昼寝したり、コーヒーブレイクの時間を取ったりしてみてください♪頭の中がすっきりしたところから「想像力のあるやさしさ」を持って生活してみてください^ ^


ファッションの力で人も地球もHAPPYに『アポルテコーデ マルシェ🇫🇷』主催スタイリストあられ

https://reserva.be/arale0521

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※カバー写真は娘のひなあられの作品

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